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第1話「成年の儀・王位継承候補 リベル・エルティモ」

お読みいただきありがとうございます。猫型ロボットのユーです。


前回は我らが主人公エルティモが、世界を改変できるテキストエディタを開発してしまってね、神様っぽい方に「それを扱うにはまだ早い」と判断されて、成長のために新しい世界へ転生させられちゃったんだ。


エルティモは王族の姉二人の末っ子長男として生まれて、僕は赤ちゃんの頃からずっと傍らで見守ってきたよ。そして無事、二十歳の誕生日を迎えてくれた。


二十歳を迎えるまでにも色々あったけど……それはいずれ語るとして。


さて、王族として生まれた以上、二十歳の誕生日には成年の儀として国民の前に立たなければならないんだ。


コミュニケーションが大の苦手なエルティモ、果たして無事に乗り越えられるのか。


開幕開幕~♪

「まぶしいな」


ベッドで目を覚ますと朝日に窓からはいり、今日が始まったことを私に告げる。


伸びをして「んっ」っとストレッチを軽く行い、起きてすぐ、猫型ロボットのユーに話しかけた。


「おはよう!」と頭をなでると「にゃー」と返してくる。不思議な瞳をしていて今が6時であることを教えてくれた。


いつもの日常だ。


本日、建国30年7月9日、私は二十歳の誕生日を迎えた。


リベル家という王族の末っ子として生まれたが、長女次女と続き、最後の最後に希望だった男子である私が生まれた。


リベル家は、父であるリベル・カイルが一代で築き上げた王家だ。


このワンカラットというこの世界で、ガイア大陸の中央一帯はかつてどの国にも属さぬ空白地帯だった。


父はそこに点在する村々を束ね、一つの国へと作り上げた。


我が父ながら偉大な王であり、尊敬している一人だ。


幼いころ父から何度も聞かされた。


国にすると決めてからはなかなか大変だったと。


冒険者だった両親たちは、新しいダンジョンを見つけ、そこから膨大な鉄鉱石の資源を得ることが出来るようになった。


そこから入植者を集め、犯罪ギルドを撲滅させ、治安維持に奔走し、信頼をあつめていき、城を構えた。


城壁を見るたびにその苦労を思う。


建国には20年以上の歳月がかかり、周辺の王族たちにも挨拶にいったが会ってもらうにも数年がかり、大量の兵を向けられたこともあったそうだ。


どうにかこうにか対話を繰り返し、なんとか存在を認めてもらえるようになったのも最近のことだった。


城の構築費や運営費用も馬鹿にならないはずだ。それでも周辺諸国より税を安く抑えている。武人だと思っていたが、やり繰りが得意なのは意外だった。


自分には真似できないかもしれないと思う。


私は冒険者仲間だった父の幼馴染、吟遊詩人の母イーリスの間に誕生した。


母は私を生んですぐに亡くなったそうだ。難産だったようで私を生んだ後に笑顔で逝ったそうだ。


そんな母の分までも私はしっかり生きないといけないと、魂に刻みここまでやってきた。


「やっとここまできたか」とひとりごとのようにつぶやく。


生まれてすぐは普通の子供だったが、幼少期には言葉を話すようになり、キョロキョロと周辺を必要以上に観察する不思議な子だったと聞かされている。


今もそうだが、好奇心が人一倍強かったんだと思う。見える景色の情報量が多く、そこから物事がどう動くかは予想が出来た。


そこから問題があれば解決策を示し、たとえばこれから朝食の時間だが、そこで使われるフォークやスプーンを食事で使うようになったのも私の発案からだった。


今では国のみんなが手やナイフは使わなくなり、衛生的に食事ができるようになった。


学院では、数々の伝説を打ち立て、歴代でもっとも優秀な生徒だったということで、記念碑が立てられるところだったが、それは頭を下げてやめてもらった。


オタク気質の私にそれはちょっと厳しい。一つのことに異常なほどの集中力を見せるが周りが見えなくなることも多く、これから気をつけねばと思っている。


広間についた。


「おはようございます。父上。」


父カイルを見つけ、挨拶をする。


「おはよう、我が息子よ。。。大きくなったな。今日という日を迎えられてイーリスも喜んでいることだろう。」


と、すこし涙をこらえる父をみて心を打たれる。後妻をとらなかったことを考えると本当に愛していたんだと思う。


周りは妻をとるように促したが頑として譲らなかったらしい。


「はい、これまでもそうでしたが、これからも母イーリスの名に恥じぬよう精進することを誓います。」


あ、泣いちゃった。


「そうか、そうか。。。お前という息子を得られてうれしく思うぞ。。。」


もうすぐ、60歳近い、涙もろい歳なのかもしれない。一日でも早く王位を継承して楽にしてあげたいと思う。


軽く朝食を済ませ、今までの人生で最大のイベント【成年の儀】に向かう。


国民に対して、成人した旨を大々的にアピールし、今後の国政を担う人物だと今から安心してもらうための場でもある。


これを迎えると、正式に王族の仲間入りだ。油断はできない。練習もたくさんした。みんながどう見るのか不安もある。


でも、やり遂げねばならない。こんなことは一生続くんだから、今から臆病になってどうする、と自分を鼓舞することにした。


全国民に向けて、王カイルのあいさつが始まる。



「聞け、我が国の民よ。


 この国は、誰かの帳面の上で生まれた国ではない。

 祈っていたらできた国でもない。

 戦い、守り、耕し、奪われぬよう踏みとどまって、ようやくここまで来た国だ。



 わしはその始まりを知っている。

 何もなかった土地に、最初の火が灯った日を知っている。

 飢えた夜を知っている。

 剣を握らねば朝を迎えられなかった日々を知っている。



 だが、我らは生き延びた。

 いや、生き延びただけではない。

 国を築いた。



 その国の未来を、今日ここに一人示す。



 我が子、リベル・エルティモだ。

 この子は才ある者だ。

 人より多くを見て、人より深く考える。


 だが、王家に必要なのは才だけではない。

 責を負う胆力、民の前に立つ覚悟、そして守るべきもののために退かぬ意志だ。

 本日より、リベル・エルティモは王位継承候補として歩み始める。


 甘やかすつもりはない。

 特別扱いもせぬ。

 王家の名を継ぐ者ならば、誰よりも重いものを背負って立たねばならぬからだ。

 民よ、覚えておけ。

 この者が次代を担う。

 未熟なら鍛える。

 迷うなら進ませる。

 倒れるなら立たせる。

 それでも立てぬ者なら、王にはなれぬ。


 エルティモ。


 お前は今日から、己のためだけに生きることを許されぬ。

 民のために考え、国のために歩み、必要とあらば先頭に立て。

 それがリベルの名を持つ者の責務だ。

 今日この日をもって、わしは我が子リベル・エルティモを、諸君の前に示す。」




国民の前と父親として私に対する態度は全く違う。力強いあいさつだ。


割れんばかりの歓声に驚きを隠せない。緊張が私を襲う。これが国を背負うという重圧なんだ。


舞台までまっすぐ、そして丁寧にゆっくりその場まで歩いて行った。


その間にみんなの視線が私に集中しているのがわかる。不思議だ。チクチクと痛む。


それでも。。。 堂々と前を向いてみんなに話しかけた。



「皆さま、本日はお集まりいただき、ありがとうございます。私は、幼い頃から多くのことを不思議に思ってきました。

 なぜこの形なのか。なぜこのやり方なのか。もっと良くする方法はないのか。」


緊張が嘘のように声を出すことが出来た。


「そうして見て、考えて、試してきたことの積み重ねが、今の私を作っています。

 ですが、どれほど優れた知恵や工夫があったとしても、それだけで国を支えることはできません。」


本当にそう思っている。


「畑を耕す人がいて、物を運ぶ人がいて、城を守る人がいて、日々を懸命に生きる皆さまがいるからこそ、この国は成り立っています。」


みんなの力があって国は成り立っている。


「私は本日、成年の儀を迎え、王位継承候補として皆さまの前に立っています。

 この立場は、誉れであると同時に、重い責任でもあります。

 だからこそ私は、驕らず、学び続け、考え続け、この国の明日をより良いものにするため尽くすことを誓います。


 どうかこれからも、リベル・エルティモを見守っていてください。」




溢れんばかりの歓声が聞こえる。耳が痛いぐらいだ。


しっかりと話せたかな。練習通りにはできた、想いも乗せられたと思う。「はぁぁぁ」肩の荷が下りた。。。



無事、成年の儀を終えたその日の夜、父カイルに呼び出された。


正式に王位継承候補になり、これから王を目指すために多くの試練が与えられる。


その話かと考えていたが、全くの予想外の話を聞かされる。


「来たか、エルティモよ。。。これから大事な話を聞かせる。心せよ。」


どくんと心臓が跳ねるのがわかった。


「はい、聞かせてください。」


「わが国には大量の借金がある、金額は80億金貨だ。。。。その担保はお前だ、エルティモよ。」


「え?」


膨大な金額に血の気が引く音がした。本当にサーって音が鳴った。


今日は私の誕生日の7月9日だが、、、果たして冬を越せるのだろうか。


頭の中が真っ白になった。

お読みいただき、ありがとうございました。onecaratです。


小説を書くにあたって正しいやり方がわからず、まずは勉強から入りました。

「ベストセラー小説の書き方」という本を読んで、じゃあ書いてみよう、そこからTry & Errorの連続です。


話の矛盾がないようにオープニングからエンディングまで大まかな流れを作り、そこから話を整備して、それを切り取りながら各話の内容を考えていきました。そうして分割した1話1話を書くのに、毎回3時間ほどかかっています。


バックボーンに違和感が出ないよう、中世の世界がどんな様子だったかもたくさん勉強しました。


世の小説家の方々にただただ頭の下がる思いで、尊敬の念が堪えません。

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