2番目の人間
「悪いな、あいつらは縄張り意識が強くてな。同族だが、俺を仲間だとは思ってないんだ。」
そう移動しながら話す。
「あなたは誰です?」
「ああ、悪い。自己紹介が遅れたな。俺がお前たちが会いたがってたオルトルだ。」
「どこに向かっているの?」
「俺たちの住処だ。」
ついた場所は、住処というよりは野宿するような場所で、建物の陰すら見えない。
「ここが住処…?」
「ああ、俺たちは家を持たないんだ。というより、大きさが合わないんだ。」
宏斗はその言葉の意味を理解できなかった。
「まあ座れ。さっきは名前しか言ってなかったから、簡単に俺のことを教えておこう。」
そういうと、3人は焚火を囲んで座る。
「俺の名はドールゾ・ゴエウリ・オルトル・デイ・ヴァランタナ。長いからオルトルでいい。世間的には2番目の人間と言われている。意味は簡単だ、2番目に長生きだってこと。まあ、俺は魔法が生まれるより少し早くに生まれただけなんだがな。ちなみに1番はガエルという男だ。結構有名人だから名前ぐらいは知ってるだろう。何せ1億年生きてるんだからな。3番目はウルガルト・リスト。魔法の始祖、ハーディ・リストの息子だ。彼は5千万年生きてる。2人とも圧倒的な力で長く生きている。それに比べて俺はただただ運が良かっただけだ。今こうやってお前たちと話してるのもそういうことだ。俺が一族から見放されたのもそのせいだがな。」
そう淡々と話す彼の背後に、強い殺意を浮かべた人物が襲い掛かろうとしていた。
宏斗とゾラは話に夢中になっていて、気づいたころにはすでに、その刃がオルトルの首にかかっていた。
しかし、その間に大きな力が割って入った。
オルトルは気にも留めず、話を続けようとする。
「いやいやいや、待ってよ。何が起きたの?!」
「たく、帰ってきてたなら一言位かけてくれればいいのに。」
驚く2人の目の前には、6メートルを超す大きな女性が立っていた。
「ああ悪い。俺の嫁だ。」
「この子たちが言ってた魔法大学の生徒?あそこも随分と変わったのね。こんなに小さい子しかいないのかしら。」
「そう言ってやるな。時が経てばなんだって変化するものだ。」
「嫁って、巨人と結婚してるの?!」
「そうだ。だから一族から省かれてる。」
「私が原因みたいな言い方やめてよ。あんたが私を連れだしたんだから。」
「巨人はアフリカ大陸にしかいなんじゃ…。」
「今はアフリカというのか。まあそうだな、彼女はイヂゴ大戦のときに生き延びてこっちに来たんだ。それより、さっきの奴は大丈夫か?」
「「あ。」」
全員忘れていたかのように、吹き飛ばされたほうに顔を向けた。
ドールゾ・ゴエウリ・オルトル・デイ・ヴァランタナ 5500万年の時を生きる人間。シベリア一帯を統治する一族、トールラスの一人。おきて破りを繰り返し、一族から除外された。人間としては世界で2番目に長生き。
ガエル 1億年生きている人間。世界に適応し、クライドエルですら片手であしらわれる。単純な強さだけで長く生きているが、その強さにはほかにも理由がある。世界で1番長生きな人間。
ウルガルト・リスト 本名セハーティ・ヴォルス・ウルガルト・リスト。魔法の始祖たるハーディ・リストの息子。5000万年生きているが、姿を見たものはほとんどいない。世界で3番目に長生きな人間。
ハーディ・リスト 本名セハーティ・ヴァン・ハーディ・リスト。魔法誕生とともに生まれた人物。そのため、魔法を最初に使えた人間ともされ、魔法の始祖と呼ばれている。
巨人族 数億年前から存在する種族。現アフリカ大陸あたりに生息していたが、龍人族との大戦に敗れ、ほとんど生きていない。体長は平均10~15メートル。最大で100メートル近くまでになったものもいる。人間との混血種が世界に数人生き残っている。
イヂゴ大戦 5000万年前、地球の天人と月の天人との間で起きた戦い。最後に衝突した場所がアフリカ大陸に当たる場所であったため、巨人族も数名逃げている。魔法が誕生する要因となった戦い。




