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百の通知が鳴る夜に  作者: 葛城ログ
第三章 古家で繋がる怪
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22/54

第22話 監視カメラに映るのは

Cはフリーランスのエンジニアで、数ヶ月前から郊外の安い古家に引っ越して暮らしていた。家主からは「数年間誰も住んでいなかった」と聞かされていたが、建物は思いのほかしっかりしており、仕事用の回線を引いて、小さな仕事場として使っていた。


ひとつ気になるのは、庭の隅に設置された古びた監視カメラだった。ケーブルが切れており、明らかに長く放置されていたが、Cはそれを取り外さず、そのままにしていた。


ある日、外出先から戻ると、自宅のポストに封筒が差し込まれていた。差出人はない。中には一枚のメモと、USBメモリが入っていた。


メモには走り書きで、こうあった。


「そのカメラ、まだ動いてる。中を見ろ。」


不審に思いながらも、CはノートPCにUSBを挿した。中には一つだけ、連番の映像ファイルが入っていた。拡張子は見慣れた監視カメラの記録形式。


再生すると、それはCの家の庭だった。明らかに、今の状態に近い。雑草の伸び具合も、彼が昨日出し忘れたゴミ袋も映っている。


ただ、1分半ほど再生したとき──画面の右端に、白いワンピースを着た女性のような影が一瞬、現れては消えた。


Cは一時停止し、巻き戻し、拡大しようとした。だが、映像はその部分だけピクセルが粗く、ノイズのように乱れていた。


気味が悪くなったCは、自分の家の周囲に改めて最新の監視カメラを設置した。Wi-Fi連動型の録画式で、スマホにリアルタイムで通知が来るタイプだ。


その夜、午前2時過ぎにスマホが振動した。

「カメラ2:動体を検出しました」


Cは即座にライブ映像を確認した。庭の端。月明かりの下に、何かが立っていた。


白い服の女性──ではない。

それは、**服の形をした“何か”**だった。明らかに人の動きとは異なり、風に揺れるように、ゆっくり左右にぶれていた。顔のようなものはなく、身体の輪郭が曖昧だった。


そして、しばらくしてから、ふっと消えた。


その映像は自動的に録画された。だが、翌朝見返すと、保存されていたファイルは再生できなかった。形式不明、再構築不能。映像の一部だけ、データの揺らぎのような形でファイル名に痕跡が残っていた。


「おなじじかん、みてる」


Cはそれを読み取ったとき、背筋を這うような感覚に襲われた。


デバイスをすべて初期化し、設置していたカメラも撤去したが、夜になるとときおり、その方向から風の音とは違う何かが耳に届く気がしてならない。


音でも、声でもない。けれど、意識を向けると、意識を返してくるような気配がある。


Cは今、寝るときもカーテンを閉めない。


「見られているかも」と思うと、逆に、見えないのが怖いのだ。

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