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第9話「預言者との遭遇」Ver 1.01

お読みいただきありがとうございます。猫型ロボットのユーです。


前回はダンジョンボスに対してエルティモの必殺技がさく裂しました。


基本技が必殺になるのは、エルティモの精神ステータスが伝説級だからです。


あとは、実は料理が上手なエルティモ。学院時代に、周りに助けてもらったお礼のために練習していた、という裏話もあります。


さて、謎の魔導士風の女性は何者なのか、静かに物語が加速していく第9話。


はじまるよ~♪

「あれは何でしょうか。」


私は未知のワクワクから興奮を抑えられない。


「俺も初めて見るな。ガチで国の専門機関に確認させないとだめだわ。」


ダンジョン経験が豊富な女王でも初めて見る光景なようだ。本当にここはダンジョンなのか疑ってしまう。


まじまじと観察していくと、不思議と目が合った気がした。あちらは一切動いていないので気のせいだとは思うのだが。。。


「約束だし持って帰るか?」


「いやいやいや、持てませんよ。」


ダンジョンボスの報酬はあきらめることにする。


「皆さん、とりあえずどのような危険があるかわかりません、撤退しましょう。」


もう少し調べていきたいところだったが、みんなの安全(もちろん自分も)が最優先だ。


ダンジョンボスを倒すと外まで出られる魔法陣が発生する。皆を促し、外に出ることにした。


* * *


太陽がまぶしい。感覚が正しければ二日は潜っていたと思う。怪我もなく、戻ってこられたことに大きな達成感を感じて、大きな伸びをする。


ただし、吟遊詩人と僧侶は見るからに悔しがっている。それを気にかけてか女王が「どうかしたか?」と声をかける。


「実は、、、」


見た目が若返るレアアイテムが欲しかった旨を打ち明けたようだ。


「なんだ、あんなのが欲しかったのか。城にいくらでもあるから分けてやるよ。」


僧侶と吟遊詩人が目を合わす、ハイタッチ。先ほどとうってかわってご機嫌だ。


それを見て女王が耳打ちをする。ごにょごにょと。な、なるほど、、、今は黙っておきましょう。


女王から今日はパーティーを開くから夕食時の少し前に城に招かれる。そちらを了承してお開きとなった。


いったん宿屋に戻り、少し休憩をしようと提案したが、、、3人とも泥のように眠るのであった。



起きると、ちょうど夕方でお城に出向くにはちょうどいい時間になった。


「よかった、寝過ごさないですんだようだ。」


吟遊詩人と僧侶の部屋に訪れ、ノックをし起きているか確かめる。反応がない。


抵抗はあったが遅刻は厳禁だと自分に言い聞かせて部屋に入る。


二人とも、冒険装備のままで眠りこけている。それもそうだ。太陽のない地下世界で2日過ごしたのだ。


疲れないはずがない。


申し訳ないと思いつつも、先に僧侶を起こすことにした。ねぼけまなこで、目覚めの魔法を唱えてもらいパーティーへ出向く準備を皆で始めた。


そう、ドレスアップの時間だ。


私はタキシードに着替えた。吟遊詩人は赤と金のカラードレス、羽の髪飾りが素敵だ。


僧侶はシンプルな白のローブにフードをかぶる。胸元の聖印が清楚さの中に品のよさを出している。


二人とも私に恥をかかせないようにしっかりと準備をしてくれていた。


* * *


約束の時間に城に訪れる。会場に足を踏み入れたが、そこで驚きの光景を見た。


玉座に座る女王が年相応の姿で威厳を保ち座っている。


目が合うと、ウィンクをしてきた。本物だ。こちらが本来の女王の姿なのだろう。


女王がパーティーの始まりのあいさつをする。


「本日はよくぞ参られた、諸侯の方々。


 そしてエルティモ殿。あなたの来訪を、我が国は歓迎する。


 あなたを迎えるにあたり、この地を預かる諸侯すべてに声をかけさせてもらった。


 それは、ただの歓待ではない。


 今宵は互いの顔を知り、言葉を交わし、


 これから先の時代に備えるための場でもある。


 争いのためではない。共に進む道を見出すための夜だ。


 ゆえにこそ―― 今宵は存分に語り、そして楽しめ。


 ――宴を始めよう。」


国を治める本物の女王がそこにはいた。


狐に化かされた気分だ。今朝まで一緒に冒険した女王と目の前の女王、どちらが本物なのだろうか。


いや、きっとどちらも本物なのだ。女王が語ってくれた、羽目を外す、というやつなのだろう。



貴族の方々と初めて会話をしたが失敗してしまった。


「その知識量にただただ驚きが隠せません。もしやもともとはさぞ名のある商人だったのではないですか。」


私は相手の慧眼さに商人特有の知的さを感じ、そのような発言をした後、場が凍ったのを感じた。


しまった。これは成り上がり扱いと受け取られてしまったようだ。


すかさず吟遊詩人が一歩前に出る。


「その通りでございます。この国がここまで豊かになったのはこの方の存在なくては語れません。」

にこやかに、そして優雅に補足を加えていった。


「財と、それ以上に価値のある経験で国を支えるお姿に、エルティモ様が尊敬を覚えるのも無理はございません。」


素晴らしいフォローだ、吟遊詩人。


「そうなのだ。我が国はこの国と比べるとまだまだ小さい。このような賢人がいることに驚きが隠せなかったのだ。」


その言葉にこの貴族は良い気分になったようで、これまでの苦労や自慢話を話してくれた。良い関係値が築けたようだ。


有名な話だが、吟遊詩人という仕事はただの歌い手ではない。物語を語り、噂を運び、人の評価すら変える。


もし彼らが意図して嘘を広めれば――一つの国を傾けることすら可能だという。


私のフォローなどお手の物だ。その後、他の貴族たちとも会話し、よい印象を持ってもらったと思う。


あらためて旅の仲間になってくれたことに感謝だ。やはり自分一人では何もできないな、と感じつつ周りのみんなに感謝をすることにした。



絶品料理に舌鼓をうちつつ、パーティーも終わりの雰囲気を出す際に、女王に兵士の伝令がひっそりとやってきた。


何かあったのか、にこやかに女王が手招きで呼び立てる。


「何かありましたか?」


「ちょっとな、こちらが終わったら少し残れ。」


不穏な空気を感じつつ、最後は今日一緒に冒険した二人を労おうと席に向かう時にそれは起きた。


「痛っ」


急な頭痛がして目を閉じて、開けると景色が白と黒の世界に変わっていた。


それだけじゃない、、、あれ、みんなが全く動かない。いや、、、貴族が落としたハンカチが空中で止まっている。


時間が、、、とまったのか。。。仲間が無事なのかすぐに確認したが、よくわからない。本当に全くわからない。何が起きた?


ふいに背後から、ピンッと、何かが切れる音がした。そちらを振り向くと、空間に一本の線が入ったと思ったら、そこを開くようにして空間から人が出てきた。


驚いたことにダンジョンボスの報酬で出てきた魔導士風の女性だった。彼女を見ると色がある。そうだ、自分を見ると自分も色があった。


この世界で色があるのは彼女と私だけだった。彼女と目が合った。感情のない表情だが一言「ありがとう。」と。


「あなたは何者だ。皆をもとに戻せ。」


警戒し、距離を取る。


「私は預言者。何者かに封印されていたようだ。まだ状況がわからない。だが、せっかくなのでお礼にきた。」


相変わらず感情のない顔のまま、そう告げる。その後私を人差し指で円を囲むようになぞった後、その表情に初めて、かすかな驚きが差した。


「これは……奇妙だ。あなたの未来が、視えない。」


「視えない、とは。」


「私は人の行く末を視る者。だが、あなたには確定した未来が存在しない。糸の先がほどけたまま、どこにも結ばれていない。」


そして彼女は、ひとりごとのように続けた。


「いや――あなたが、ではない。この世界そのものが、だ。流れの最初に、あなたは立っている。何も定まっていない、ひどく稀有な刻に、あなたは在る。」


その言葉の意味は、今の私にはわからなかった。


「お礼に未来を告げるつもりだった。だが、告げるべき未来がまだない。ならば、お礼はまた別の機会にしよう。」


「お礼は今は出来ないようだから消えるが、、、人生を楽しめ。では。」


預言者はそういうと出てきた空間に戻り、その瞬間世界が色づいた。貴族のハンカチが落ちる。


時間が流れ始めていた。


* * *


パーティーも終わり、会場に残り女王から今朝まで冒険していたダンジョンが突如消えた知らせが、警備した兵士から入った旨の話を聞く。


「我も正直いうと初めての事態で状況はわからぬ。ただ被害は出ていないので警戒するだけにしておく。」


年相応の女王がそのように教えてくれた。実はと、先ほどパーティーで経験した不思議な体験を話した。すると女王は考え込む。


「子供の時に読んだ絵本の話だ。よくある冒険譚だよ。あるところに悪い魔女がいて、勇者たちがみんなで頑張って倒しましたとさ。めでたしめでたし。」


ただな、その絵本の最後の絵は、、、大水晶で眠る魔女だった、と告げられた。


「この件は我が責任をもって調べておく。エルティモは旅を続けるがよい。」


そういった後、パンパンと手をたたき、執事に、あるものを用意させた。


「吟遊詩人と僧侶よ、約束のものだ。」


二人の目が光る。


「「ありがとうございます、女王。」」


心からの感謝を伝えるのだった。


最初の国だったがいろいろなことがあったが、明日は次の目的地である魔法都市に向かう。今日はもう帰って寝てしまおう。


ちなみに二人がもらった見た目が若返るレアアイテムだが、、、実は効果が一週間しかないことはまだ伝えていない。


二人と約束したとき、教えてもらった。ちなみに女王は一生分持っているそうだ。


喜びの時間はいくらあってもいい。後日教えるのだが、、、しばらく口を利いてもらえなかった。。。

お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。


今回の冒険者の国のお話、無事完了しました。


この辺りを書いているときは、全体の流れを意識してどこに伏線を入れるのか、意識するようになった頃です。


しかし、あらためて全体のストーリーを鑑みると、100話を余裕で超える大作になってしまう。。。


でも端折りたくないし、いろいろ考えますね。


次回もお読みいただけると嬉しいです。



小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/


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― 改訂履歴 Ver 1.01 ―

・場面転換記号 * * * を3か所追加(地上帰還前/登城前/閉宴後)※閉宴後は要確認

・帰還2段落を1ブロックに集約

・吟遊詩人の説明4段落→2ブロックに集約

・城内の大きな空白2か所を空行1段に統一

・誤字修正:戻ってこれた→戻ってこられた(ら抜き)

・助詞修正:執事をあるものを→執事に、あるものを

・表記統一:口を聞いて→口を利いて

・表記統一:目があった→目が合った

・約物修正:魔女だった。と→魔女だった、と

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