願い
「待て…。」
血まみれの体を起き上がらせ、引き止める。
影は振り返る。
「もういいだろう。なぜ立ち上がる?これ以上殴るとお前を殺してしまう。頼むから、そのままじっとしていてくれよ。」
そういう男の顔を見ると、ハノールの情報と一致している。
「ヴェルスティル…。お前だな…。」
「そんなことはいいだろう。もうお前は死にかけてる。早くここから出ていけばいい。」
涙目で、ヴェルスティルは言う。
「そうしたいのは…やまやまだが、ここでお前を逃すわけにはいかない。」
「…そうか、お前も同じなんだな。」
急に声のトーンが下がり、宏斗は困惑した表情を浮かべる。
「お前も、俺を否定するんだろ!わかっている。どうせ、更生の余地はあるとか、いつでもやり直せるとか言うんだろ。生まれた時から俺はこんなのだから、お前らには何もわからない!」
「何、言ってやがる。理解されないなんて、勝手な自己解釈だろ。生まれたことを恨むなら、生きてそれを覆せよ。更生するとかやり直すとか、関係ねぇんだよ。やり直すことができないんだったら、何か始めればいいだろ。自分がそこで終わったなんて、勝手に決めつけたんじゃねえ!」
血しぶきを飛ばしながら、ヴェルスティルに投げかける。
「…わかってる、わかってるさ。でも、もう引き返せない!」
ヴェルスティルは勢いよく殴り掛かる。
振り上げられた右拳は、宏斗の顔面を掠める。
宏斗も、足を踏み込み右手で殴りかかる。
しかし、左手で防がれてしまう。
だが、宏斗はもう一度足を踏み込むと、大きく振りかぶった左拳をヴェルスティルの顔面に直撃させた。
その勢いで、ヴェルスティルは吹き飛ばされ、気を失った。
「あんたたち、大丈夫!?」
ハノールが勢いよく入ってくる。
その瞬間、宏斗は再び気を失った。




