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5章

5章 能力者弱体化事件



「大変です〜!!」

ある女性がデバッグの事務所に向かって走ってきた。その女性はあみだった。


「あみさん!?どうしたんですか!?」とズイレンは問いかける。


「はあ、はあ…た、大変なんです…最近、能力者の弱体化が絶えなくて…心を読む限り、まだデバッグの皆さんには被害が出ていなさそうなので依頼しに来ました…!」とあみは言う。


「能力者の弱体化…それはどれくらいの人に起こっていることなんですか?」


「えっと…大体現在の能力者の人数がこの世界で10兆を超えます。その中の7兆を超えますね…その中にはとても強い国の軍隊の方々なども含まれていて…」

「犯人の検討はもうついています。このままでは時間の問題、今すぐ出ることはできますか?それとリラさんと美鈴さんへの協力要請もお願いしたいんですが…」


その場に居るのはズイレン、ルビー、ノウの3人、コウは花蓮の帝王の引き継ぎの教育のために休みを取っており、今デバッグには居なかった。


「そうだね……うん。わかりました。その依頼、受けます!リラ達にも協力要請を出しますのでちょっと待っててください!」とズイレンは言い、リラに電話をかけた。


「もしもし、リラ?事件の解決要請なんだけどさ、能力者の弱体化についてあみさんから依頼があって…うん…良かった!じゃあ今本拠地に来て…」


ズイレンがそう言いかけたところでハウリングがした。後ろを向くと、リラと美鈴が立っていた。


「ああ、デバッグの本拠地にワープ装置を置いといたからすぐ来れるんだ。じゃあ事件解決に行くか」とリラが言うと「まあ今回は役に立ったから良いけどよ…置く前になんか言ってくれよ…」とルビーは困り果てた顔で呟いた。


よく見るとリラの足元に四角いチップがあった、それがワープ装置らしい。そりゃあ気づかない。という見た目であった。


あみが「犯人の居る場所は…かなり遠いんですよね…ここから大体10億光年はある惑星なんですけど…リラさんの作ったワープ装置や魔法を使って行けるかどうか…」と言うと「流石に遠過ぎて魔法は使えないな…装置もワープ系は一回移動したところじゃないと行けないから…ただの移動装置ならあるがそれでも10日はかかる」と答えた。


「10日ですか…でもまあそれくらいかかりますよね……わかりました!それで行きましょう!」


リラがその移動装置をデバッグの本拠地の外にワープさせた。デバッグの本拠地は関東地方の海岸にある。その為、土地には困らないのだ。


「一応、家の中みたいになってて生活はできるから安心してね。ズイレンちゃんも居るから物には困らないだろうし。中にはほぼ無限のスペースがある特訓場もあるから、10日間はそこで特訓するのが良いわね」と美鈴が説明する。ズイレンは「ありがとう美鈴!じゃあ事件解決、頑張っていきましょー!」と士気を上げた。


________________________________


移動装置の中に乗り込むと、あみがズイレンに声をかける。

「ズイレンさん、私に戦闘を教えてくれませんか?確かにある方に鍛えられて多少はできるようにはなりましたが…まだデバッグの皆さんみたいに強くないので…」


「私でよければ全然良いですよ!それと、ノウも呼びましょうか?あみさん多分回復も向いてると思うので!」


「良いんですか!ありがとうございます!」


ズイレンはリビングでトマトジュースを飲んでいたノウの肩を叩き「ノウ!あみさんに回復教えてくれない?」と声をかける。ノウは「回復を教える?俺の存在意義を消す気かよ」と答える。


「そんなことないよー!あみさんいつも居るわけじゃないし、ノウの存在は消えないから、いつもノウとそのすごい回復には助かってる!だからお願いだよ〜!」と言い、ズイレンはノウに頼み込む。

「うーん…」と少し嬉しそうに悩んだ末「あー分かった!じゃあやってやる!そこまで頼まれちゃやらないわけにもいかないからな!決して、褒められたのが嬉しかったからとかじゃないからな!」とノウは照れながら返した。ズイレンはそれを見て少し可愛いなと感じ微笑んだ。



特訓場に行き、「じゃあ早速なんですが、あみさんの戦闘スタイルはどんな感じですか?」とズイレンは問う。あみは「えっと…大体武器を使った感じです。すごく切れ味の良いナイフをある方から貰って、それを使っています。心を読んで相手の弱点を突き、攻撃することです」と答える


「そういえばなんですが、その「ある方」とはどんな方なんですか?有名な戦闘家とかってことは」とズイレンはまた質問をする。あみは悩んだ末に「えっと…とりあえず、とても強い方とだけ答えておきます!有名な戦闘家とかではないです」と言った。


「まずは戦うのが相手のスタイルを理解する一番の方法だろ。俺が戦う」とノウが言った。あみは「そうですね!じゃあ戦いましょう!」と言い、戦闘が始まった。


大体10mくらいの距離で離れ、戦闘体制に入る。あみが「ノウさんは自己回復はできませんが専用の回復薬を持っているので、容赦なくやっちゃって大丈夫ですね」と呟くと、ノウは「そうだ。まあ俺に回復薬を使わせるほどの戦闘技術があるかは分からないが」と少しあみを挑発した。


ノウが早速レッドフューチャーを使うと、あみはそれを全て避け、ノウの懐に近づいた。そして顎の下をナイフで刺した。反応が遅れたノウは「がっ!!!ぐっ…いだっ」と言いながら、咄嗟の判断でナイフを抜いた。


「なっ中々やるな…じゃあこれはどうだ!俺の特訓して編み出した技だ!と言い、「ブラッドアブソーブ」と叫ぼうとしたが、あみがノウの背後に周り「ノウさんの場合は技名を言うと技が発動するようになってますね。それ以上言っちゃダメです」と言いノウの口を塞いだ。そして解放したあと、ノウの背中にナイフを刺し下にスライドし切りつけた。


ノウは「いっ…だい!!分かった!もうリタイアだ!!あみは強い!認めるから!」と言い、あみの勝利に終わった。


ズイレンは「ええ…ノウに無傷で勝つなんて…しかも結構早く…」と驚いていた。


「あみさん。もう教わる必要ないですよ、ノウを無傷撃破は流石に私でもできませんから…」とズイレンは少し困惑しながら言った。あみは「いやでも、私もあの技を打たれていたらちょっとマズかったと思います。打たれたら対処のしようが無い技だったので」と言った。


ズイレンはノウのところに向かい「そういえば、あのブラッドアブソーブって技どんな技なの?」とノウに質問をする。ノウは掠れた声で「ああ、あれはな、相手の血液を吸収して自分の力にするって技だ。対処法はさっきあみがやったように技名を言い終わる前にそれを防ぐしかないな」と言った。ズイレンは「なんて恐ろしい技覚えてんのノウ…それさえあれば敵なしじゃん!あとは対処法を無くすだけだよ!」と言い、それを聞いたノウは「そ…そうかぁ?それは嬉しいな」と少し微笑みながら答えた。


「えっと…ああいたいた。おいノウ、リグアからの贈り物だ。」と、リラが特訓場に来て、小包をノウに渡した。「ええ、アイツからか…」とノウは少し嫌そうに小包を開ける。その中には手紙と小瓶が入っていた。


『ノウへ

前に渡した回復薬あっただろ。あれのアップデート版だ。

味を少し工夫したのと、中身が減らないようした。いくら飲んでも減らないようになっている。それとお前にしか効果がない。

お前のことだから敵の攻撃を避けきれずに被弾とかありそうだからな。常備しとけ』


と書かれていた。ノウは「ムカつくこと書いてあるなぁ…事実だから余計に…」と腹を立てながら回復薬を飲む。味はトマトジュースの味にとてもそっくりだった。「…アイツ!俺の好物完全に理解してやがる!クソ!なんか腹立ってきた!おいリラ!お前がリグアに薬の作り方教えただろ!」と急にリラに言葉の刃を向ける。リラは「ああそうだぞ。俺以外には居ないわな」と余裕そうに答えた。


「あーもう!おいリラ!俺の特訓に付き合え!美鈴も呼んでだ!テリオカンパニー全員撃破してやるー!」とノウが言うとリラは「美鈴無関係なのにかわいそ!まあ美鈴も多分乗り気だと思うから良いけどさ」と少し驚きつつ笑いながら答えた。もちろん美鈴は乗り気で「ノウちゃんの特訓に付き合えるなんて嬉しいわよ〜じゃあ早速やりましょ!」と言い、ノウとテリオカンパニー組の特訓が始まった。



_夜_


その日の夜になり、ルビーは廊下を歩いていた。たどり着いた所はあみの部屋。扉を開け「あみさん、少し用事があるんですが、今大丈夫ですか?」と呼びかける。あみは「…ヘルトさんのことですか」と目を細めて言う。


「そうです。心が読めるので知っていると思いますが、俺はヘルトの能力の暴走はきっと、誰かが仕組んだものと考えています。その調査の協力をお願いしたいんです」とルビーは言う。あみは「いいですよ。私の頼んだ事件解決の協力をしてくれるお礼の一環です」と答えた。


「…あの、あみさんに質問です」「心を読めるということでしたが、俺の過去はどれくらい知っているんですか?」とルビーはあみに質問を持ちかけた。「どれくらい…大体知っていますよ。ヘルトさんのことがそこまで好きな理由も」とあみは答えた。「そうですか…それでなんですが、ヘルトの過去を全て読んで、怪しい瞬間を教えて欲しいんです。」とあみに頼み込んだ。「わかりました。少し時間がかかりますが…まあ1日一緒に居て睡眠時間を削れば」とあみは少し考えたのちに答えた。



ズイレンが寝ようとしていた時、あみが「ズイレンさーん!」とズイレンに呼びかける。「じっ実はなんですが…私の部屋に虫が出てしまって〜!私虫だけはどうしても無理で怖くて部屋じゃ寝れないんですよ〜!だからズイレンさんと今夜は一緒に寝かせてもらってもいいですか…?」と泣きながらズイレンの方に手を置き言った。ズイレンは「そうなんですか!?それは確かに怖い…わかりました!じゃあ今日は一緒に寝ましょう!虫は翌日美鈴たちに言っておけばなんとかしてくれますから!」と少し嬉しそうに言った。


一緒にベッドに入った時、ズイレンが寝た隙を狙ってあみはベッドから出て椅子に座った。あみはずっとズイレンのことを見つめ、過去を探っていた。


_翌日_


朝5時になり、あみはルビーの部屋に入る。「おはようございます。過去を一通り読めましたので、報告に参りました。」と言い、ルビーを起こした。


「それで、何か怪しいところはありましたか?」とルビーがあみに訊く。「はい、あるにはありました。ですがその「怪しい」というのは行動的な怪しさではなく、読めなかったんです。その部分だけ。大体能力暴走する昨日の夕方でした。その部分だけ妨害されて読めなかった。その時に何があったか、覚えていますか?」とあみはルビーに質問をした。ルビーは「…何があったか…その時は俺をズイレンが一緒に家に帰ってて…」とルビーは言いかけたところでハッとし、数秒考えたあと「…あれ、なんだっけ」と呟いた。あみは「忘れてしまった…きっと何かの手によって妨害されていますね。念の為、私もルビーさんの思考を読みながら話していましたが、それも全て記憶から消えていました。」と言った。


「…この事件が終わったら、私の師匠に訊いてみます。どんな方かはその人がルビーさん達の前に正体を表すまで言えませんが…きっと何かヒントを得られるはずです」と言った。


________________________________


数日後、ズイレン達は目的の惑星に着いた。そこは地球とほぼ変わらない環境であったが、生物は全くと言っていいほど居なかった。


「犯人の詳細はわかっています。複数人いるので私が戦う相手を決めます。」とあみが言うと、ルビーが「てか思ったんですけど、全員で一番強い犯人を叩くのはどうなんですか?そうすれば一気に力が戻ってくるんじゃあ」と発言する。あみは「それがですね、今回の事件は5人で能力者の能力を吸い取っているんです。だから全員倒さないと力が戻ってこないんですよね…」と言った。


「敵は合計5人、名前を言うとですね、まずはリラ・バグダッドという方です」とあみが言うと、リラは「えっ俺!?偶然名前が被っただけだよな!?」と少し戸惑いながら言った。


あみはそれに対して「リラさんがこの事件に関連していないのは全員わかっていますよ、でもリラさんと関係がある人物ではあります。求められればこの事件が終わった後に私から説明します」

「分かりやすいようにバグダッドと呼びます。バグダッドの戦闘方法は弓矢を使います。飛距離は大体300mまで届き、威力はビルを破壊できるくらい。バグダッドとは美鈴さんと戦って貰います。」と答えた。


美鈴は「うわ…随分強い相手ね…でもわかった!絶対倒してみせるわ!」と言う。あみは「美鈴さんは今回一番強い機械獣を持ってきているので、それで互角くらいだと思います。頑張って下さい」と返した。


その後もあみは戦う相手の説明をし、早速各々犯人の元に向かった。


________________________________


美鈴が歩いていると、突然矢が飛んできた。飛んできた方向に走ると「美鈴、お前と俺は戦う運命だ。申し訳ないが倒させてもらうぞ」とバグダッドが美鈴に言い放った。


バグダッドの見た目はリラと瓜二つであり、違うところは左目の色くらいだ。リラが蛍光色の緑なのに対し、バグダッドは茶色の目をしている。


「うーん…リラとほぼ同じ見た目となるとちょっと抵抗あるわね…でも大丈夫!倒せる倒せる」と頬を両手で叩きながら言った。


「美鈴、お前の戦闘パターンは把握している。全てだ。」とバグダッドが言うと、バグダッドは美鈴に向かって矢を放つ。美鈴は「怪獣型アンドロイド1号2.0!」と言い、アンドロイドを召喚した。


アンドロイドは盾を使い美鈴を守った後、刃を使いバグダッドを切り裂こうとする。その刃はバグダッドの腕に切り傷をつけた。と思われたが、そこからは血が流れない。代わりに切れたコードのようなものが出ていた。


バグダッドは「少し誤算だったな。一番弱いアンドロイドにやられるなんて。油断した罰だ。これじゃあ巽に怒られる…」と独り言を言った。

「じゃあこれはどうだ。とっておきだ」と言い、バグダッドはまた矢を放つ。さっきよりも威力が上がっているが、美鈴に向かって打っているわけではない。アンドロイドの胸に打ち、アンドロイドを爆破した。


「は!嘘!?なんで核の位置がわかったの!?」と美鈴が驚くと、バグダッドは「そりゃそうだろう。俺はお前の戦闘パターンを把握してるんだからな」と返した。美鈴は「想像以上に厄介そうね…」と呟いた後、次にまた別のアンドロイドを出した。その名も「鬼怪獣型アンドロイド」鬼の角のようなものが生えている狼型のアンドロイド、怪獣型アンドロイド1号と比較すると、さっきのは機械のようなツヤがある姿に比べ、その姿は実際の動物のように毛があるような姿。だが大きさはさっきのアンドロイドと比べて1回り大きかった。


そのアンドロイドはバグダッドを踏み潰そうとするが、バグダッドはそれを飛んで避ける。次に炎を吐き、バグダッドを燃やそうとするもそれも全て避けてしまう。刃に切り替え無作為に振り回させるもバグダッドは少し魔力を込めた矢で弾き飛ばす。

それを20分続けていたが、バグダッドは全く体力を消費する気配も無く「遊びはここまでだな」と言い、弓を引いた。矢の先に魔力が篭っていくのを感じると、美鈴は本能で危機と察したのかアンドロイドを小型にし自身の元に抱き寄せた。


「美鈴、ごめんな。でもこれも俺を救ってくれた巽のため、あの人には逆らえないんだ。できればお前とは戦いたくなかった」と言い、矢を放った。その矢は放たれてから5本に分かれ、美鈴の移動する方向に飛んでいく追尾式のものだった。


美鈴は避ける手段がないと思い、最後のアンドロイドを召喚した。その名は「姫怪」美しい女性の姿をしているアンドロイドで、美鈴が誰にも見せたことのないアンドロイドだった。それを見てバグダッドは「こんなアンドロイドはどこの時空の美鈴でも使ったことがない…」と驚いた。


姫怪は全ての矢を2つの手の隙間にできた異空間に吸収し、全てを無に帰してしまった。


「次からはこっちの番よ、私の最高峰のアンドロイド。この子と戦ってもらうわ」と言い、美鈴は指揮棒らしきものを取り出して振り始めた。姫怪はその指示された方向に動き、バグダッドに向かって光線を出した。バグダッドは遠くから矢を放つが、それも全て光線で破壊されてしまう。


バグダッドはまた弓を引き、矢に魔力を込め放つ。姫怪の光線と、バグダッドの魔力のぶつかり合いになった。大きい爆発が発生し、結果は姫怪の勝利に終わった。


だが爆発の影響で、美鈴自身もかなりの怪我を負っており、立っているのがやっと、という感じだった。姫怪には何も傷がなかった。

美鈴は姫怪を収納した後震える手でバッグの中を漁り、リラから貰った回復薬を飲んだ。傷がみるみると回復していき、歩けるくらいには回復した。


美鈴が歩いた先はバグダッドのところだった。バグダッドは両腕が吹き飛んでおり、その断面からは切れたコードが飛び出ていた。美鈴はしゃがみ、バグダッドに回復薬を渡した。


「…お前、何してるんだ。…そんなことしたらまた俺が暴れるかもしれないんだぞ…」とバグダッドは言うが、美鈴は「そんな壊れた機械みたいな貴方を放っておけるわけないでしょ。それにリラと同じ姿をしているんだもの。なんだか敵でも可哀想になってくるわ。この薬は機械を治す効果もあるから、飲んで。飲まないなら無理やり飲ませるわよ」と返す。


「…俺の本物が作った薬か…遠慮す」と言ったところで美鈴は小瓶をバグダッドの口に押し込んだ。「いいから飲めって言ってるの!話聞いてなかったの!?というか本物ってどういうこと?協力者から話すとか言われてるけど待てない!教えて!」と美鈴は色々と質問をした。


失った腕が回復するまで薬を飲まされたバグダッドは「んぐっぶはっ!わかった!説明するから。ちょっとそこ座れ」と言って美鈴を座らせた。


「えっとだな。俺はボツっていう存在だ。この世界には世界を作った主がいる。だが1発の決定で作ったわけではない。色々考え、変更し今がある。その「色々考え」の段階が元に作られたのが俺ってわけだ。これは認知されていないだけで全ての現存している生命体に存在する。そして俺はお前が知っているリラ・テリオのボツだ。」


「なるほど…なんか色々複雑なのね、というかそのボツ…っていうのに私のも居るの?リラのが居るってことは私のも居るってことよね?」


「まあそうだな。居るっちゃ居る。だが今回の事件には絡んでいない。これからお前が会うことも無いだろう。というか会わない方がいい。自分のボツに会うというのはとても精神的リスクがある。」

「ボツはさっき言った通り、その人物が作られる途中段階で作られた存在だ。その途中段階は全てが良いというわけではない。そしてその全ての記憶が残っている。この意味がわかるか?」


「恨みを買っている可能性がある…ということね」


「そうだ。そしてそれはとても大きいだろう。お前が今後自分のボツに会いたいと言ったら俺が阻止する。絶対にだ。そして俺を本物と会わせない方がいい。俺も本物には恨みを持っているからな」


美鈴は少し考えた後「わかったわ。貴方とリラは絶対に会わせない。それももう1つ質問なんだけど」と言う。「また質問か?多いな」とバグダッドは言った。


「貴方、かなり手加減してたでしょ。本当なら最後の光線にも勝ててたんじゃないの?何故手加減したの」


バグダッドは「…わからん。だが手加減していたのは事実だ。これは恩として受け取ってくれ、そしてその代わり、二度と俺には会うな。そして…」

「俺の本物と幸せになってくれ」と言い、美鈴が来た方向とは逆に歩いて行った。

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人物紹介


リラ・バグダッド

リラのボツ。容姿はほぼ瓜二つだが、戦闘方法に薬品を使用しない。

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ノウが歩いて敵のところに向かっていくと、突如赤い霧が濃くなり、前から光線が飛んできた。咄嗟に避けたが、少し掠って袖が破けた。


「誰だ!!」と言うと、ノウと全く同じ声で「お前が探してる敵、レズアだ」と返ってきた。


…


「ノウさんが戦って貰う相手は、レズアという女の子です。容姿はノウさんと似ていて、髪と服が少し違うくらいです」とあみは言った。


「俺と同じ?戦闘スタイルはどうなんだ?」とノウが訊くと「戦闘スタイルも大体ノウさんと同じです。ですが、ここだけは注意です。レズアはとてつもない恨みをノウさんに持っています。」とあみは答える。


少し驚いたノウにあみは少し微笑んで「でも、絶対に勝てます。これは私が保証します」と返した。


…


「なあ、今までのお前の人生はどんなものだった、答えろ」とレズアは問う。ノウは「それは…いい人生だ。仲間にも恵まれてるし、たまに腹立つ奴も居るが…それも含めて俺は自分の人生が好きだ」と自信ありげに答えた。


レズアはそれを聞いて「…そうか」と顔を暗くし呟いたあと、ノウのところに高速で走りながら魔法の球や光線を何発も撃ち込んだ。ノウはそれを避けきれず右腕を欠損した。


一瞬でノウの元に辿り着いたレズアはノウの胸ぐらを掴み言った。

「なあ、お前のその幸せな人生は私の犠牲があると知っているか?知らずに生きていただろう。そんな自信満々に答えるくらいなんだからな!」と言い、ノウの顔面を全力で殴った。


ノウは今まで向けられなかったほどの悪意や殺意、痛みによって涙を流したが、震えた声で「な…なんでそんな俺に恨みを持っているんだ!?説明されなきゃ分かんないぞ…!」と聞いた。


「私はな、お前の今に至るまでの運命を全て背負わされてんだよ!どんな辛いことも全て!確かにお前は悪くないさ、でも…でも幸せそうに生きているお前が許せないんだよ!!!」と言い、またノウの顔面を数発全力で殴った。


「殺しはしないさ。というよりできない。だからこうやって痛ぶってるんだよ。お前に全ての憎しみをぶつける良い機会だ。瑞希に感謝だな。」と言ってレズアはノウを押し倒し、肩に噛み付いた。

突然のことにノウは困惑し、「な…なにして…」と掠れた声で問う。「私は吸血鬼なんだ。お前がトマトジュースが好きなのもその面影、お前は私を基礎として完成しているからな。少しでもお前を苦しめられるならお前の汚い血液でも全て飲み干すさ」と良い、吸血を始めた。


ノウはそれに苦しみ、色々と考え込んだ。どうすればこの状況を脱却できるか、そもそもあみが言っていた「絶対に勝てる」とはどういうことなのか。考えたが頭が回らない。ノウはこのまま殺されるしかないのかと、さっきのレズアの「殺しはしない。というよりできない」という発言を忘れ、諦めかけていたが、ノウは最後の余力を振り絞り、「ブラッドアブソーブ」と発した。


レズアは「なにを言って…」と言ったが、急に自分の体に力が入らなくなったことに気づくと「…お前!何をした!?」と焦りながら発した。ノウは「俺の技だ。対処法は俺が止めるしかない。お前の意識が無くなるまで続ける」と答えた。


「は…はぁ!?」とレズアは言った。レズアはノウのボツ。今までの技は全て知っていたが、ブラッドアブソーブは知らない技だった。それにノウが言った通り発動後は対処不可能な技であり、更にノウの力が増す。レズアにとっては絶望的な状況だった。


ノウの傷は回復していないが、魔力が自身の中に溜まっていくのを感じる。その状態でレッドフューチャーを出すと、いつもとは違って弾数、火力、落下スピードが増しており、避けるのが困難になっていた。


レズアは当然ノウと同じく咄嗟の判断が苦手であり、突如降ってきた攻撃を避けることに失敗し、転けて光線に当たった。レッドフューチャーは命中率が低い代わりに火力が高い技。それに更に火力が高まった攻撃を喰らったレズアは全身を焼かれ、意識を失った。


それだけではない。ボツは絶対に本体には勝てない。殺すことができない。本来のレズアの実力のみなら火力が高まったレッドフューチャーを喰らってもまだ今よりかは軽症だったはずだ。ボツの本体はボツに対してだけ通常よりも強くなる。とても残酷だ。あみが「絶対に勝てる」と言っていたのはそういうことだ。


ノウはボケットの中から回復薬を取り出し飲んだ。自分好みの味に調整してあるということに少し腹が立ちながらもリグアに感謝した。


ノウは悩んだ。レズアを回復するかどうか。30分悩んだ末回復することに決めた。


ノウはレズアに近づき、回復魔法を使った


レズアの意識が戻り、回復されていることに気づいた「は…お前はなんで回復なんて…」呟いた。ノウは「よく分かんないけどよ、お前が居るから今の俺が居るんだろ?そんな存在を捨てるなんてできなかったんだ」と返した。


レズアは少し驚き「それを本体が理解してくれるだけで私は救われてるのかもな」と呟いた。ノウが「なあ、回復が終わったらでいいから説明してくれよ。お前はどんな存在なのか」と言うと、レズアは頷いた。


回復が終わり、その場に座り、レズアはノウにボツについて説明した。その説明はノウにとってわかりやすくされており、やはりボツは本体のことをよく理解している。と感心した。


「…なるほど…ごめんな。そんな役割を押し付けて」とノウが謝罪すると、レズアは「お前が悪いわけじゃないさ、この世界を創った元凶が居る。全てそいつの責任だ。そして忠告だ。」


「その世界を創った元凶はズイレンとルビーに厄災を与えるだろう。ノウ、お前1人の力で阻止できる問題ではないが。俺だけは伝えておく。そしてお前自身には間接的に試練が与えられる。それに耐えられればお前は強くなれるよ。」と言ったのち、レズアは立ち上がり「じゃあな。幸せになれよ」と言い残しその場を去った。


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人物紹介


レズア

ノウのボツ。ノウに対して強い憎しみを持っていた

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リラは敵のところに辿りつき言った。「ようグリム、まさかお前がこんな事件に関与しているなんて思わなかったわ」


…


「ここからはこの事件を起こした組織のメンバーになります。リラさんに戦ってもらうのはグリム・リーパーという死神です。面識があると思いますが、能力については知らないと思うので説明します。」

「グリムさんの能力は大鎌の斬撃による壊死です。大鎌で斬られる、または大鎌の斬撃に当たるとその部分が壊死します。頭に当たると脳ごと動かなくなります」


リラが「えぇ…アイツそんなヤバい能力持ってたのか…なんか普通に話してるだけだったから意外というか…まあでも死神だからそれくらいは持ってて当然か」と呟くとノウが「死神って即死じゃないんだな。じわじわ追い込んでいく感じか。性格悪いなー」と言う。


「と言うか…今までのバグダッドとかレズアは組織のメンバーじゃないの?」と美鈴が問うと、あみは「そうですね、その組織による恩恵を受けている人物。という感じです。所属しているメンバーではありません。恩恵を受けているから今回の事件に協力したという感じですね」と答えた。


「話は戻りますが、本来の能力は即死なんですが…グリムさんは死後の世界の出身なので、現世ではあまり力を出せないみたいです」「だからこそチャンスです。完全にこっちの土俵なので、手っ取り早く倒しちゃいましょう!」とあみが言うと「そんな簡単に…まあわかった。頑張るわ」とリラは言った。


あみは「あ、それとなんですがリラさん」と言い、あみはリラの耳元で呟く。「グリムさんの斬撃はグリムさん自身にも効果があります。そこを狙うのもアリです」


…


グリムは言う「まあしょうがないんだよ。俺が所属してる組織のリーダーの指示で、それと俺も内部を知っている身として、協力したいと思ってるからやってる」


「ふーん。まあ俺はお前を倒すだけだから別にいいが…まさかお前、元いた組織とまた別のところにいるなんてな。」とリラは言う。グリムはそれに対し「抜けたわけじゃない。ただ後に入ったは入ったけど」と答える。


リラは「まあいいや。じゃ戦闘を始めようか」と言い、グリムもそれに頷き戦闘を始めた。



グリムが大鎌を振るうと、斬撃が放たれる。リラはそれを避けつつ反撃薬を斬撃にかけグリムに攻撃を返した。

反撃薬は相手の攻撃にかかるとその攻撃が逆方向に向くという効果がある。それをリラは利用し、グリムの体の壊死を狙っている。


グリムはそれを避けつつ「反撃の効果がある薬なんてあるんだ。まあ普通に避けれるから別にいいんだけど」とリラに言う。リラは「じゃあこれは避けれるかな?」と言い、爆薬と光線を放つ薬、光線薬が混ざった小型カプセルを大量にグリムのところに投げる。それは地面に当たるとカプセルが壊れ、爆薬によって強化された光線が空に向かって放たれるという仕様だった。グリムはそれに被弾しその場に倒れ込んだが、服や少し破け火傷痕を出した状態で立ち上がり大鎌に魔力を纏わせ斬撃を振るった。


リラはそれに当たってしまい、右腕が動かなくなった。利き腕の右腕が動かなくなったことにより薬の出し入れが遅れ手しまい、グリムはそこを狙って頭に攻撃を仕掛けようとするがなんとか避け続けた。


(クソ…普通にピンチだな…回復薬を飲んでもそもそも攻撃が効きづらい、地道すぎる。一瞬で片付ける方法があれば…)と悩んでいたリラだったが、ある策を閃き実践することにした。


リラは片手で最古級の回復薬を取り出し、それに効果倍増薬を大量に混ぜる。グリムに「ほら、これやるよ」と言い、立ち止まっているグリムの両腕に薬をかけた。


グリムの傷は治っていったが、正常まで治った状態から更に皮膚が膨張していった。グリムは「は!?なにこれ…!どうにか止める方法を…」と腕を押さえ続けるが止まらず、ついには腕が爆散してしまった。


「クソッ…!腕が爆散したなら…」とグリムは落ちた大鎌を口で咥えて斬撃を振おうとするが、上手くいかずに大鎌を落としてしまう。そんなことをしている間にリラがグリムの後ろに回り込み、ナイフでグリムの背中を刺した。


そのナイフはリラが美鈴から借りていたナイフで、血液に反応しナイフの内側からまた刃が出てくるというものになっていた。グリムの体内で広がった刃をナイフごと引き抜くと、痛さでグリムはその場に倒れ悶え苦しんだ。


「クソぉ…まさか現実世界だとここまで弱くなるとはね…」と呟き、グリムは意識を失った。


リラは「まあ勝負はついたから回復してやるよ。うら」と言い、最高級のなにも混ぜていない回復薬をグリムの腕の付け根と背中の傷に少しかけた。グリムは5分後に意識が戻り起き上がった。


「あーもー負けちゃったや〜!瑞希に怒られる〜!まあ怖くないから別にいいんだけどさぁ」


「第一声が俺への感謝じゃなくて今後の心配かよ」


グリムは「いやだってリラがつけた傷なんだから感謝なんてするわけなくない?」と言うがリラは「んー…まあ…確かに?」と少し納得していた。


リラは「でかな、お前らの目的は知らないが、もうこんな大規模な事件起こすのはやめてくれよマジで」と頼む。グリムは「わかったよ!多分他の俺の仲間も戦闘してるはずだから、リーダーが負けたら言っておくよ」と返した。


グリムは「そういえば…」と言い少し考え込む、20秒後くらいにリラに質問した。


「リラって結局何者なの?普通は俺の攻撃喰らったら壊死した部分が黒くなるはずなんだけど、リラは変色せずただ動かなくなっただけだったよね?そもそも、人間って言ってたけどそれにしては知能が高すぎじゃない?地球からこの惑星まで10億光年、事件が起きてからそう時間も経ってないはずなのにこの距離を移動できるマシーンを作れるのはおかしいよ」と言うと、リラはその場から無言で走り去っていった。


「あちょっと!せめて質問には答えていってよね〜!」とグリムは言うが、一瞬だけ見えたリラの顔に少し恐怖していた。


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人物紹介


グリム・リーパー

死後の世界出身の死神のリーダー。今回の事件を起こした組織のリーダーからはとても信用されている。

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ルビーが敵を探し歩いていると、前から緑髪の女性が歩いてきた。


「お前が…私と戦う宿命の相手か」


…


「ルビーさんに戦ってもらう相手は、ロデオ・ヒスタという九尾の女性です」とあみが言うと、ルビーは「九尾か…すごい強そうだな。」と言い、少し考え込んだのち「というか、九尾ってことは多分モストロ帝国の出身じゃね?それならコウと仲間って言えば説得できる可能性はないのか?」と質問をする。


あみは「ロデオさんは確かにモストロ帝国の出身ですが、あまり国に良い印象を抱いていないので難しいと思います。でも、ロデオさんはとても強い割に戦闘を好まないので戦いにならない可能性があります」と言うが、ルビーは「話し合い!?俺めっちゃ苦手だけど大丈夫かな…」と少し不安そうだ。


あみは「絶対大丈夫です。頑張ってください」とルビーを応援した。


…


「お前が…ロデオか、先に質問させて貰うぞ。なんでこんな事件を…」と言いかけたところでロデオは刀をルビーに振るった。ルビーはそれに剣で応戦し、弾くことに成功した。


「質問より名乗るのが先だろう。お前の名はなんだ」とロデオは問う。


「えぇ…んー」と少し悩んだのち「…俺の名はルビー・コランダムだ。天界出身の宝石属。この通り、なんの宝石かというとルビーだ。」と両腕を広げる動作をしながらルビーは答える。


ロデオは「そうか。応答感謝する。」と言ったのち

「それでは、何故この事件を起こしたかを説明しよう。まず、この事件は全ての能力者の力を奪うとという内容だ。今のところ10兆中の7兆体の力を奪っている。その3兆にルビー、お前達の仲間は運良く選ばれたようだな」とルビーを指差し言った。

「私達の組織のリーダー、瑞希巽というのだが…その野望の協力だ。瑞希には恩人が居る。その恩人を苦しみから解放するべくこの計画をしているのだ。」


「…え訳わからん。なんで能力者の力を奪うことがその恩人を救うことになるんだ?」とルビーが問う。

「今の説明だけじゃわからないのも無理はない。じゃあもう少し深く説明しよう。」

「その瑞希の恩人は「世界管理者」という権力者であり、その中でも下級、中級、上級がある。その中の上級であり、更にその中でも一番権力のある存在なのだ。世界というものはこの現実世界以外に何個も存在している。だがその全てはこの現実世界を支えるためのもの、だからリーダーになるのも無理はない。」

「世界は創世主の手によって少しの改変があるだけでどれだけ時が進もうと一瞬で壊れ、また1から作り直され時が進む。世界管理者のリーダーである瑞希の恩人はそれを自分に関する記憶以外は全て覚えている。どんな破滅の歴史であろうと全てだ。」

「だが世界管理者は交代が可能だ。その方法はその世界管理者と戦い勝利すること、瑞希の恩人より強い存在が中々現れない、居るには居るがそいつらも世界管理者のリーダーなどやりたがらないという理由で交代は絶対にありえないがな。」

「世界管理者の強さはその世界の全生物の強さ×100倍で決まる。そして瑞希は現実世界の能力者の力を全て奪い、その恩人を倒し世界管理者の立場を奪おうとしている。それが恩人を救う方法でもあるんだ。そして私も、もう1人の組織メンバー、グリムもその瑞希の恩人とは面識があり、救われている。だから瑞希に協力したいと思ったんだ。」

ロデオが真剣そうな顔で説明し終わると、ルビーは

「………ああ…うーん…すまん!ちょっと考えさせてくれ!」と言いロデオは「え…まあわかったが…」と了承した。


「…えなに、瑞希の恩人が世界管理者ってやつで…それは全ての記憶を背負ってる…それで強さは全生物×100倍で…それの強さを奪って恩人を倒すことで恩人は救われ…あーわかったわかった!!そういうことか!!」とルビーは20分考えてやっと理解したようだ。ロデオは「考える時間が長いぞ…もっとこっちのこと考えてはくれないか」と言うが、ルビーは「じゃあそんなにマシンガンみたいにガンガン説明するのやめてくれよ!わかりにくいだろうが!!俺の頭の悪さ舐めんなよ!」とロデオを指差し言い放つ。ロデオは「そ…そうか…それは悪かった」と少し戸惑いながら謝った。


「でだな、俺はその計画には反対だ。それじゃあ瑞希はどうなるんだよ。その恩人の苦しみが瑞希に行くだけだろそれ。」


「瑞希はそれを覚悟している。それに私とグリムもそれを一緒に背負うつもりだ」


ルビーは「そんな軽々しいもんじゃないだろ。それと質問なんだが、その恩人は瑞希やお前達のことどう思ってるんだよ。分からなかったら分からないで良いけどさ」と問う。

ロデオは「…きっととても大切に思っているだろうな。その恩人はそういう人だからな」と答える。


「はあ!?お前らバカなんじゃねえのマジで!!その計画成功しても絶対恩人は良い気しないだろ、ただのありがた迷惑だぞそれ。仮にその恩人とやらがその立場を離れたいと思っていてもその代役は絶対にお前達じゃないだろ」とルビーが言うと「うぅ…確かにそうだな…」とロデオは少し怯んだ。


「俺にも大切な奴がいるからわかるけどよ、その恩人は絶対にお前らに代わって欲しいなんて思わないぞ。根拠は俺の恩人だ。その恩人は今俺より辛く苦しい思いをしている。それでも俺に代わってくれなんて今まで一言も言ってこない。そんな様子すらない。俺はお前らの恩人のこと知らないけどさ、自分でも感じるほど大切に思われてるんだろ?それなら絶対そんな計画するべきじゃないと俺は思うけどな」とルビーが言う。

ロデオは少し黙ったのち

「…そうだな、よくよく考えればわかる話だった。こんな若僧に教えられるなんて不甲斐ないな」と少し悔しそうに答えた。


「ルビー、お前の説得にはとても納得した。瑞希を説得しよう。きっと瑞希ならわかってくれるはずだ。アイツは優しいからな、だからこそこの計画をしたというのもある。」

「なあルビー、お前も一緒に来てくれないか。お前によって気付かされた身、お前から直接言ってもらうことで私以上の効果があるかもしれないと思った。」とロデオは言う。だがルビーは「それは断る。俺は瑞希となんて一切面識ないし、仲が深いお前が言った方が効果があるだろ」と言った。


「それもそうだな、ありがとう、ルビー。お前の名前は覚えておくよ」と言い、ロデオは自分が来た方向に走って向かっていった。


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人物紹介


ロデオ・ヒスタ

緑色の髪と目をした九尾。瑞希とグリムとはとても仲が良い。

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あみとズイレンが敵のところに向かうと「ああ、あみじゃない。それとその桃髪の子は…誰?」と言う声と共に、ピンク髪のおさげをした女性が目の前に現れた。


…


「最後に、私とズイレンさんが戦う相手は組織のリーダー、瑞希巽という女性です。瑞希さんは愛妖という種族で、生物の「愛」という感情、概念に干渉する種族です」


「愛に干渉ってどんな感じなんですか?あまり想像がつかないんですが…」とズイレンが問うと、あみは「そうですね、大切な人が亡くなった時の精神的苦痛を引き起こさせるとか、あとは幻覚ですかね、大雑把にはなりますがそんな感じです」と説明する。


「なんか性格悪い能力多いなー」とノウが言うと「根は悪い人達じゃないんですけどね、結構能力は悪質なんですよ」とあみが返す。


「それとズイレンさん、戦闘前にこれを食べておいてください」と言い、あみはズイレンに飴を渡した。


「飴?なんでですか?」とズイレンが問うと「瑞希さんの精神攻撃を少しでも和らげるためです。リラさんに開発して貰いました」とあみは言った。


…



「私の名前はズイレン・イノセンテ、この事件を解決しに来た事件解決者です。先に訊きます、何故こんな事件を起こしたんですか?」と瑞希を指差しながら言う。瑞希は「私の恩人のため。私の恩人は今すごく苦しんでる。その苦しみから解放させるためよ」と言う。


「詳細は分からないけど…1人の人のために何人もの人を犠牲にするのは間違ってるんじゃないですか?」とズイレンは言う。瑞希は「そう。まあ貴方がそう思うのならそれでいい。でもね」と言い、服の中から人の形をした人形と針を出し、人形の左胸に針を刺した。


ズイレンはその途端苦しみ始め、、その場に倒れ込んだ。


「が…!う…ぐぅっ…!?がぁ!?」


「ズイレンさん!?」とあみはズイレンの元に駆け寄ろうとするが、ピンク色のシールドが貼られ近寄れない。瑞希は「あみ、貴方は近寄らないで。貴方は私の友達である存在、だから傷つけたくないの」と言う。


ズイレンはそれでも頑張って立ち上がると、瑞希は「…え!?心臓に直接痛みを与えたのにまだ立ち上がるの!?」と少し驚きつつも「私も楽に殺してあげたいんだけど…しょうがないな」と少し残念そうにズイレンのところに近づき、ズイレンの肩と右腕腕を掴んだ…ズイレンはそれを力が入らず振り払うことができなかった。


瑞希はそのままズイレンの右腕を引きちぎった。瑞希の力はとても強いもので、引っ張った途端一瞬でちぎれてしまった。


ズイレンはそれに困惑したが、それよりも痛みによって叫び声を上げた。ズイレンはその瞬間、瑞希には勝てないと確信した。自分の腕を最も簡単に引きちぎる相手に勝気を見出すなど普通不可能、ズイレンはただ能力が使えるだけの普通の少女なのだ。


「ズイレンさん!!」とあみは力を込めた手に握ったナイフでシールドを破壊しようとするが、何度やっても失敗に終わる。遠距離で回復しようとするもシールドに妨害され失敗に終わる。


ズイレンは最後の悪あがきとして、グリーンレイを10発同時に一点に放つが、瑞希の腹に当たるも全く効かなかった。


「あ……そんな…」と言い、ズイレンはその場に倒れ込んだ…それを瑞希が受け止めると「これで終わり…心臓を突いても立ち上がった時は驚いたけど早かったわ」と呟いた。


シールドが解除され、あみは瑞希とズイレンの方に走って向かった。

「ズイレンさん、今回復しますからしっかり!」とあみは慌ててノウに教えてもらった回復をするが、スピードが遅い。完全回復まで2時間はかかるだろうか。


「あみ、私はあみとは戦えない。でもズイレンは倒した。もう決着じゃない?どうせあみと戦っても私が勝つしさ、ズイレンの回復はしてあげるから」と瑞希が言うと「戦わないと分からないじゃないですか、本当に戦って、私に勝ってから言ってください」と瑞希を睨みながらあみは言う。


「…はあ。本当に戦いたくなかったけど、いいよ。戦おうか」と瑞希は言い、ズイレンを安全な岩陰に置いた。


戦闘開始後、あみは猛スピードで瑞希の人形を奪いに瑞希の元に走るが、瑞希はそれを避ける。

「心読めるんでしょ?なら避けるのにも対応できるよね?」と瑞希はあみを挑発する。瑞希は逆方向に走るが、あみはそれを読み瑞希が向かった方向に行く。


あみは人形と奪おうとするが、瑞希は人形を掴んで離さない、瑞希の意識が人形に行っていることをあみは思考を読み確認すると、ナイフを瑞希の腹に向かって刺す。


瑞希は予測できずに腹にナイフが当たるが、刺さらない。

「…え」とあみは驚くが、瑞希は「まあそうよね…そんなナイフ刺さるわけないわ」と平常そうに答える。


あみの攻撃手段が完全に絶たれた。絶望的状況で瑞希は「終わりね」と言い、人形の左胸に針を刺そうとする。


「そこまでだよ。瑞希」


ある声が聞こえた。その声はグリムでもロデオでもない。性別の検討がつかない声だった。

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人物紹介


瑞希巽

ピンクの目と髪をした愛妖。可愛いものが好きでとても根は優しい子

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「瑞希、ちょっとやりすぎかな」と言い、茶髪に黄緑のグラデーションがかかった髪をした人物が瑞希のところに歩いて行く。


「…あ…マジネ…」と瑞希の顔は青ざめていく。


「マジネさん!?何故ここに…」とあみは驚きつつも質問をするが、その人物、マジネは「あみ、説明してなかったね。この瑞希って子は私に従えたいと願っていた子なんだ」と答える


「瑞希、私の代わりに世界管理者になろうとしてくれたんだよね?でも大丈夫だよ。瑞希に任せるわけにはいかないから」と言うと、瑞希は慌てて「ごめんなさい!ごめんなさい!こんなことして、皆傷つけて!本当に…」と泣きながら言いかけたところでマジネは瑞希の頭にポンっと手をやった。


「今回は許すよ。私のためにやったことだから、私自身も責められないからね。でも、もうやらないで欲しいな。それと後で話は聞かせてもらうよ」と笑顔で言う。「は…はい」と瑞希は恐怖した顔で返事をした。


「ズイレンを回復してくる。2人はそこで待ってて」と言い、岩陰に向かっていった。


「んん……あ…貴方は…?」とズイレンは目が覚め問う。

「私の名前はマジネ・ワール。あみが言ってた師匠的な存在だよ」

「ちぎれた右腕は回復しておいたから、もう大丈夫」とニコッとしながら言う。


「あみ、皆をここに招集して。私は瑞希と一緒にここから立ち去るから」

「それじゃあ瑞希、行こうか」と言い、マジネと瑞希は北の方向に歩いて行った。


…



事件解決協力者全員を招集し、あみは「それでは、今回の事件の説明をします」と事件の説明を始めた。ボツの存在、そして瑞希が事件を起こした理由など、全てを説明した。


「私とノウちゃんはボツの存在を相手から聞いていたけど、そんな理由だったとは知らなかったわ」と美鈴はノウと目を合わせ言う。ノウはそれに頷いた。


「俺はグリムからの説明なにもなかったからマジで初耳だな。バグダッドって俺のボツだったのかよ」とリラは少し驚きつつ、グリムのことを浮かべながら少し睨んで言った。


ロデオとグリムが北の方向から来た。きっと瑞希を説得しに来たのだろう。


「あれ…瑞希はここに居るはずなんだが…どこに居るんだ?」とロデオが言うと、あみは「マジネさんと一緒にそっちの方向に行きましたよ。」と答える。


「マジネ!?マジネが来たの!?」とグリムは驚く。ロデオは「まあマジネは優しいから瑞希に何かするとかは無いだろう。そこは安心だな。それよりグリム、お前が一番マズいんじゃないか?死後の世界の管理者は相当怖いと聞いているが…」とグリムに問う。「…あ、ヤバいかも」と少し青ざめながら言う。


「お前らにも色々あるんだな。まあ頑張れよ」とルビーが真顔で言い放つ。「というか…瑞希達を説得したと言うことは多分力が戻ったんじゃないか?ってことは事件解決!それに宝玉も降ってくるんじゃ」とノウが言う。


そう言った途端、空から宝玉が降ってきた。赤色に輝いている宝玉でズイレンはそれを両手でキャッチした。


「おお!宝玉ゲットだな!」とルビーが喜んでいるが、ズイレンはあまり喜んでいない。どうしたとルビーが問いかけると「いや、私自身は本当になにもできなかったから、受け取っちゃっていいのかなって」と少し疑問そうに答える。


「いいんだよ、皆のリーダーってことで受け取っちゃえ」とリラが言うと美鈴も「そうよ、デバッグのリーダーは貴方でしょ。ズイレン」と便乗して言う。


「うーん…わかった!じゃあ受け取るよ!」と言い、ズイレンはバッグの中に宝玉をしまった。


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人物紹介


マジネ・ワール

ズイレン達が今居る世界、現世の世界管理者。あみの師匠的存在

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ワープ装置で地球に帰り1日後、ズイレン以外のデバッグのメンバーが依頼を受け外に出ているとき、ある来客が来た。


「あのーすみませーん。ズイレンさんですか?ちょっと貴方に伝えたいことがあってー」


ズイレンはその来客の姿を見て、無意識に少し恐怖と嫌悪感を覚えた。見た目は普通の人間なのだが、目が異常に黒いのだ。この世界には誰一人として目が黒い者は居ない。それを世界の住民全員が共通認識として持っているからだ。


「は…はい、なんでしょう」とズイレンは普通に応答する。


「実はなんですが、貴方が9歳の時にジェリーウィークスで助けた少年居たでしょう?その少年の他にもあの建物に囚われている子が居て、その子たちの縄と檻を一気に壊したらしいけど、あそこに収監されていた子供達を今その建物の職員が殺しに行ってるんだって、まあ幸いなことにそこの生き残りがあと2人居るらしいんですけど…なんで壊したんですか?今壊してなかったらその子たちは生きれたかもしれないのに」


ズイレンはそれを聞いた途端体が震えた。思考が回らず、まともに返答ができない。


「ああ、それが伝えたかっただけなので!もう用事はないです。それでは!」と言い、その人物はデバッグの建物のドアを閉めた。


「…嘘……あ……」


ズイレンは困惑していた。頭を抱え、ルビーが帰ってくるまでずっと1人で考え続けていた。


「ズイレン、なんか元気ないぞ。どうしたんだ?」とルビーがズイレンに訊く、ズイレンは「ああ、なんでもないよ。ちょっと考え事」と返す。合っているが間違っている。そんな回答だった。

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