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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第6章 教室で繋がる怪
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第51話 教壇の下

うちの学校では、授業中の姿勢までAIで監視されるようになった。


 「姿勢モニターシステム」。教室の天井に設置された小型カメラが生徒の上半身の角度や姿勢を読み取り、眠っていると判断されると自動でスマホに通知が来る仕組みだ。教師のタブレットにもそのデータがリアルタイムで表示される。


 「B、またうつ伏せになってるぞ。目開けろ」


 古典の授業中、教師がタブレットを確認しながら怒鳴った。


 だが、Bは動かない。机に突っ伏して、微動だにしない。

 クラスメイトが顔を覗き込もうとしたその瞬間、Bが突然、背筋をピンと伸ばして言った。


 「……先生、教壇の下に誰かいます」


 その声に、教室全体が静まり返った。


 「誰かって……どういうことだ?」


 「ずっとうなってる……女の人……。目、合いました。……口が動いてた。僕の名前、呼んでました」


 Bの声は震えていた。ふざけてる様子はない。むしろ、全身が汗まみれで、顔は青ざめていた。


 「B、ちょっと保健室に——」


 そう言いかけた瞬間、教壇の下からカサリと何かが動く音がした。

 先生が、ためらいながら教壇を覗き込む。


 だが、そこには何もなかった。


 「ほら、なにも——」


 そう言いかけて、先生が黙った。


 教壇の奥の壁に、QRコードが貼られていたのだ。


 それは、姿勢モニターや出席アプリの管理用コードとは違う、何か古びた紙に印刷された、明らかに異質なQRコードだった。


 先生がスマホを取り出して、読み取ろうとしたそのとき——

 教室のスピーカーから、突然ノイズが走った。


 ザザ……ザ……Bくん、いる?

 ……ずっと、見てたよ。うつ伏せだと、こっちと目が合うから……


 全員が、悲鳴を上げた。


 教師が慌ててスピーカーの電源を切ったが、音は止まらなかった。

 今度は、Bのスマホからだった。


 見せてもらった通知ログには、存在しないアプリからの通知が記録されていた。


 《下から見てる》


 《顔を上げないで》


 《次は誰が寝るの?》


 Bはその日を境に、授業中はどんなに疲れていても、絶対にうつ伏せで寝なくなった。

 いや、誰一人、寝なくなった。


 その後、生徒の間で広まった都市伝説がある。


 **「教壇の下にあるQRコードは、眠気と一緒に“見るべきでないもの”を読み込んでしまう」**と。



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