2.土地神さま、街に出る!
すべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
_どうせ私という神の存在が消滅し、何も残らないなら、今の人の子の暮らしを見たい。
そう決意した土地神さま(コハル)は何十年ぶりに山を下っていく。
「前はこの道も通りやすかったものだけど、少し時が経つだけで草木のお祭り状態ね…」
これじゃあ、人の子も寄らないはずだわ、とコハルは思った。マヤたちが来たであろう道には、轍が出来ていた。
「これを辿っていこう。今の人の子たちの暮らしは前とは違うのかしら…」
外へ出られることへの期待に胸が高鳴る一方で、心の奥底にある『存在の消滅』への不安を抱えて、コハルは山を下っていく。
しばらく下ると、舗装されている道に出た。近くの橋から下を覗くと、車が走っていく姿が見える。
「なんだか、前とは違う姿形をしてる車が多いわね…あんなに色がカラフル…え、うわっ、何あのハイカラな車!?」
車だけでこんなにも驚かされているのに、人里へ出るとどんな変化があるのだろうか、そうコハルは思いながら道なりへ進んでいった。
***
「な・・・」
コハルの目の前に広がる光景は、未だ見たこともなければ、想像さえしたこともないものであった。
空高くまで伸びているビル、無数にあるマンション、電車・新幹線がある駅、街中を走るバス、そしてそこに暮らす様々な人たちの姿。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!??まって、これが今の人の子の……え、怖っ!?ウソでしょ!?」
あまりにも多すぎる情報量、何十年も人里から離れて独りで過ごしてきた土地神にとって、もはや恐怖の域であった。
「もっと詳しく色んなところを見て回りたいけど、マヤに会わないと…!!」
コハルには、残された神の力で外の世界を見たいという気持ちと、自分のことを知る最後の人の子であるマヤに今度は自分から会いに行こうという強い想いがあった。それが、ただの自己満足でも。
「とはいっても、どう見つければ…しまった、全く考えてなかったわ。あ!そういえば…!」
コハルは近くにあった公衆電話へ向かい、中に入った。
「ん?あら?電話帳って置いてないのかしら?」
氏名・住所・電話番号が記載されている個人情報の塊である大きな雑誌は、もう現代では設置されていない。もちろん、土地神さまには知る由もない。
「これじゃあ、自分の足で探すしかなさそうね…」
___マヤを探して、数日が経った。
何の情報もないまま、これだけの人の数から、果たしてマヤを見つけ出すことができるのだろうかと、コハルは不安に駆られる。そんな時だった。
コンビニの入り口前で、制服を着たショートヘアの女の子が、男性2人に話しかけられていた。その様子は知り合いという感じではなく、明らかに女の子の方が警戒し、嫌がっている素振りを見せていた。それでも男性たちは諦めず女の子に絡んでいる。
「いつの世もこういうことってあるのね、なんとか助けられないかしら…!」
コハルは、どうすれば女の子を助けられるかを考えた。
「これならいけるかも!」
_そして、あることを閃く。
読んでいただき、ありがとうございます!
少しでも良いなと思ってくださった方、興味を持ってくださった方がおられましたら、詩村とっても嬉しいです!!
応援していただけるように、詩村のペースで楽しく頑張ります!よろしくお願いします~!




