再び
吹き飛ばされた男を縛り付け、目が覚めるのを待つ。
数分後、男は目を覚ました。
「よお、お目覚めか。調子はどうだ?」
「くそ。…なぜ俺を殺さない。」
「おいおい、質問を質問で返すなよ。殺さないのは自分で分かるだろ。」
男は黙る。
「さて、もう一つ質問だ。なぜ裏切った?」
「裏切る?オルトルさんは一族から見放されたんじゃ…。」
そう宏斗は疑念を抱く。
「俺じゃない。こいつは一族を裏切っている。俺があそこを出てから、どちらも手を出さない約束だ。つまり、こいつは一族全体を裏切った。」
「…ははは、そこまでわかってるのか。なおさらなぜ俺を殺さない。」
「だから言ってるだろ。質問に質問で返すなって。悪魔とつながってちゃ、それもまともに分からなくなるのか。」
「なるほど、やはりかなり理知的だな。」
見えない場所から謎の声が聞こえる。
宏斗にはこの声に聞き覚えがあった。
「よお、数日ぶりだな。」
宏斗の耳元でそうささやく。
驚いた宏斗は思わず、虚空を振り払う。
「そう焦んなよ。すぐには殺さねえ。」
振り返ると、男の隣に立っている。
悪魔は男の髪を引っ張り上げる。
「簡単に失敗するなんて、やっぱりお前らはいつまでたっても魔人崩れだな。」
「ま、待ってくれ、俺はまだ…。」
「まだ?馬鹿言うじゃねえよ。一度失敗してこうやって伸された奴に、二度目があるかよ。」
そういうと、一握りに頭をつぶしてしまった。
「おや、裏切った仲間の血肉には、毛ほどの悲しみもないようだな。」
「ああ、何度も目の前で死を見れば、感情も死ぬだろう。何が望みだ。」
「望みか。そこにいる赤い目が欲しい。何も考えずに渡してくれれば、痛まずに済む。」
「それは、俺の良心がってことか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。いずれにせよ、そうだったならお前を殺さなきゃならない。」
「随分と下に見られたもんだな。そう簡単にいくと思うなよ。」
「ふっ、どうだかな。」
直後、拳の衝突で回りの木々が唸る。
「少し離れたほうがいい。」
宏斗とゾラは、その場から離れる。
二つの力は、空中に上がりなおもぶつかり合う。
「どうした、俺はまだ魔法を使ってないぞ。力だけで押し負けてるんじゃないか?」
「そうか、なら使えばいい。俺はまだ肩慣らしにしかなっていな。」
「じゃあ、存分に使わせてもらうぜ。」
『シャクラハビラ』
悪魔の背後に巨大な岩が出来上がる。
『インディファ』
すると、岩は砕け無数の破片となってオルトルに襲い掛かる。
オルトルは、破壊したり避けたりしてその攻撃をかいくぐった。
「はっ、やるなおっさん。」
「この程度で褒められるほどでもない。」
「次はどうかな。」
トールラスは、魔人の混血一族であり、そのため悪魔からは攻撃を受けない不可侵の契りを結ばれている。オルトルは混血2世であるが、魔人の特徴が一切ない人として生まれた。魔人誕生から長らく存在する一族であるため、角が生えている者はいない。




