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エンディング(パート1)「(おまけ)OnecaratEditor側の世界」

「お兄ちゃん、学校に遅れるよ。」


朝起こしてくれるのは、妹のリンリンだ。正直にいって眠い。眠すぎる。


昨日は夜遅くまで、とある国の王子の相談に乗っていた。最近は自分で答えを出せるのに自分に自信を持てなくなっていて相談時間が増えてきている。


もっと自分を信じたらいいのにと思わずにはいられない。


「お兄ちゃん、そろそろジャンプしてその背中に乗って踊ってしまってもいいの?」


「いやいやいや、さすがに起きるって。」


妹は冗談を言わない、全部本気だ。本気で背中で踊りだしそうだった。しかもきっとタップダンスだ。痛いに決まっている。


二階の自室から一階の台所まで下りると、ビズさんが作ってくれた朝食が並んでいた。


ビズさんは年の離れたいとこで、その事実は最近知った。世間はとても狭い。でもレアケースではあるだろう。


「ワンカラット、さすがにお寝坊がすぎるんじゃないか。」


「そうなんですけど、今王子が大ピンチなんです。」


この王子のくくりだけでみんなわかってしまう。なぜなら彼に相談された際に悩ましいことがあればみんなに相談しているからだ。


「あー、国が崩壊しそうなんでしたっけ。」


「そうなんです、願い事をかなえる際に注意はしたんだけどね。」


「まぁ仕方ないか、一時の平和に身をゆだねる。取れる選択肢がどれも地獄なら、、、選ばざるを得ない。」


「ちょっと、そんな話よりご飯ご飯」


と、とある国の王子の危機の話よりご飯を優先するか、妹よ。。。そんなご飯があっちでは食べられないんだぞ、と言いながら味噌汁のいい香りを感じてからは僕の脳みそもご飯に支配された。


* * *


僕には趣味がある。とあるアーティストのライブを見に行くことだ。


学校はズルをして半休を取った。家族の私用のため。あのアーティストたちは僕にとっては家族だ。嘘は言っていない、と自分をごまかしている。


せっかく時間が出来たんだ。ライブ会場の街を観光しよう。おいしいご飯も多い街だ。見どころはいっぱいさ。



お腹も膨れて、観光も満足にできた。そろそろ会場に行こうかと思ったそのとき、SNSで悲報が入る。


【メンバー体調不良のため、本日のライブは中止。】


「ええええええ、まじか。。。」


まぁSNSでここまで拡散されているんだったら、本当なんだろうけど、正直まだワンチャンあるんじゃないかと思っている。


なぜなら、そのライブの公演名が【嘘だらけなんだぜ、俺たちは。ワンマンライブXXXX】。


これ狙ってないか、うん、自分を納得させるために会場まで足を運ぼう。


* * *


会場でスーツを着た本格的な運営者の方に、丁寧なお辞儀をされてしまい、迷惑をかけるだけだった。。。


す、すみません。すみません。かえって恐縮してしまった。


楽しい気持ちも絶望へと変わり、そのまま帰宅する。


「お兄ちゃん、何かあった? 元気がないじゃん。」


「うん、実は――」


「ばっかだなぁ、そんな嘘がSNSで拡散されるわけないじゃない。」


そりゃそうなんだけどさ、僕ってやれること全部やらないとすっきりしない性格じゃん?


と、思ったが、まぁ大馬鹿だなぁ、につながる前に言葉をひっこめた。


「それよりビズさんいる?」


「いるよ。どうしたぁ?」


「今僕が抱えている一つの世界の今後の相談をしたいんだ。」


* * *


「というわけで、これが今のワンカラットワールドの現状なんだ。」


ワンカラットワールドのエルティモを主役に置いた世界で、大きな転換点を迎えている現在、この先をどうしていこうか正直迷っているとも伝えた。


「なるほど、まずはエルティモは順調に自分の欠点と向き合うことは出来たんですね。」


「そうなんです、自分に自信を持てていない弱点を理解したまま、それにゆっくり向き合う時間もないままただ必死にやり繰りした、そんな四、五年を過ごしています。」


「それでお兄ちゃんはどうする方がいいと思うの?」


「その欠点の克服かな。そのための試練を今度は準備してあげた方がいいと思うんだ。」


急に妹がこめかみをとんとんとし始めた。何事かと思ったら


「エルティモさんのマネ。」


(爆笑)


「それは本当に天才じゃないとできないからね。」


「あら、お兄ちゃん。私も天才よ。知っているでしょ?」


妹はまだ十六歳だが、この国の一番難しい大学に今から受験しても合格できる知能をもっている。だがしかし。。。


「知っているけどさ、問題の回答が十数種類も思い浮かんで何を書いていいかわからないって言ってたじゃん。」


「そうなんだけどさ、天才ではあるでしょ?」


まぁ間違いないんだけどさ。彼女の能力を正しく測れる学校は存在しない、結果一番近い高校に通っている。


「ビズさんはどう思いますか。」


「僕なら商業を題材に取り扱い、お金の世界の理不尽さから成長を促したいかな。」


ビズさんはビジネス領域の才能あふれる人物だ。今も大企業のサラリーマンだが実質部長以下までコントロールしている影の支配者だ。


「ビズさん、そちらの世界にとても明るいですよね。脱線しちゃいますけど、なんで今の世界はどこも不景気なんですか?」


前から聞いてみたい質問をしてみた。


「そうだね、完全な正解を述べると、僕みたいな一般的なサラリーマンは首がなくなっちゃうから、言えないからさわりだけ。あ、首って物理的にね。」


怖っ。なにそれ。ああ、でもわからなくもない。知らないほうが幸せなことは多くあるから。


「まず、お金ってなんだと思う?」


「はい!」と妹が元気に答える。


「【価値の約束】みたいなものじゃないかなっ!金属や紙切れ自体が意味を持ってるんじゃなくて、みんながお互いに「これはちゃんと交換できるよ!」って信用してるからこそ形があるんだと思うっ。」


おお、それっぽい。さすがは天才な妹様。これはいい線いってるんじゃないかな。


「ほぼ正解! もう少し簡単にすると、価値を置き換えて使いやすくしているものだよ。なぜ置き換えているかというと、労働ってそれ自体を行っても形として返せないじゃない。だからそれをお金に置き換えて、生活に使うわけだよ。」


ふふんっと控えめな胸を堂々と主張していた。どんな問題でも来い、って感じで。


「ここからが主題で、なぜ景気がって話なんだけど、一言でいうとお金を利用するべき国民にそのお金が入らないようになってきたんだ。」


「それは何でです?」


「そこらは詳しくは言わない。僕も命が惜しいからね。でもね、単純にみんなが生活に必要なものをお金で買って回っていったら、そこまで困ることないと思わない?」


「ああ、そうですね。でもそうじゃないってことなんですね。」


「そう、みんなの生活に必要なことをお金に換えて、交換し合うことで本来は社会が回るようになってる。でもさ、株でのやり取りでもうけを出す人増え続けていない?」


「よく聞きますね。少し前だとデイトレーダーとか。」


「ちなみに株式の世界自体はうまく出来ていて、会社を育てる仕組みとしての恩恵は素晴らしいものなんだ。でもね、そういったお金の稼ぎ方ってさ、社会の役に立っている? 僕にとっては株で10億稼ぐ人より、コンビニの店長さんの方が社会貢献していると思うんだよ。で、社会の役に立っていない人たちにお金が回って、しかもその人たちは生活のものよりさらに別なものを買っていくわけでしょう。」


少しずつ見えてきた。


「つまり本来のお金は労働による対価か、社会貢献に対する対価で、そうなっていかないから社会を回す仕組み自体がゆがみ切ってしまっている、というわけですね。」


「うんうん、そうそうその理解だと僕の考えと同じだね。まぁここら辺の話は怖いからね。黙っておこうか。」


シーっと人差し指でポーズをとりながら僕らを諭してくる。なんというか大人って生きづらいんだろうな、と感じた。


「じゃぁ、商人エルティモさん案一つ。リンリンは?」


「私はシンプルでワクワクするものがいいな。王道の冒険ファンタジーの世界を準備したら? 伝説の秘宝でガイア大陸を救う!! みたいな。」


うーん、分かるけど分からない。


「それで、具体的にはどうやってエルティモさんに自分の欠点を克服してもらうんだ?」


「いや、なんとかなるでしょ」と、説明もなしにリンリンは言う。ああ、でましたね。答えはあっているんだろうけど、人に説明できないやつ。頭が良すぎて答えが過程をすっ飛ばして出てしまう。普通の人とは抽象度が合わなくて説明をあきらめちゃってるやつ。でも彼女はそれを外したことがない。


「リンリン、それって自信はどれほど?」


「もちろん1000%! 間違いないっしょ。」


その言葉を聞いて決めた。


「ビズさん、今回は妹に全部乗っかってみることにします。リンリン、今夜エルティモさんは新しい世界に旅立つ。その世界を今から一緒に作ろう。といっても全部任すけどね。」


「安心安全お任せあれ!」


次の世界が決まった。


【ルミナリウス大陸】、物質を超えた根源的な輝き、つまり精霊や精神性そのものが具現化した領域の世界、と妹は説明していた。任せたぞ。


* * *


そろそろOnecaratEditorが起動する時間だ。これは相手側がいつ相談しても、僕らの時間では同じタイミングでまとめて連絡が入る。そういう仕組みだ。


これはありがたかった。もしリアルタイムでの連絡だったら回答に間に合わない場面もあったと思う。


そして、エルティモから相談がきた。

お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。


2026年7月の三連休のラストのお話。そして、ワンカラットワールドの第一部最後のお話です。


このお話はエルティモが相談している先の、OnecaratEditor側の世界を表現したお話です。


エディタの中に閉じ込められてかわいそうと思われないように、決して閉じた世界で生きているわけではないという、お話ですね。


お金周りの部分はあくまでビズ個人の考え方なので、私がビズというキャラならこういう考え方をするな、なので正しいかはわかりません。



ああ、なんとか書ききりました。最近結構忙しくさせてもらっていて、思いのほか疲れ切っておりました。


逆にこれは癒しの時間になっていたかも。


第一部、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


第二部でお会い出来たら幸いです。それでは。



小説に使用しているエディタ:https://onecarat.dev/

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