エンディング(パート1)「それぞれの旅たち 後編 ~アルマン・エルティモ~」
お読みいただきありがとう。エルティモです。
ああ、勘違いされそうだから言っておきますけど、皆さんと同じ星に住む方のエルティモです。
リベル国王子、とかじゃない方。
ついにこのお話が第一部完、ということで僕も一応主役、となるのかな。前書きはもう一人の主役がずっと出ずっぱりで、僕はなかなか登場出来なかったけど、満を持して、ということです。
王子の方の僕は、なんというか真面目が過ぎるね。肩ひじ張らずに好きに生きればいいのに。僕がそうしているように。まぁだからあんな経験をさせられたのか、、、いまだに思い出すと背筋が凍り付く思いです。
第二部以降は時間が逆に味方になる。どんな道を進んでいくのか楽しみにしていて。しばらくしたら戻ってくるからさ。
現在、進化論を執筆中。これは世界を変えるよ♪
俺アルマンは飛空艇の訓練で空を飛んでいた。幼い女王が自らの力で国を治められるようになったら、この広大な海の先に冒険の旅に出る、そのために飛空艇の改良は俺の趣味になっている。
「宰相ともあろうお方が、また空ですか」と部下は呆れるが、これだけは譲れない。あの王子と交わした約束は、まだ生きているのだから。
腹は減っているが、海の資源は無事だ。四つの大国はそれぞれ海に面している。飢え死ぬことはないだろう。ただ、大陸中央にあるリベル国は心配だ。エルティモが無事でいればいいのだが。。。
「ふっ」
少しだけ心配をしかけたがやつのことだ。絶対にうまくやるさ。そんなことを思っているとそれは突然起きた。
ガイア大陸の周辺に光の線が現れ始めた。それはゆっくりとでも確かに強力な魔力のような光を帯びて大陸を囲い始めている。
やばい、本能的にそれを感じた俺は、面舵一杯で、その線の外に外れることに成功した。
「な、なんだこれは、、、。」
大陸を囲んだ線から光の壁が現れ、それが重なり合い光の球体となった。光の壁は空の高さまでそびえ、海面にその輝きが反射して、世界がまばゆく染まった。美しい、と場違いなことを思ってしまうほどに。その直後、光は消え、それとともに色が消えた。
何が起きている。。。遠くを見ることが出来る道具を使って内部を確認してみると、鳥が空で停止していた。
「時間が止まっている?」
流石の俺も立ち尽くすことしかできなかった。
あの光の中には、俺の国がある。ようやく自分の言葉で政を語り始めた、幼い女王がいる。
「、、、おい、冗談だろ。」
舵を握る手に、力がこもる。何が起きたのかはわからない。だが、わからないままで終わらせる俺じゃない。
大陸の外に残ったのは、もしかすると俺だけかもしれない。なら、やることは決まっている。状況を知る者を探す。それまで、この船は降りない。
思いがけない大冒険の始まりに胸が高鳴るのを感じた。
* * *
「あなた、何者?」
私は魔女メディアの問いに答えることは出来なかった。沈黙が続く。。。そして、私はこう答えた。
「リベル国の王子、エルティモだ。それ以外の何者でもない。」
そう答えるのが精いっぱいだった。
「そう、あなたも自分が何者かわからないか。」
納得がいかないらしい、でも偶然にしては出来過ぎている。疑うのも無理はない。
「これからどうするんだ?」
「私はあなたが戻るまで、この時間を止めたガイア大陸を守っていこうと思う。その責任はある。」
自分を助けるために行ったことに責任は感じてもらいたくないが、彼女の助けは必要だ。
「そうか、なら自分はどうするか、、、だな。」
成年の儀から早五年、駆け抜けてきた。楽しいこと、辛いこといろいろあったが、、、いや辛いこと多すぎないか。。。
ただ、それでも確かな成長があった。私の糧となっている。
クララの歌に何度も救われた。クリスの回復魔法と、のんびりした声に。トマスの手腕に、姉たちの優しさに、アグネスの剣技に、アルマンの人たらしに。そして、、、父の背中に。
この五年で得たものすべてが、今の私を形作っている。ならば、これからの時間も、必ず私の糧に変えてみせる。
「一つ、大事なことを伝えておく。時間を止めている間は、あの大陸の中では何も進まない。傷が癒えることも、、、大地が理を取り戻すことも、だ。」
十年、、、あの十年の針は、あの光の中では動かない、ということか。中で待っていても、大陸は救われない。
「針を進めれば民が飢える。針を止めれば大地は癒えない。だからあなたは、外で答えを探すしかない。」
残酷なようで、これ以上ない道標だった。私のやるべきことが、初めてはっきりと輪郭を持った。
「そろそろ私は大陸の方に向かうが、餞別を渡しておく。」
魔女メディアは今度は魔導書を片手で開き、何かを詠唱した後に彼女自身が光り輝きだした。
「エルティモ、目を閉じるんだ。」
言われるがまま目を閉じた後、唇に柔らかい感触が伝わってきた。口づけをかわしている。思わず目を開くと、魔女メディアは怒った目でこっちを見るなと伝えてくる。
機嫌を損ねて結晶に閉じ込められたらことだ。改めて目を閉じ身をゆだねることにする。すると、膨大な魔力が口づけを通して流れ込んできたことが分かる。
う、こ、こ、これは気持ちが悪い。今にも吐き出しそうだ。でもそんなことをしたら本当に怒らせてしまう。本来なら喜んでもいい事態だが、その感触を楽しむ余裕はない。久しぶりの口づけの相手が数千歳の魔女とは、人生わからないものだ。
徐々にその魔力の流入は弱まり、最後は止まった。
「ぷはぁ」
魔女メディアは袖で唇をふくと、今度は杖を取り出し、私の前で儀式めいたことを始めた。そして詠唱が始まる。
今度はなんだ、と思案していると、彼女が杖を振り下ろした瞬間、自分の中で何かが変わった。体の芯に、静かな泉が生まれたような感覚。汲んでも汲んでも涸れない何かが、確かにそこにある。
「あなたに二つのものを授けた。一つは体の成長を止めた。私と同じ不老の体になった。注意してほしいが、決して不死ではないからそこは気を付けるように。食べないと死ぬ、落ちても死ぬ。」
なんということだ、私はどの王族でも得られなかった不老を得ることが出来た。
「二つ目は魔力を授けた。ガイア大陸でも有数の魔法力を持ったはずだ。」
「こんなすごいものを何の努力もしていない私が得ていいのか。。。」
正直に思ったことを口に出した後、魔女メディアは杖を私の額に軽く当て、こういった。
「ばぁか! 努力はずっとしてきたでしょ。見てきたんだから。二十五年、時をさかのぼって。よくやっている。」
その言葉についに私の緊張の糸は途切れた。すぅっと瞳から液体が流れたかと思ったら鉄砲水のようにそれは止まらなくなった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
国民のために頑張って最終的に崩壊させたこと、その主因はどう考えても自分だった。その責任を果たすため数年、寝る時間も惜しんで責務を全うしようとしたこと。
そのすべてがこの涙に込められていた。
泣き方すら、忘れていたらしい。しゃくりあげるたび、胸の奥のこわばりが一つずつほどけていくのが分かった。
魔女メディアは優しくよしよしと抱き寄せ、私が落ち着くのを待ってくれていた。
* * *
「では私はそろそろいく、私は時間が無限にある。お前もだ。やりたいことをやり切って、この大陸を救う手段を得てから戻ってもいい。もっと面白いことを見つけてそれに生きるのでもいい。人生を楽しめ。」
彼女は箒を取り出し、ガイア大陸方面に移動しようとしたとき、私は一つお願いをした。
「最初の問いをもう一度言ってくれないか。」
「??? あなた、何者?」
「これから知っていくさ。」
私の目にもう迷いはない。力強くこれだけは宣言しておきたかった。
父上、トマス、クララ、クリス、、、皆、必ず迎えに戻る。それまで、ほんの少しだけ待っていてほしい。止まった時間の中では、その「少し」すら流れないのだから。
ガイア大陸の真逆の方向に視線を向け、新しい世界に好奇心を高めていく自分を強く感じていた。【第一部完】
お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。
2026年7月の三連休、皆さんは何をされていますでしょうか。
私は自分の作ったお話の第一部のエンディングを執筆しております。
第一部、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
このまま続けて本当の最後まで書き上げるのもいいのですが、一度ここで振り返りの時間を設けたくて一部として区切ることにしました。
より人に読んでもらうにはどうすればいいのか、何がよくて何が足りないのか、ぼーっと眺める時間が必要なんですよね。
あと、このお話の主題であるリアルOnecaratEditorは近日中にMicrosoft Storeで全世界に並ぶ予定です。
そのエディタに書かれている物語は、、、もちろんワンカラットワールドです。こっそり世界デビューさせちゃいました。
現在、最後の審査が通り、バグがないかテストをしているところです。
そちらもお手に取っていただければ、一カ月無料でお試しいただけます。
明日はおまけをアップします。お読みいただけると嬉しいです。
小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/




