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同僚に成果も彼女も奪われた俺、スキルを配るチートで起業して見返す  作者: 万和彁了


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第4話 ダンジョン攻略配信者を探せ

 私は枝彌さんの御陰で学校に再び通えるようになりました。今はお金や社会的支援などで甘え倒していますがいつかはお返ししたい。何倍もの大きさで。


「おはよー愛暖(めのん)ちゃん!」


「おはよう」


 今日も同級生と下駄箱近くで挨拶して、教室に行く。ただそれだけなのに本当に幸せ。


「ねぇ愛暖ちゃんって転校してきて慣れてきたよね。どう?うちのダンジョン探索部に入らない?スキルのレベルすごく高いんでしょ?ソブリン認定されるレベルだって先生たちが噂してたよ」


「うーん。私はあんまり……スキルで戦うの好きじゃないから」


「そう?アイテムゲットしたらいいお小遣いになるけどなぁ。まあ気が向いたらウチに来てよ。歓迎するね!」


 転校してから先生たちが噂してしまって私がソブリン級のスキル持ちだということがバレてしまいました。正直大人しく過ごしたいので勘弁してほしいなって思います。学校生活はおおむね順調です。でもしいて言うなら。


「伊豆川愛暖さん!一目見た時から好きです!付き合ってください!」


「ごめんなさい。好きな人いるので……」


 よく告白されてしまうことでしょうか。困ります。まだ表面化してないけど、女子同士のいざこざが正直怖いです。誰かと付き合ったことはありませんが、学校のまだ子供みたいな男子たちとのお付き合いが楽しいとはとても思えません。そして私はお断りに疲れて、体育館の裏に行きました。いつも誰もいないのでほっとするスペースです。ですが今日は先客がいました。私はそっと木の陰に隠れました。男女が一組。これは告白でしょう。邪魔はしたくありません。


空亡(くうぼう)さん!いや在朧(アリル)ちゃん!。俺と付き合ってください!超楽しませるから!」


 学校でも人気の男子が銀髪に赤い目の神秘的でとても美しい女子に告白しました。変わってるのはブレザーの下にパーカーを着ている事でしょうか。でもどこか存在感が虚ろと言うか儚いというか変わった印象の子です。


「わたしは例えるならば雲のような定まらない形でそれでいながら光を遮る影を映すような女だ」


「え?あ、はい」


「つまり自分自身でさえ自分の器を知らず、ましてや他者の目に観測さえされることも怪し気で胡乱な女。君の目に映るわたしは形こそあれどそれはまやかしとまではいかぬが真実ではない。いや真実とはわたしとはもしかしたら無縁なのかもしれない……」


「えーっとつきあってくれるってこと」


「すまない。君がすきなわたしをわたしは認めることができない。よって君とパートナーとなってもわたしはわたしでいられないだろう。つまりごめんなさいということだ」


 何を言っているのでしょうか?全然わかりません。そしてアリルさんは男子に背中を向けて去っていきました。あまりにも残された男子が憐れだったので、私はフラれて泣いている男子にハンカチを差し出しました。


「伊豆川さん?!なんて優しいんだ!結婚しよ?」


「ごめんなさい。ハンカチはあげるので泣き止んでください」


 私はアリルさんの顔を思い出そうとして、なぜかうまくできなくて、首を傾げながら教室に戻りました。





















 オフィスにて回収してきたというかコピってきた新しいスキルをサーバーに登録しながら俺はアプリの管理コンソールを気にしていた。


「アカウントが2000超えてからちっとも伸びねぇ」


 今のアカウントの数は2062。毎日少しずつしか増えない。俺はチェアにもたれかかってうなだれる。


「コーヒー淹れました。ケーキ買ってきたのでおやつにしましょう」


 キッチンからお盆を持って愛暖が来た。制服の上にエプロンとか着てる。なんだろう。この年でそう言うのを見ると歌舞伎町のエッチなお店を想像してしまうのは俺が中年だからだろうか。ちゃぶ台に乗せられたケーキとコーヒーを嗜みながら俺は言った。


「ユーザーが増えないんよ」


「そうなんですか。なんかもう爆発的に流行ると思ってましたけど」


「俺もそう思っていた。それでネットを調べてみたら、なんかSNSでも話題になってないし、掲示板ではジョークアプリだと思われてたし。なんか情報が広がってないんだよね」


 これは盲点だった。俺は大企業で仕事してたから気づかなかった。本来サービスとはいくらいい商品でも簡単には広まらないのだ。大企業はビジネスプランが立てば、ガンガン広告を垂れ流せる。俺はそういうシステムに乗っかって商売してたからわからなかった。起業してわかったけど、流行ってるラーメン屋さんとかホント経営上手だよ。まじでそう思う。


「あの。スキルの使い道で思ったことあるんですけど」


 愛暖が提案をしてきた。俺は真剣に傾聴した。


「あの、そんなに見詰められると緊張するので」


「あ、うん?すまん。顔怖かった?」


「いやそうじゃなくて。私の都合です。えーっとですね。ダンジョンです」


「ダンジョン?あ、あれね。スキルがこの世に発現したころに同時に現れた謎の施設ね」


「はい。ダンジョンでは色んな有用な資源やアイテムが手に入ります。そこでは優れたスキルの遣い手が活躍しててお金を稼いでいます」


「そうだね。確かにそういう人たちがターゲットではあったね。でそれで?」


「はい。ダンジョン攻略って配信してる人たちが沢山いるのは知ってますよね?」


「うん。見たことはないけど。そいつらにプロモーションしてもらうってこと?」


「はい。枝彌さんのアプリはすごいです。でも使ったらすごいってわからない人の方が圧倒的に多いわけですよね。ダンジョンで活躍してる人が使ってるのを動画配信で見て、疑似的に体験してもらったらユーザーさん増えるんじゃないでしょうか?」


「てんさいかわいい!それだ!」


 俺はすぐに立ち上がる。そしてパソコンのモニターで動画サイトを検索する。ダンジョン攻略の配信はすごく盛り上がっている。これプロ野球とかよりはるかにデカいな。すごいバズだ。


【雷オンリーでボスに挑んでやった】


【隠密スキルでどこまで潜れるかRTA】


【敏捷スキルでボス技簡単回避のテク伝授】


 なんかいろいろある。


「再生数やばいな100万とかゴロゴロいるんだけど」


「みんなスキルの使い方上手ですね」


「なんか装備とかのプロモもしてるな。企業案件ってやつだな」


「頼んでみます?」


 俺は主要なアカウントの依頼先を調べてみた。そしたら。


「1000万とか払えるかよぉおおおお!!」


「とんでもない依頼料ですね……」


 余りにも高額な依頼料に眩暈しかしない。


「いっそウチで自作するか?愛暖のヴィジュアルならいけるはず!?」


「私は構いませんけど、父が出しゃばってきたら炎上ですよ」


 いきなりとん挫した。


「かといって売れてない配信者に頼んでもなぁ……うん?なんだこのサムネ」


 銀髪のブレザー制服の女の子の後姿とダンジョンのモンスターが映ったサムネが出た。再生数は141回。だけどこの背中の姿にはなにか惹かれるものはあった。同時にスタイルの良さは間違いないわけで。再生してみる。


『今日は八王子第三ダンジョンの中層ボスを倒しに行きます』


 銀髪赤目のとても綺麗な子がカメラに向かって言う。そしてドローンのカメラが彼女の背中に回り込んで、女の子が淡々とダンジョンを進んでいく。


『ぎゃおおおおおおおおお!!』


 狼型の強そうなモンスターが出てきた。それを銀髪の女の子は手からビームを出して一瞬で蒸発させた。次にゴブリンが出てきてまたビーム出して蒸発。30匹くらいのオークが出てきたのに全部ビームで消滅させた。


「強いですね」


「うん。強すぎ」


 だけどなんか面白くない。そのままボスまで行ってビームの一撃で倒した。コメント欄を見る。


:無双過ぎてワロタ。いやつまんねーけど


:ここまで無双しすぎると逆にカタルシスがないと証明した女


:八王子第三ダンジョンの中層って普通に山あり谷ありのいい映えスポットなのになんも苦労もなく踏破してんのはすげぇ。すげぇけどそれだけだな。


 コメント欄が冷ややかだ。確かにそうだ。でもすごい美人だし画面の映りはいい。くそなのはシナリオだけだと思うけど、シナリオが糞過ぎる。ん?なら逆に……。


「あの。この子知ってます」


「え?知り合い?」


「知り合いってわけではないんですけど、同じ学校にいます」


「まじか……ありだな」


「え?」


 俺は立ち上がって、ホワイトボードに近づいてペンを取る。そしてこう書いた。


【アプリの初心者パッケージでどこまで行けるか試してやった!】


 愛暖がそれを見て頷いた。


「アリだと思います」


「だろ?シナリオはこっちで用意してやる。この子にアプリの提供するパッケージだけでダンジョンを攻略してもらう。アプリを使えばこうなれるという体験をユーザーに知らしめるんだよ!!」


 そして俺たちの作戦は決まった。この子を必ずスカウトする。そしてアプリをバズらせるのだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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ぜひ続きもお楽しみください。

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