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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第6章 教室で繋がる怪
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52/54

第52話 文化祭の幽霊係

 文化祭が近づき、2年3組は定番の「お化け屋敷」を出し物にすることになった。


 ホラーが得意なCが中心になって企画が進み、教室のレイアウトも生徒のスマホでARで仮組みされていく。

 「入って5秒後に音響、15秒後に人影を出す」など、タイミングは動画編集アプリでプランニング。

 照明のON/OFFはIoT化されたスマート電球を使って、スマホから操作できるようにした。


 「マジで本物っぽいって、ライブ配信したらバズるかもな」

 誰かが言った。


 当日——。

 お化け屋敷は想像以上に好評で、来場者のTikTokにも続々と動画が上がっていった。

 そのなかにひとつ、他と雰囲気の違う動画が混ざっていた。


 「3年のF先輩が撮った“真の心霊映像”」とキャプションがついた短い映像。

 そこには、お化け屋敷の最後の角を曲がるとき、白いワンピース姿の長髪の女がぬるりと現れ、Fのほうに手を伸ばしてくる様子が映っていた。


 怖がりながらも笑っていたF先輩が、動画の最後でふと真顔になる。


 「……あれ、あの子って誰?」


 Cがその動画を見たとき、眉をひそめた。


 「え、待って……あれ、誰がやってたの? 白ワンピの女」


 他のクラスメイトが口々に言う。


 「そんな役、割り当ててないよね?」

 「てか、その場所は照明トラブルで立ち入り禁止にしたとこじゃなかった?」


 念のため、Cたちは会場内に設置していた防犯カメラのログを確認した。


 その場面——例の白い女が映っていた場所には、誰も立っていなかった。


 ただ、映像解析アプリの顔認識機能をONにした瞬間、カメラが異常を検出した。


 【名前不明の人物1名:補足できません】


 その後、F先輩のTikTokアカウントに異変が起きた。


 自分が投稿していないのに、深夜に動画が勝手にアップされていた。

 タイトルは**「本物の幽霊係さんと会いました」**


 その動画は、彼の部屋で撮られたようだった。

 カメラは固定されておらず、誰かが持って撮影したようにブレていた。

 最後に映ったのは、暗闇のなか、F先輩の寝顔を覗き込むように立つ、白い女の姿。


 その顔には、文化祭で使っていたARフィルターの顔追跡エフェクトがなぜか適用され、にやりとした笑みを浮かべていた。


 翌日、F先輩は学校を欠席した。

 そして、校内の全スマート照明に連動する管理アプリに、誰も登録していないアカウントが1件、追加されていた。


 名前の欄にはこうあった。


 「幽霊係」

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