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第8話「ダンジョンチャレンジ 後編」Ver 1.01

お読みいただきありがとうございます。猫型ロボットのユーです。


前回はダンジョンに挑戦しましたが、女王アグネスは強すぎました。


女王アグネスから父カイルが武道家へ転職した経緯も聞けて、エルティモには価値のある時間だったと思う。父カイルの必殺技については、いつかきっと君も目にすることになるよ。


エルティモは自分の精神をSと評価していたけど、それは制度上の上限で実は集中力が加味される精神はSSSという伝説的なステータスなんだよね。


人前で話すのが苦手なエルティモだけど、それには理由があって、視界から吸収出来る情報量が膨大過ぎて脳が処理しきれていないだけで、精神の力は本当に高いんだ。


それが洞察力の高さに出ているんだね。そしてそんなエルティモの必殺技が披露される第8話。


冒険後編開始~♪

強敵?炎のドラゴンを倒した後、順調に攻略を進め地下25Fに到達した。


「きれい。」


僧侶が感嘆の声をあげる。


私もダンジョンにここまで休息できる美しい場所があることに驚いた。


「ここで一晩休憩することにします。」


このような場所があるということはダンジョンボスの近くなのだろう。きれいな川も流れている。危険もなさそうだ。連戦の疲れも見えてきたのでここで一泊することに決めた。


「賛成だ。」


吟遊詩人も疲れが見えていたので同意し、皆それぞれ陣の設営を始めた。


私は焚火の準備をし、頑張ったみんなを労うためにも料理を始めた。


持参した鉄の棒に、塩とチーズと小麦粉に適量の水を加えて練ったものを細くして巻き付けて焚火の近くに棒パンを刺した。


そして適度にきざんだ干し肉とすりつぶした乾燥トマトと乾燥玉ねぎ、塩と香辛料を適度に入れ混ぜた鍋を焚火近くに設置。絶品トマトスープだ。


「いい匂いだな。腹が減ったぜ。」


女王が周りを確認して戻られた。


「わぁ~、いい匂いです。」


僧侶と遅れて吟遊詩人もやってきた。


「もうすぐ出来ますので、お待ちください。」


食事の最中、女王が気になることを話す。


「このダンジョンは少し変だ。わかるか。」


急な女王の問いにしばらく考えると、気になることが確かにあった。


「ダンジョンの報酬が低すぎますね。宝箱もありませんし、モンスターを倒しても少しの金貨しか得られません。」


これは女王が強すぎるための事情と勝手に考えていたが、女王がもし気にされているなら、おかしいのかもしれない。


「そうだ、ダンジョンは人を招き入れて栄養にする特性がある。今の状態なら誰も攻略にこねぇだろう。」


ダンジョンは人を栄養にする、という話に少し寒気がしたが、確かにお金にならないダンジョンに職業冒険者は来ないだろう。


「でもな、ダンジョンの攻略には必ず報酬がある。これはすごい財宝かもしれない。餞別に持っていけ。」


「あ、ありがとうございます。」


おお、もしかして国の借金一括で返せるかもしれないと、心が躍った。


その後、皆がそれぞれ寝袋に入り、一晩しっかりと休息をとった。


* * *


目を覚ますと女王がそこにいた。


「よう、しっかり休めたか。」


「はい、おかげさまで。しっかり疲れも取れました。」


正直、太陽が見えないため、睡眠は不安定で朝か夜かもわからない状態だが、体力は戻った。


「二人は?」


「今二人とも水浴びにいっている。のぞくか?」


いつものように冗談を言われた。


「しませんよ~。」


微妙な表情で返すと、女王はまじめな口調で諭してきた。


「カイルの倅よ。お前は少しきれい過ぎる。羽目を外すことも覚えた方がいい。」


冗談から本気の話に少し背筋が伸びた。


「正解を出せる、誰よりもだ。少なくともガイア大陸の歴史の中でもっともすげえやつになる、前評判は嘘じゃないことはわかった。」


後衛でよく見られていた気がしたが、気のせいではなかったようだ。


「ならお前はカイルを継いで王になるんだろうよ。なら覚えておけ。民はな、人の集まりなんだ。一人ひとりが集まった集団なんだ。」


当たり前のことを言われている気もするが、何を伝えようとしてくれているのか気になった。


「一人ひとりを見たらいいやつもいりゃぁ悪いやつもいる。でもそれも一人の人間なんだ。それが民ってやつだ。」


言っていることはわかるがまだ真意は掴み切れない。


「お前の弱点は不正解が出来ないことだ。まだ若いから大きな失敗も知らないだろう。でもな、どう頑張っても不正解の中から選択しなければいけないときもある。」


私はまだ不正解が出来ないことが弱みであることが認識できない。正解を見つける自信があるからだ。


「今を大事にすることも覚えておけ。そして民が大事にしているのもそれだ。それを守るために道をそれることもある。」


私は次第にこめかみを左手でかるく叩き始めていた。思考に集中するためだ、、、だがそれはさえぎられた。


「お前は母イーリスのぬくもりを知らない。成長の過程で人として欠けている部分が目立つ。子供の時に甘えた経験がないからかもな。」


女王は自分の胸に私を抱き寄せた。


「言葉では伝わらないこともあるだろう、俺下手だしな。」


そして体を離して私の頭をくしゃくしゃにした後、最後にこういった。


「あの二人をお手付きにしろ。人のぬくもりをたくさん知ることが、一番の近道だからな。」


そういってテントを出ていった。意味を反芻したが、今の私には答えが出せないことはわかった。


* * *


設営の片づけをした後、冒険を再開し、ダンジョンボスの手前の大扉の前に来ていた。


「この階のモンスターからダンジョンボスは間違いなく、ファントムロードだろう。作戦はどうする。」


確かに霊体の騎士系が目立った。女王の推察通り、亡霊の王と言われるファントムロードだろう。


「まず前衛と後衛を入れ替えます。女王は聖属性の武器を用意してください。ファントムロードの攻撃が自分に向くよう仕向けてください。」


「僧侶は回復魔法が攻撃になります。遠隔から最大回復魔法を続けてください。余裕があれば味方の回復に回ってもいいですが、それは今回吟遊詩人が担います。」


「吟遊詩人は常に自身に速さが上がるスキルを使い回避に専念、後はアイテムで体力や僧侶の魔法力の底が尽きないように動いてください。」


それぞれに指示を出す。もし、ファントムロード以外だった場合、初期フォーメーションに戻す旨も伝えた。


「で、エルティモはどうすんだ。」


名前で呼ばれた。さっきのハグで関係値が上がったようだ。二人が少し驚いていた。


「必殺技を使います。」


レイピアの初期スキルではあるのだが、私が使うと一撃必殺の技になる。説明を続けた。


* * *


大扉を開けると予想通り、ファントムロードがいた。ただし、、、聞いていた話より大きさがおかしい。ドラゴンのような大きさだった。


ボスエリアは一度入ると倒すまで出ることが出来ない。


「ちょっと大きいですが、作戦通りに行きます。」


皆がうなづき、作戦通り戦闘を開始した。


まず僧侶が持続回復の大魔法を唱えた。光の大球が現れ、部屋全体が光に包まれた。こちらが回復しつつ持続的にダメージを与える。


ボスは僧侶に目をつけ、迫る。僧侶とファントムロードの直線に割って入るように女王が入り込み、攻撃をはじいた。両手とも聖属性の武器を手にしている。


吟遊詩人は作戦通り、全体に速さが上がるスキルを使い、自身にはより速さが上がるスキルを重ねがけした。


ボスは闇属性の波動を両手から発動し、女王と僧侶をまとめて攻撃に入る。吟遊詩人が光の防御結界のアイテムを僧侶に投げ身を守る。


女王はなんなく躱している。僧侶が大回復魔法を唱えて、ボスに投げつけた。すかさず吟遊詩人がアイテムで魔法力を回復する。


ボスは女王か僧侶か攻撃対象に迷いが出ている。体力は全く減っていないが私の存在は完全に忘れ去られた。


私はボスの座っていた玉座の後ろにひっそりと移動し、吟遊詩人と目を合わせた。頷きあう。いける。


必殺技の準備に入った。右手にレイピアを持ち、左手でこめかみをたたき始める。おなじみの集中のしぐさだ。


まず、視界が狭まる、時間の概念が消える。音も消えた。今理解できるのはボスの姿だけだ。


女王が攻撃をかわしたついでとばかりに、ボスの右手を剣で串刺しにした。ボスがそれを抜こうともがく。


いまだ。


玉座を利用し大ジャンプをする。そのタイミングで吟遊詩人が集中力アップのスキルをかける。


そのまま、ボスの弱点に対して、必殺の突きをお見舞いした。耳が痛くなるような破裂音が聞こえた後、ボスは悲鳴を上げて消えていった。


必殺技の名前は集中突きという刺突剣の初期スキル、だが特徴が一つある。それは集中力に応じて威力があがる、というものだ。


普通は2倍がいいところだが、私の集中力は常人とは桁が違うらしく、20倍のダメージを出す。そのダメージで弱点を確実につき、さらに吟遊詩人の集中力アップのスキルが重なり、一撃でボスを葬り去ることに成功した。


なお、集中しており周りが見えていないため、連携は必須という弱点もある。


「やるじゃねぇか。」


女王からお褒めの言葉をいただいた。


ダンジョンはそのボスを倒しても消えることはないが、最後の宝箱を開けてしまうと消滅する仕組みだ。ダンジョン報酬をいただくため、宝箱をさがしたが見当たらない。


代わりにあったのは、おとぎ話に出てくるような魔導士風の女性が入った大水晶だった。

お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。


なんとかダンジョンのお話を書き終えることが出来ました。


戦闘を文章にするのは本当に難しいことなんですね。とても痛感した回です。


また、ダンジョンなら料理の話だろうと、ちょっとしたブームでもあるように感じていまして、調理の話は当初5倍ぐらいの分量になってしまって、、、私は何を書いているんだろうとぎゅっと圧縮してあの表現になりました。


読んでくださった方々のおなかを鳴らす自信のある出来ではあったのですが、脱線感がすごすぎて、、、バランスって大事ですね。


次回もお読みいただけると嬉しいです。



小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/



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― 改訂履歴 Ver 1.01 ―

・場面転換記号 * * * を3か所追加(起床前/ボス扉前/ボス戦前)

・休息判断の3段落を1段落に集約

・必殺技の解説5段落を3ブロックに集約

・ダンジョン消滅の説明2段落を1段落に集約、引きの一文を独立

・用字修正:体を放して→離して

・重複修正:「上げた後消えて」→「上げて消えて」(後の二重を解消)

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