魔術研究所所属ミリアムの実力
神術『心情偽装』は人間に使うと精神崩壊をさせてしまうほど危険な神術です。
だって、頭の中にその人の考えを無理矢理ねじ込むのですよ?
そりゃあ、大変ですよね。
まあ、『人間に使うと』ですが。
「……あの、休憩しません?」
「ゴルド先生、まだ半分です。今この部分を解読しながら『流し込む』ので、頑張りましょう」
「……はい」
簡単に言うと、ミリアムが『ネクロノミコン』を解読して、ボクに流し込んでました。
マリーの部屋の掃除をしていた時に見つけたマリーの手書きの書物に書かれた文字と、『ネクロノミコン』に書かれている文字が同じだったそうです。
それを丸暗記して今ボクに流し込んでいるのですが、ボクの読めなかった部分もスラスラと読んでいて、ボクの努力が一瞬で消えそうです。
「あ、『ドッペルゲンガー』については飛ばします」
「はい」
「悪魔召喚については」
「飛ばして欲しいです」
「……『心情偽」
「容赦無いですね!」
止まることの無いミリアムの解読後の暗号。正直気分は最悪です。
ですが、短期間で行う必要がありました。時間が無いという理由もありますが、何より『忘れる』という意味でも短期間で頭に入れて『新しいモノ』を生成することが目的です。
「あー、一方でシャルドネとガナリは楽しそうに料理ですか……羨ましいです」
ガナリが『鐘』の音を聞いて、何やら情報を得ています。そこからシャルドネに伝えて、野菜を炒めていました。
「なるほど、この小さい実は焼くと味に深みが出るのね。そこにこの野菜を入れる事で美味しくいただけるのね」
「シャルドネさん! 次の情報です! そこに青い野菜を細かく切って入れてください!」
「了解! ガナリ、刃物生成できる?」
「これで!」
「ありがと。ていていていてい!」
……え、何ですかあの二人の連携。ボクとシャルドネよりも良い感じに見えるのですが。
「……ゴルド先生。嫉妬はその辺でワタシの解読も頭に入れてください」
「嫉妬ではありません。何かイラッとしただけです」
「……それが嫉妬だと思うのですが、まあ良いです。残りは概念なので、もう少しの辛抱ですよ」
「わかりました。待っててください。まもなく新しいモノを作ってやりますよ!」
☆
全て頭にたたき込まれ、次はこれらの書物には無い鉱石の生成です。
「と言われましても、どうやって生成すれば良いのでしょうか」
「そうですね。まず鉱石である事は前提として、そこから思い浮かぶ物質を消して行けば良いと思います」
「思い浮かぶ。例えば鉄や金を消すということですよね」
「そうですね。あくまで消すのは鉄の中の物質や構成の一部で、そのものを消しては意味がありません」
「そうですか……では」
そしてボクは鉄を土台に、少し構成の異なる鉄を生成しました。
若干深緑色に輝く謎の物体の登場です。
「……ゴルド、さすがにこれは気味が悪いわ」
「いや、神に抗うなら何でも良いと思うのですが」
「せめてもっと綺麗な色にしましょう」
構成を変えるだけなので、何色が生まれるかわからないのですよ。
とにかく別の鉱石……金で試しますか。
そしてできあがったのは、金色の鉱石……どう見ても金です。
「これは既存のモノでは?」
「いえ、ガナリの目には、新種と判断できます」
「これならまだマシね」
あの、見た目重視で神に抗う方法を探るの辞めません?
「この金色の鉱石の形を整えて、武器と防具を作りましょう」
「防具は盾を作るとして、武器となると剣でしょうか」
「何を言っているの?」
シャルドネは当然の様にボクに話しかけました。
「グローブに決まってるじゃない。私も行くわよ」




