知ること
「くそ。何が起きた。」
吹き飛ばされた悪魔は、オルトルのほうを見る。
彼の手には大槌が握られており、悪魔を蔑んだような目で見降ろしている。
「得物を持ったからって、俺に勝てる確信でも得たか。なめるな!!」
『ラームアダーウ』
無数の光の槍を形成し、オルトルに向け放つ。
オルトルはそれを一払いで跳ね返す。
「ちっ、…っ?」
気づけば悪魔の目の前に、あの大槌が迫っている。
「ぐぅ!!」
押しつぶすような力で、地面にたたきつけられる。
「ぐぅぅ、なめるな!!!」
『アールヌージー』
大槌を跳ね返すように、モンスターが出現する。
そのモンスターの陰から悪魔は飛び出し、最高速度でオルトルに急襲を仕掛ける。
しかし、悪魔は再び遠くに吹き飛ばされた。
「俺は運がよかった。それは一人で生きるってことじゃない。誰かと出会い、ともに助け合う。そういうのも、俺にとっては運なんだよ。…聞こえてねえか。」
「そういう台詞、倒してから言ったほうがいいんじゃない?」
「だな。」
2人は目の前にいるモンスターを見る。
「足引っ張んなよ。」
「そっちこそ。」
「いったい何が飛んできたのだ!?」
吹き飛んだ衝撃で、雪に埋もれた悪魔がはい出てくる。
目の前には、トールラスの集団が弓を構えている。
「なぜここにいる!どこから来た!」
悪魔は被った雪を払いのけ、重たい体を起こす。
「待てよ。お前らの嫌うオルトルに吹っ飛ばされたんだ。ここを襲う気はねえ。」
「オルトルに…。貴様、われらの契りを知らぬようだな!」
「契り?」
「奴は我らから見れば、裏切り者。しかし、奴は魔人だ。トールラスとして不可侵、不介入の契りを持つ。貴様はそれを破ったのだ!!つまり、貴様はわれらの敵である!!」
悪魔は怒りの形相を浮かべ、一点を睨む。
その視線の先には、おびえた表情で体を震わせる者がいる。
「てめえ。ほら吹きやがったな!!」
瞬間、悪魔の攻撃がその者を即死させた。
「もう知らねえ。てめえら全員、皆殺しだ。」
『アルクダーム』
巨大な影が地面から這い上がる。
「ヴァームラス?!どうやってこんなやつを…。」
「考えている暇はねえぞ!」
ヴァームラスの攻撃は無慈悲にも、仲間の命を奪っていく。
絶望的な状況の中、首領であるダスタールは恐怖していた。
(どうすればいい?!どうすれば…。なぜ私の体は動かない?!仲間がやられていくのを、ただ見ていることしかできないのか?!)
直後、超高速でヴァームラスに何かがぶつかった。
ヴァームラスは唸り声をあげ、痛がる。
ダスタールの目に入ったのは、あの大槌だった。
ダスタール 本名ダスタール・ナルカージ。トールラスの首領であるが、戦闘経験が乏しく、まだ幼い一面がある。
ヴァームラス グランドマスタークラス(4番目)に属するモンスター。巨大な体に反し、複数個体存在し大きな洞窟に群れで生息している。




