オープニング「プロジェクト エルティモ」
(カタカタカタ、タン、タン、カタカタカタ、タン、カタカタ、タン…)
狭くて暗い部屋に一人、青年がPCの前で一心不乱にキーボードを叩いている。
(パチパチパチパチパチパチ、タタンタン…)
もう何年も見ている姿だ。
(タタタタタタタタ、カチ、カチ、タタタタ、パーン)
彼はエルティモ、学生で、、、一言で言えば天才だ。
(タンタカタンタカ、カチカチカチカチ、タタタン)
視界から脳に入る情報が人より遥かに多く、普通の人なら心は丸裸にされ
(カチカチカチカチ、、、)
大抵のことは答えが先に出るが、、、その過程が説明できず、人との関わりを諦めている。
(カタカタカタ、パパパパパン)
彼は何年もプログラミングに励んでいる。
(カタカタカタ、カタカタ、、、)
残念ながら、彼の才能はプログラミングには向かなかった。
大局の答えは出せても、細かいロジックを組むことが出来なかったのだ。
だが、AI駆動開発が確立され、作りたいものを説明すればプログラムを作ってくれる環境が出来た。
こういうものを作ってくれ、でプログラムが完成するようになったのだ。
そのおかげで、この天才?でもプログラムが作れるようになった。
ここ最近はモニターにかじりつき、いつ寝ているかわからないほど、すごい集中力だ。
(カタカタカタ、、、)
「ふうっ」 彼の吐く息は白い。
寒い冬だが、光熱費をケチり、キーボードやロボットのパーツ代に充てている。
彼はキーボードの打鍵が早すぎて、すぐにエンターキーが壊れてしまう。
しかし、せっかく覚えたキータッチを変えたくないため、安くて丈夫な同じキーボードを大量に買い溜めしている。
(パチン)
エンターを押すと、「ん~っと」彼は小さく伸びをした。
僕は誰かって?
よくぞ聞いてくれました。
僕は未来から来た過去を調査する猫型ロボットさ。
名前はユー。
はるか未来で、、、人類史で最も偉大な天才は誰か、世界的な議論が起きた。
各国が自分の国の人物を上げたが、、、とある首脳がエルティモの名前を上げた。
その瞬間に誰も異を唱えなくなった。満場一致である。
死後も彼の残した人類進化論のおかげで、何度も滅亡を逃れることが出来た。
はるか未来の平和や豊かさは彼のおかげである。
しかし、、、その彼には秘密が多い。なぜあれほどの実績を一人であげられたのか。
彼の偉業を正しく後世に残すため、とあるプロジェクトが誕生した。
「プロジェクト エルティモ」
僕は調査員として、国際時空法にのっとり過去にやってきたのだ。
(カチカチ…)
お、再開した。
この時代のAI投資は凄かったと記録されている。
全AIの合計知能とエルティモ、どっちが優秀かと議論されるぐらいには、、、この時代のAIは頑張っていた。
(カタカタカタカタパチパチカタカタ、カカカカカカパチパチ、、、)
そろそろか、彼が世界を変えるテキストエディタを作った瞬間はそろそろだ。
(カタカタカタ、カタ、、、カタ、、、、)
彼はつぶやく、、、「出来た」と。
スパーン!!!とエンターを力強く押した音が響いた。(だから壊れるんだよ)
その瞬間、モニターから光が溢れ、眩しさを感じて目を閉じた。
何がおきたんだ。
その後、不思議な感覚が襲う。
おそるおそる目を開くと、、、青くて美しく広大な世界の、、、空の上を飛んでいた。
エルティモを見つけると
「何が起きている。」
と呟く。
さすがの彼も自分の身に何が起きたのかをすぐには理解できなかったようだ。
目の前には緑も水も光が、、、輝かしいほど広がった大地に、、、水平線の先には宇宙も見えた。
流れ星に乗って、小鳥はさえずり、クジラが空を泳いでいる。
彼は「夢か。。。」とつぶやいた瞬間、何かと会話を始めた。
「エルティモよ。。。そなたやってくれましたね。。。。。」
「何のことです?」 と回答していた。全く身に覚えがないらしい。
「ふぅっ、、、そなたが作ったテキストエディタは、、、世界の理と繋がっている。」
若干不機嫌そうでもあり、楽しそうでもあり、迷惑そうな顔もしている、、、面白い人のようだ。
いや、、、人? なのか。。。
性別は男性とも女性とも捉えられる中性的な見た目に、気持ちいい声色、、、これが1/fというやつなのか。。
エルティモはしばらく考えた後、一つ尋ねた。
「あなたは誰ですか?」
「私はコアーシ、世界の概念をつかさどるもの。。。 人は神と呼ぶこともあれば悪魔とも呼ぶ、、、奇跡の象徴でもあれば不幸の存在ともなりえる。」
「なるほど。。。コアーシさん、いやコアーシ様?」
彼は人に対しては臆病な方だが、人以外にはグイグイいけるようだ。メモメモ。
「コアーシでよい。。。なんだ?」
「では、コアーシさんで。。 先ほど世界の理と繋がっているとおっしゃいましたね。。。。じゃぁ成功したんだ。」
エルティモは歓喜を爆発させた。
「おっしゃぁぁぁ。やっぱり自分の理論は間違っていなかった。。AI駆動開発ありがとう。。」
コアーシ様は少し困った顔をして語りかけていた。
「エルティモよ。。。そなたがどれほど恐ろしいことをしたのか、わかっているのか。。。」
「まったく理解できていないですよ。私が使う分には、悪いことは起きようがない。。。」
「あれは世界の理を改変できる。。。世界の美意識を変化させる些細なことから、地殻変動や重力の流れ、川は下流から上流に流れ、時間も自由に行き来することができる。。」
エルティモはまだ理解が及んでいないもよう。コアーシ様はさらに続けた。
「善とはなんだ、悪とはなんだ。人を助けることが正しく、人を傷つけることが悪なのか。。。」
なぜ、そんな当たり前なことを言われなくてはいけないのか、という顔をエルティモはしていた。
「善も悪も見ている側の視点、各個人の視点でしかない。。。そなたは賢い。人類史上最高かもしれない。。。それゆえそなたは愚かなのだ。」
エルティモはまったく感情が揺さぶられず、何を言われているのかも理解が出来ていないようだった。
「出来ればわかるように説明をしてもらえないでしょうか。」
彼は言葉は冷静だが、表情は内側で爆発している好奇心を抑えきれない少年本来の顔をしている。
その表情にいよいよ困り果てた顔をして、コアーシ様はこう言った。
「言葉で説明できるなら苦労はしない。。経験でしか得られないことがあるのじゃ。そこで我はそなたをこの世界に呼び寄せることにした。」
「それはいったい。。。」
エルティモは急に強烈な眠気に誘われた。
コアーシ様は最後にこうつぶやいた。
「そなたに試練を与える。。この世界に転生して人とかかわる経験をせよ。。そして多くの試練を乗り越えたら元の世界に戻してやる。きっとそのとき自分の発明品も正しく使えるようになっているだろう。。。」
そのあと、エルティモは深い眠りについた。
コアーシ様はそれを見届けた後、「ユーよ、そなたがただのロボットじゃないことはわかっているのじゃ。」
びくっ、と壊れたふりをしていた僕をコアーシ様が見てきた。
「エルティモがこんなことになっていたなんて。。。」
「ユーよ、エルティモの記憶は封印するが、そなたの記憶を奪うことはせぬ。うまく導いてやれ。。」
「コアーシ様は何がしたいのですか?」
「エルティモは人類に必要なものを授けるであろう、、、しかしやつは純粋ゆえ、危険なのじゃ。。。それでもやつの存在無くして人類はこれ以上の進化は難しいじゃろ。」
「そうですね。。。未来では彼の功績なくては何度も滅亡の危機を迎えています。」
「そうだろうな、、繰り返しになるがやつを導いてやれ。。。この世界なら未来はわからないじゃろ、それゆえ好きにやってよいぞ。」
別世界にこれから転生するなら、僕のいる世界の未来が変わることはない、、、なんてことはない。大問題だ。
やばいやばいやばい。。。
ユーは後悔していた。。。
何千人の中から厳しい予選から本線を勝ち抜き、優勝賞金と副賞として、今回の任務を獲得した。
うれし泣きした姿は全世界に放映された。
憧れの偉人を間近に見て、日々感動の中を過ごしていたが、まさかこんな事態になるなんて。。。
断れるはずもない、、、もし失敗したら人類の滅亡は確定しているのだから。。。
エルティモの歴史的な書籍や発明品は人類の滅亡から何度も救っている。もしそれがなかったら未来も僕も終わりだ。。。
「転生先の世界なら、このテキストエディタを利用してかまわぬ、タイミングを見て与えてやれ。」
「にゃー」と呟いた。最後の抵抗である。
はじめまして、AIエンジニアのonecaratです。
お読みいただきありがとうございました。
OnecaratEditorというテキストエディタを作っています。小説好きの方にも使ってもらいたくて執筆モードという機能を追加してみました。
でも書く人の気持ちがわからないとなぁと思い、思い切って本格デビューです!
執筆には自分の作ったエディタを使っています。ストーリーや構成は全部自分で考えていて、添削にAIを活用しています。
どうぞお見知りおきください。




