第10話「魔法都市と長女との再会」Ver 1.01
お読みいただきありがとうございます。猫型ロボットのユーです。
預言者って未来を見通せる力があるんだけど、ワンカラットワールドはエルティモのために即興で作られた世界。
なので、まだ未来は存在せず、エルティモはこれから切り開いていく世界が未来として定着していく時間軸の先頭を走ってるんだ。
僕はどこの時間軸の存在かはまだ内緒!
いつか話せるときがくると思うよ。それを楽しみに待っててね。
ついに新しい国、魔法都市に到着するエルティモ一行。優しい長女が登場する第10話。
出航~♪
私たちは魔法都市に向かうため、船に乗っていた。
船を利用することにしたのは、前回の冒険者の国に向かうとき、早馬にスピードアップのスキルで無駄なく進んだつもりだったが尻が尋常じゃないほど腫れ上がり大不評だったためだ。今回は海路が利用できるので、体の負担が少ない船を利用したのだ。
しかし、これはこれで問題が発生していた。
「うぇぇぇ」
僧侶が船酔いで弱っている。殿方にお見せできない姿を、、、失礼します、とのことだ。
リベル国のダンジョンのみで活動しており、普段は児童養護施設で子供たちの面倒を見ている僧侶。船も初めてとのこと。
最初こそは気分が高揚して様々な施設を見学していたが、ついに酔いが回って顔が白くなった。こればかりは魔法で回復できない。
「もうすぐ着くはずだ。無理せず横になれそうなら休もう。」
主に吟遊詩人が面倒を見てくれている。今も背中をさすって労わっている。
「まもなく魔法都市に到着します。船を降りる方は準備をして出口に集合してください。」
乗組員の方々がもうすぐ到着する旨を伝えてくれている。
遠方を眺めると目的地である魔法都市が見えてきた。やはり大きい。
皆を促し、下船の準備をして出口に向かった。
* * *
「エルティモ、ようこそ魔法都市へ。」
下船してすぐに長女セシリーが出迎えてくれた。
「セシリー姉さん、お久しぶりです。」
昔と変わらず優しい笑顔で出迎えてくれた。
「長旅でお疲れでしょうからすぐに城に案内もできるけど、せっかくだから町を案内するわ。」
長女セシリーは私が疲れよりも好奇心を満たすため、町の散策を希望していると考えていたようだ。
さすがに私のことをわかっている。でも僧侶は早急に休ませたいので、吟遊詩人に同伴してもらって先に城に向かってもらった。
私からは父カイルについて近況や直近の女王アグネスとの冒険についての話をした。長女セシリーは旦那ともよい関係を続けているという話を聞いた。
「それは女王といい経験をしたわね。あなたのことだから粗相はしてないと思うけど、それよりも大事な話があるんじゃないの?」
頭上に疑問符が出る。何だろう、大事な話? 預言者の話は不要、借金の問題は片付いた話もしている。
なんだ?
「どっちが彼女なのかしら? 美人系のクララさん? それとも可愛い系のクリスさん? それとも両方なのかしら?」
ぐ、、、そういうことか。。。 いえ、今回の旅は彼女の紹介じゃないのですよ。。姉上よ。
「いえ、どちらも素晴らしい旅の仲間たちです。私にとって必要な能力で選んでいます。」
うっそだぁ。絶対顔で選んだでしょう? と長女セシリーはからかってくる。久しぶりに私と話せて嬉しそうだ。
長女セシリーはこの国で誕生したすごい魔法工学技術を案内してくるそうだ。
「まずはここよ!」
どこに連れてきてくれるかと思ったら街の本屋だった。
「本屋ですか。すごい技術書でも出たんですか?」
確かに魔法都市ならカイルの国よりだいぶ進んでいるとは思うが、、、と疑問に思うと、一冊の本を持ってきてくれた。
それを見て、私は驚愕した。魔法都市はここまで技術が発達しているのか。。。それは色付きで目の前の景色を完全に切り取って紙に写されているようだった。
「これはね、転写という魔法技術なのよ。魔法使いが見た景色や映像を紙に写すことが出来るの。」
本当にすごい、これがあれば素敵な風景をいつでも眺めることが出来るし、より詳細な情報を共有することも出来る。
その後、売れているものを聞いたら美人の転写集だった。。。 それはそうか。
私も長女セシリーの目を盗んで、この国で一番人気のエレイザさんの転写集を全種類購入しておいた。
後学のためだ。。。本当だぞ。
「姉上、魔法都市の技術は目を見張るものがあります。こんなにも高いのですか。」
技術の高さで恐怖すら感じ始めていたが、姉セシリーはこういった。
「もうすぐ空を飛ぶブーツも作られそうよ。すごいわよね。日々、驚きでいっぱいよ。でもね、魔法技術が高くても、それを使う発想はまた別軸なのよ。」
だからあなたが考えた生活基盤事業も負けてないわよ。と、自信を持てと暗に伝えてきた。あなたならこの魔法技術をどう使うの?と。
実はこの魔法技術を見たとき、活用方法は十案以上瞬時に思いついた。いずれ実現したいと思う。
うまく説明できないのだが、新しい知識が加わった瞬間、脳内でいままで考えて散らばっていた情報が瞬時に集約される感覚がある。
これが快感なのだ。脳が快感物質に浸されるような感じ、この集約されたものが閃きなのだと考えている。
「ただね、これを実用化するためには魔法力を膨大に消費する、という問題があるの。とある実験の失敗で判明して、少しもめているらしいのよね。」
悩まし気に姉セシリーは語る。実験には失敗がつきものだ。めげずにぜひ実現してほしい。
* * *
その後、姉上に城に案内してもらい、国王との謁見に臨んだ。
「よく来た、エルティモ王子。貴公の来訪は実に喜ばしい。」
この国王からは知的さを感じる。名はセドリックと名乗られた。
「お招きにあずかり、光栄に存じます、陛下。」
二度目なので、よどみなく挨拶が出来た。
形式的な挨拶をしばらく交わしてそれを終えると本題に入った。
「そちらの国で始めた生活基盤事業――実に見事だ。
まず、人が生きるうえで必要なのは何か。
それを貴公は“衛生”と定義した。そこが優れている。
たしかに、富裕層であれば排泄物を圧縮する魔法工学機器によって清潔は保たれている。
しかし――それはあくまで一部の者に限られた解決策にすぎぬ。
ゆえに、国全体の問題として捉え、事業として成立させようとしたその発想。
論理的であり、かつ現実的だ。我はそこに価値を見た。」
そこまで高い評価をしていただけるとは素直にうれしいと感じた。謝意を伝えた後、さらに続いた。
「さらに言えば、生活基盤とは単一では完結しない。
水がなければ生命は維持できぬ。
灯りがなければ安全も、知の継承も成立しない。
すなわち――それらは互いに連関し、初めて“基盤”となる。
ゆえに貴公が、水や灯りにまで視野を広げている点。
その判断もまた理にかなっている。
そこで提案だ。
我が国の魔法技術を、その体系に組み込んでみてはどうだろうか。」
大変ありがたい提案だった。ただし、相手方にどのような利があるのだろうか。
「大変ありがたい申し入れと存じますが、そのような素晴らしい技術の対価にお返しできるものが思いつきません。」
国王セドリックは心配するなという顔で
「対価の心配は不要だ。
なぜなら、貴公自身がすでに価値だからだ。
我が求めるのは、技術の対価ではない。その思考だ。
貴公の発想をもとに、我が国の魔法技術をどこまで応用できるか。
それを共に探りたい。
無論――機密は守ってもらう。それが守れぬのであれば、この話は成立せぬ。
だが守れるのならば、最新の技術も惜しまず開示しよう。
貴公の知恵は、それに見合う。」
国王セドリックとの会話は大変有意義なものだと考えた。
「承知いたしました。こちらの話は父カイルにも相談し、是非、前向きに検討させていただければと存じます。」
正直確定でやるべきことである。が、世の中には必ずと言っていいほど筋を通さなければならないことがある。父カイルの了承のもと進めていきたい。
「良い返事を期待している。しかし、大変有意義なやり取りができたな。この後の旅も幸あることを祈っている。」
そろそろ話も終わりそうな流れだったが、ここで長女セシリーが一つ提案を持ってくる。
「国王、恐れ多くも一つご提案したい事案がございます。」
「なんだ、申してみよ。」
「我が弟のエルティモは贔屓目ではなく、大変有能な人間でございます。ですので、例の件を相談してみてもよいのではないかとご進言いたします。」
突然、長女セシリーが言い出した。少し驚いたが、おそらくここで国王に恩を売る機会を作ろうとしてくれていると考えた。
国王は少し思案した後、それもよいかもしれないと、相談を持ち掛けてきた。
「エルティモ王子よ、実は我が国は一つ重要な問題を抱えている。我が国の魔法力を補ってくれている精霊王と現在もめているのだ。」
関係が崩れた場合、我が国を支えている魔法力の八割が失われてしまうとのこと。
まぎれもなく国の危機だった。
お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。
小説を書くスキルが2mmぐらいアップした気がします。
姉や王様のセリフにとても苦戦しまして、キャラとしての違和感もないか、何度も作っては消し作っては消し。。。
前回のお話の2倍以上時間を使って執筆しました。
エルティモみたく、こめかみをたたきながら集中して、その力を創造に変えていく、そんな回です。
次回もお読みいただけると嬉しいです。
小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/
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― 改訂履歴 Ver 1.01 ―
・場面転換記号 * * * を2か所追加(船→下船/町→城の謁見)
・3連続空行を1行に整理(間の3か所)
・情報段落を4組集約(船の理由/姉との近況/姉の暗示/父の根回し)




