第6話 「冒険者の国と女王アグネス」
お読みいただきありがとうございます。猫型ロボットのユーです。
前回で無事内政問題が片付き、趣味の読書や魔法工学実験に取り組もうかなと考えていた矢先、父カイルから新たな指示が入りました。
それは世界を回り見聞を広めること、各王族たちと関係を構築していくこと。
内弁慶気質のエルティモには厳しい試練です。新たな仲間が登場する第6話。
はじまりはじまり~♪
父カイルから「四大国の王や王女に会い、見聞を広めてこい」と言い渡され、私はまず最初の目的地である冒険者の国へと旅立った。
早馬を駆り、その冒険者の国に到着する。
「これは大きい。リベルの国が小さく感じる規模だ。」
遠くからでも見えていたが、改めて近くで見るといかに自分たちの国が発展途上なのかが伺えた。
「王子、想定よりかなり早く着いたな。」
道案内も兼ねている吟遊詩人クララが話しかけてきた。
「そうだね。これもクララのおかげだよ。」
「まさかスピードアップスキルを早馬に使うとは思わなかったわ。」
そう、今回の旅は道中目立たないように少数メンバーで、道程を最速で駆け抜ける方針にした。
「クララのスピードアップスキルが高いおかげだよ。ギルドで君を見つけたとき、これだ!って思ったんだ。ありがとう。」
「どういたしまして。」
しかし、クララの顔は思いのほか暗い、それもそのはず-----
「待ってくださ~い。おいてかないで~。」
のんびり口調の僧侶クリスがやっとおいつき、声をかけてきた。
「ああ、すまない。こんな大きな国に来たのは初めてで、つい浮かれてしまった。」
クリスはふっふっと息を整えながらジト目で見てくる。
「王子でもこんな大きな国にくるのは初めてなんですね。」
意外そうな表情でそんなことを聞いてきた。
「これは国家秘密だよ。私は引きこもり気質なんだよ。」
と冗談っぽく真実を伝えてみたが、やはりクリスも表情はさえない。
「じゃぁ、早速で申し訳ないけど、、、回復お願いしていいかい?」
息が整ってきたころ、クリスにパーティー回復魔法をお願いした。
杖に魔力がいきわたり、それを掲げた瞬間、地面に光の魔法陣が現れ、私たちを回復してくれた。
「「「はぁぁぁ。」」」
早馬でスピードアップした結果、揺れも大きくなりみんな腰を痛めてしまっていた。
道中、こまめに休憩がてらクリスの回復に頼った。
少数で目立たない旅を組むなら、この二人が最適だった。
「では、無理をさせたお詫びに、、、ご飯をご馳走させてくれ。なんでもいいぞ。」
やっと二人に笑顔が戻った。
冒険者の国は海と砂漠に囲まれた地帯で、少し遠出をしたら森林や山もある。
それぞれに多くのダンジョンが出現しており、その冒険者が集まり、宿屋や武器や防具が売れ、お金が集まるようになった。
そして長い年月をかけて作られたのが、この冒険者の国だ。
食事を済ませたので、早速城にいって謁見を願い出ようかと思う。事前に父カイルから連絡が入っているはずだ。
城に行き、手続きを始めようとしたときに、大きな牛を担いでこちらに向かってくる女性の姿を見かけた。
門番が「女王!! おかえりなさいませ。」と背筋を伸ばして敬礼する。
あれえええええ、女王? いや、女王は父カイルと同年代だからそんなはずはないんだけどな。
「お前がカイルの倅か。俺がこの国の女王アグネスだ。」
顔に出てはいけないとは思いつつも、百戦錬磨の女王だ。すぐにこちらが思っていることがばれてしまった。
「おう、なんだ。父親とおんなじ年代だからババァだと思ったら、、、こんなに若くて可愛くてびっくりしたな。」
からかい口調で、こちらの目を見てそんなことを言ってくる。
「いえいえ、そんなことはございません。。。いや。。。。。はい、私はその年齢を感じさせないお姿に驚愕しておりました。」
この手のタイプは正直が一番だろう。思ったことをそのまま口にすることにした。
「ここは冒険者の国だぜ。見た目が若返るレアアイテムなんかも、手に入る。」
まぁ、寿命は伸ばせないがな。がっはっは。と豪快にその理由を教えてくれて、そのまま城に入っていった。
女王アグネスと数時間後に面会の約束を取り付けた。
なぜか、急に後ろの二人がこそこそと、真剣に議論し始めた。
城でも泊めてもらえると思ったが、万が一に備え、宿も押さえておいた。
その食堂で休憩をとっていると、子芝居が始まった。
「あーあー、腰が痛いなぁ。一週間はかかる道のりを三日で駆け抜けてきたからなぁ。もう旅を一緒にできないかもしれないなぁ。無理だなぁ。」
クララがそんなことを言ってきた。そのあと、ここまでの道のりを悲劇の旅の歌として歌い始めた。上手い、でも棘がすごい。
ほかの客が「誰だそんなひでぇやつは」とか言い出している。
「私は僧侶クリスティーナ、みんなからクリスと呼ばれて慕われている街の癒し手。過酷な旅でも笑顔を忘れないわぁ。でも、どんな魔法でもぉ、心の傷は癒せないわぁ。」
優雅にくるりと一回転した後、私をジト目で見た後、そんなことを言い出した。
しばらく続くと----------
「すまない君たち。私は少し合理的な性格をしていて無駄なく最短で進むことしか考えていなかった。本当に申し訳ない。」
私は完全に落ち込んでいた。目的のためなら周りが見えなくなるのが悪い癖だ。
二人はやりすぎたかなと目を合わせて、こう言ってきた。
「本当に申し訳ないと思っているのか?」
「本当です?」
二人はテーブルに手をばんとたたきつけて、畳みかけてきた。
「はい、なんでもしますぅ。(小さな声で)」
もう消えたい。
「ほうぅ、なんでもするって言ったな。」
「ふ~ん、なんでもしてくれるんだ。」
二人が左右耳元でそんなことをささやいてくる。これはいったい?少しドキドキすると。。
「じゃぁ決定だ。用事を済ましたらダンジョンへ行くぞ。」
クララが力強く宣言し、わぁぁ、ぱちぱちと両手をたたいて喜んでいるクリスがいる。
「わ、わかりました。。。」
うなだれながらそう回答した。しかし君たち仲いいね。ああ、そうか苦難を一緒に乗り越えてきたからか。
ちなみにパーティーメンバーの選定で一番重要視したこと、それは
私を王子だからと言って気を使わない性格である、ということ。
気を使われながらの長旅は本当に苦痛だと思ったのだ。条件は、確実に満たされている。。。
彼女たちは女王アグネスが言っていた、見た目が若返るレアアイテムがご所望なのだ。
その後、謁見の時間が来た。
「リベル国の王子エルティモにございます。本日はお目通りをお許しいただき、心より感謝申し上げます。」
練習してきたセリフをしっかりと伝えた。
「かてぇ、かてぇよ、王子。私とカイルの仲だ、そんなに肩ひじ張らず普段通りでいい。」
女王は手をひらひらさせて、そう伝えてきた。
「わかりました。では、少しだけ普段通りにいかせていただきます。」
「まだかてぇけど、ちょっとはましになったか。」
その後、国の近況や厠の発明のこと、借金問題は解決したこと、特に父カイルの話にはくらいついてきた。
「そうか、あいつは元気にやっているか。それはいいことだ。」
昔を思い出したのか、笑顔になる。その後、意地の悪そうな顔になり、女王は玉座を降り、近づいてきた。
「ふんふん、お前はイーリス似なのか。線も細いな。肉食ってるか。」
私の顔を両手で挟みながら、まじまじと観察した後、「まぁよい。」と玉座に戻っていった。
「ふふん、父カイル似だったら、閨に無理やりでも誘ってやったが、、、残念だったな。」
にやぁっと、そんなことを言い出した。父カイルを疑ったことはないが、、本当だったのか。
「では、最後に、、何か困ったことはないか。この国で出来ることならなんでもやってやるぞ。」
ああ、そういえば
「実はせっかく大陸一ダンジョンがひしめくこの国にきましたので、少し冒険をしてまいりたいと思います。それで、、、」
見た目が若返るレアアイテムをドロップできるダンジョンを教えてもらおうとしたところ
「なるほどな、あい、分かった。皆まで言うな。つまりお前はこういいたいのだな。このガイア大陸一の冒険者、冒険者の国の女王アグネスと冒険したいと。」
ビシッとポーズを決めた後、うんうんわかるぞと、そんな形で話をさえぎられてしまった。
「お見通しでしたか。さすがにございます。」
こういうしかない。そのように伝えた。
明日は父カイルの戦友、女王アグネスとダンジョンへ行くことが決定した。
いつか父カイルと冒険したくて鍛えてきた。多少腕には自信がある。
正直、、、すごくワクワクしている。
読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。
話を書き始めていたとき、書くのが楽しくなり筆が乗る状態になり、気が付けば朝になっていた回です。
キャラクターを作るのは思っていた以上に大変で、会話だけでキャラがわかることが望ましく、登場させるからには何かきらりと光る魅力を持たせ、後々まで考え抜いて、どのようなエピソードを構築していくかを悩む、という人生初の体験をしました。
しかし、逆にキャラの主軸が決まるとお話が勝手に動き出し、ただ手を動かすだけにもなるという経験も出来ました。
今回はそんなお話でした。
次回もお読みいただけると嬉しいです。
小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/




