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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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境界線の消失

王都の夜は、静かすぎた。


さっきまで世界を焼こうとしていた光が、嘘のように消えている。


倒れたセラフィスは王城へ運ばれた。


王は何も言わず、去った。


だが空気は変わっている。


選別の思想は、揺らいだ。


そして――


リュカの胸も。


塔の上。


リュカはひとり立っていた。


聖剣が、静かに鼓動している。


以前とは違う。


白でも金でもない。


奥に、黒が混ざっている。


「……これ」


恐怖はない。


でも、戸惑いはある。


そのとき。


背後の空間が揺らぐ。


振り向かなくても分かる。


「盗み見とは趣味が悪いな」


レオン。


闇をまといながら、前よりも静かだ。


敵意はある。


だが、殺気は薄い。


リュカは振り向く。


「戻ってきたの?」


「違う」


短い否定。


「確認だ」


彼は聖剣を見る。


「混ざったな」


リュカがうなずく。


「そっちも」


レオンの黒剣にも、微かな暖色の筋が走っている。


あの共闘の衝突。


完全に切り離せなかった。


レオンが言う。


「闇は光を拒まない」


「光の方が拒む」


リュカは笑う。


「セラフィスみたいに?」


「純度100%は、閉じた系だ」


レオンの瞳が鋭くなる。


「混ざれば、不安定になる」


「でも強くなる」


二人の間に沈黙。


風が吹く。


遠くで、王城の結界が強化される光が見える。


王は動く。


選別をやめない。


そして魔王も。


玉座の間。


魔王がゆっくり立ち上がる。


「やっとだ」


彼の瞳は、歓喜に近い。


「光と闇が干渉した」


側近が問う。


「それが目的だったのですか?」


魔王は笑う。


「この世界は、元は一つだった」


「王が分けた」


場面転換。


古い壁画。


王家の地下深く。


そこには描かれている。


かつて、世界は“混光”だった。


だが暴走を恐れた初代王が、


光と闇を分断した。


純化。


管理。


選別。


その副作用が、


勇者の暴走。


魔族の誕生。


そして今。


分断の限界が来ている。


塔の上。


レオンが言う。


「王も魔王も、両極端だ」


「俺たちは、その歪みの産物」


リュカが聖剣を握る。


「じゃあ、壊す?」


レオンが笑う。


「壊すんじゃない」


「戻す」


その瞬間。


聖剣と黒剣が共鳴する。


暴発しない。


干渉する。


世界の魔力層が震える。


王城。


王が顔を上げる。


「……何だ」


魔王城。


魔王が目を細める。


「始まったか」


リュカがレオンを見る。


「一緒にやる?」


真っ直ぐ。


迷いがある光。


レオンは少しだけ目を伏せる。


「条件がある」


「最後に決めるのは、俺だ」


「光でも闇でもない」


「俺たちの形だ」


リュカはうなずく。


「いいよ」


風が強くなる。


二人の力が、再び絡む。


今回は戦闘ではない。


制御。


融合。


境界が、薄くなる。


王都の空に、


白でも黒でもない、


“暁色”の光が走る。


世界が震える。


王が宣言する。


「光の統制を強化する!」


魔王が命じる。


「闇軍、進軍開始」


両極が動く。


だが中央で。


二人は、別の道を選び始めている。

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