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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第5章 水辺で繋がる怪
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第48話 雨の日だけに見えるもの

Sは地方の小さなデザイン会社に勤めていて、通勤で毎日、川沿いの遊歩道を歩いていた。


その遊歩道は、堤防と並行するように整備されていて、右手に川、左手に草むらと住宅地。

晴れた日にはランナーや犬の散歩なども見かけるが、雨の日はほとんど誰もいない。


だからこそ、気づいてしまったのだという。


それは、梅雨の時期のことだった。

小雨が降る朝、Sはいつものように傘を差して川沿いを歩いていた。


視界の先に、誰かが立っていた。


傘を差していない、女の人のようだった。

服装は濡れているはずなのに、なぜか乾いたままのように見えた。

不思議と違和感がありながらも、Sはそのまますれ違った。


だが、次の瞬間、強烈な既視感が襲ってきた。


「……あれ? この人、前にも……?」


気になって、次の雨の日も遊歩道を歩いてみた。

そして気づいた。


その女は、必ず“雨の日だけ”同じ場所に立っている。


立ち位置、姿勢、顔の角度――すべてがまったく同じ。


通り過ぎて振り返ると、もういない。

でも、正面から歩いてくると、やはりそこに立っている。


会社の同僚に話してみたが、誰もそんな人を見たことがないと言う。

晴れの日にも同じ道で通勤しているが、そこには誰もいなかった。


それ以降、Sは雨の日になると無意識にあの道を避けるようになった。


だがある日、同僚の一人が言った。


「最近、雨の日にだけ会社脇に立っている女の人、知ってる?

誰の知り合いでもないんだけど……

なんか、傘持ってないのに全然濡れてないんだよな」


Sは固まった。


会社の入り口に設置されたモニターには、

玄関の監視カメラ映像が映っている。


その画面に――

あの女が、傘もささずに、じっと立っていた。

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