強者
アルファーサルの大穴。
「独断専行とはいいご身分だな。勝手な行動をしておいて、何の成果も得られんとは、お前は駄作のようだな。カーバイン。」
カーバインは片膝をついて、内心苛立ちを隠せずにいる。
「そう言ってやるな、ルドラス。成果は得られずとも、何かを知れたことに意味がある。ただ、手を出すには少し早すぎる。お前も彼も。彼を覚醒させる、そのためには極限の状態を作り出す。その過程が重要なのだよ。わかってくれるね、カーバイン。」
「はっ。」
「よいのですか、リベリアン様。奴のようなものを野放しにして。」
「ルドラス、私たちは家族だ。家族は大事にしないと。それに、彼にはちゃんとしたしつけ役がいるじゃないか。どちらにせよ、私が完全になるまでもう少しかかる。それまでの間に、ハヴァールの子を覚醒させればいい。」
「ルドラスの野郎、少し長生きだからっていい気になりやがって。」
「なーにきれてんの?」
「なんだ、ラスノヴァか。」
「なんだとは何だよ。心配してやってんじゃん。」
「ふんっ。お前は自分の人形のことで頭がいっぱいなのかと思ってたよ。」
「人形だあ?私の旦那のことを言ってんのか?」
「2人とも、けんかはよせ。」
「カストールからも言ってやってよ!私の旦那を人形呼ばわりだなnふがっ!?」
「お前もいろいろと大変だな。」
「言えたことか。」
「よお、お前ら。」
「グレイさん!」
「カーバイン、お前ルドラスにずいぶんと詰められてたみたいだな。」
「…。」
「まあなんだ、よくある若気の至りだ。それより、赤い目の奴はどうだった。」
「グレイさんが思ってるより強くはない。」
「そうだろうな。お前もそいつも、まだまだ若い。食らうには時期が早い。食すなら、一番脂がのったときじゃねえとな。」
「俺はグレイさんのようになれるのか?」
「なれはしないさ。なるにはもっと長生きしねえと。だが、近づくことはできる。それまでお前はお勉強だ。」
「いやすまない。戦いに夢中になってしまっていた。」
「こっちはあんたらを信頼して生徒を預けてるんだ。頼むから本来の目的を忘れないでくれ。」
オルトルは笑ってごまかす。
「はぁ…。」
「シューイチさん、本来の目的って何です?」
「ああそれは、狩猟の手伝いさ。」
「狩猟の手伝い?」
そこに、ダスタールが割って入る。
「トールラスは年2回、この周辺に生息するモンスターを狩るんだ。それ自体の目的は、生体の保全と食料の確保だな。」
オルトルは自分が言いたかったと、ダスタールに目で訴える。
アルファーサルの大穴 悪魔たちが巣くう巨大な穴。もともとは、地球の天人が姿を隠すために住処としていた場所。代々、魔王たちがそこを統治している。しかし、最深部には誰も立ち入れない。最深部には、天人と魔人の間に生まれた子が住んでいた。リベリアンの統治下に入ったときに、彼女はそこを明け渡し、現在消息不明。




