ミリアムの提案
神術の書物の解読はまだ終わっていませんが、どうやらこれは『神術』を全て使うことができる書物のようですね。
シャルドネの戦闘で本来ボクはまだ上手に使うことが出来ない神術の『魔力反射』を使うことができたので、そう推測しても良いでしょう。
そしてマリーから貰った魔術書に関しては……複写した物って言ってましたが本当か怪しいですね。少なくともここに乗っている魔術はボクなら簡単に使うことができる優れものだとわかりました。
そして『ネクロノミコン』は謎がまだ多いですが、闇の魔術について多く書かれていると推測できます。
これら三つを使いこなせれば、頂点の神を倒せるのかなとも思いましたが、こればかりはやってみないと分からないという感じですね。
「シャルドネさん。お腹の痛みは大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとうミリアム。ゴルドがもう少し……いえ、あのくすぐりの刑にしてくれれば、治療も必要なかったんだけどね」
「アレはボクの覚悟です。それにシャルドネはボクを怒らせたので、これでおあいこです」
「そうね。でもゴルドは私に……いえ、人間に勝てる方法を知っている筈なのに、どうして使わなかったのかしら?」
きっとシャルドネは『心情偽装』の事を言っているのでしょう。
本来自身の心を偽装し、相手に思想を読ませないという限定的な神術と思われていましたが、人間に使うことで精神を崩壊させる恐ろしい神術だと知りました。
「それでは頂点の神と戦ったとき、『心情偽装』が通用しなかったら手詰まりですからね。色々試したかっただけです」
「……まあそういう事にしてあげるわ」
何やら不満そうな顔をしましたが、怒っているわけでは無いようですね。
「ミリアム。そろそろ『神術の書物』について知っている情報を教えてくれますか?」
「はい、ゴルド先生。まず『神術』ですが、これは神が使っていたと言われている術というのはご存じですよね?」
「そうですね。詳しくはわかりませんが、そう教えてもらいました」
「神が使っていた。つまり今は使っていないのです。その書物に書いてある術は全て『神が使い終えた術』なのです」
……意味がわかりませんね。
「父様、ガナリは理解できましたよ?」
仮にもボクの子供を名乗るなら、父に少し優しい言葉をかけても良いと思いますよ。
「え、ゴルド、わからないの?」
シャルドネまでボクを攻めてきました。ちょっと隅っこで座って良いですか?
「私の勝手な予想だけど、その頂点の神が使った術はそこに乗ってないんじゃないの?」
「……え! ですがカンパネはこれに手がかりがあるって!」
「うーん、上手に言えないけど、そこに書いてない術を使ってくる。そういう意味では手がかりだと思うのだけれど」
この本に書かれていないって……一体どれくらいの種類かわかりませんし、そもそも使い終えた術が神術ならば、今頂点の神が使っている術は何術なんですか!
ボクが悶々としていると、ガナリが話しかけてきました。
「だからこそ、ノームの言っていた『原初の神より生まれし精霊』という言葉が重要なのです」
「原初の神ですか」
「原初の神……それは『無いモノ』を作ることができる唯一神なのです。だから直系の父様は新しいモノを作ることで頂点の神に対抗できるのです」
「新しいモノですか」
そういえば心当たりはあります。
最初に頂点の神と戦った時、最初の攻撃は防御できました。
何も考えず、とにかくあの場で身を守る何かを生成したことで、守る事ができました。
もしかしてですが、『新しいモノ』と頂点の神の放つ光は何か関係があるのでしょうか。
「ということは、ここにある書物三つは役に立たないのでしょうか」
「そんな事はありません父様。この書物三つは少なからずこの世界と別の世界の情報が載っています。つまり、それ以外の物質を作れば良いだけです」
「簡単に言いますが、まだ解読が終えていないのですよ! こんな分厚い本を今から全て解読なんて、何日かかると思うのですか!」
「そのために、ワタシが来たのです」
ミリアムが手を挙げてボクに話しかけました。
「これからゴルド先生にはワタシの生徒になってもらいます。覚悟は良いですね?」
一瞬、背筋が凍りました。え、一体何をされるのですか!




