アジト
数日後、宏斗とトロスは、最初に話を聞いて魔人の後をつけていた。
その魔人は、路地裏へと入っていく。
「あそこか。…ぐぇ!」
意気揚々と追いかけるトロスの襟をつかむ。
「何すんだよ。」
「適当に乗り込んで、無事じゃすまないだろ。作戦を立てる。」
「作戦?魔法でつぶしゃあいいだろ?」
「そうはいっても奴らだって、魔法が使える可能性がある。それに、中の人数を把握しないと、逃げられたらお前に責任がかかるんだぞ。」
「えー。わかったよ。で、作戦は?」
「まずは魔力の量で数を図る。次に、標的を絞ってそこに一斉に畳みかける。」
「標的?それは何だ?」
「魔力量が多い奴だ。気づかれて返り討ちに遭うかもしれないからな。」
「なるほど。わかったぜ。」
(本当か、こいつ。)
アジトの入り口に着くと、早速の中の様子を探る。
「…5、6、…ざっと9人程度か。」
「一番魔力量が多いのは?」
「うーん。…奥の椅子に座ってる角が一番でけぇ奴だ。」
「よし、同時に乗り込むぞ。」
勢いよく扉を蹴破ると、作戦通り、奥に座っている魔人に狙いを定める。
『フェッセル』
魔人は体を縛り付けられたように動きを封じられ、その場に倒れた。
周りにいた仲間も、次々ととらえ、1人も逃さずに済んだ。
とらえた魔人を、壁に並べる。
「で、どいつがヴェルスティルだ?」
「おかしい、全員特徴と一致しない。ここじゃないのか…。」
そう考えているうちに、背後に大きな影が近づいていた。
その異質な存在に、宏斗は振り返る。
その瞬間、突風のような衝撃波が顔に当たる。
ドンっと、鈍い音が響き渡る。
宏斗はその音がしたほうに目をやる。
そこには、壁に打ち付けられ、大量に出血するトロスがいた。
そして、あの影のほうを見ると、大きな塊が目の前にある。
「がぁぁ…。」
頭からにじみ出る血と、口からの大量の出血で立つことができない。
石壁に大きなへこみとひびが入るほどの威力で殴られ、意識が朦朧とする。
そこに、追い打ちをかけるように、頭上から地面にたたきつけるように殴られる。
大量に飛散した血の上を、ペチャペチャと歩く音が聞こえる。
一瞬気を失っていた宏斗は、音のほうを見る。
すると、その影はトロスに近づいていく。




