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同僚に成果も彼女も奪われた俺、スキルを配るチートで起業して見返す  作者: 万和彁了


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第5話 スカウト

 銀髪の少女の名はアリルというらしい。不思議な感触だ。でだ彼女は俺のアプリのプロモーションに絶対に必要な人材だ。だからまずはスカウトしなきゃならない。


「あの。私が学校で声かければよかったんじゃんないですか?」


「それだと向こうは身構える。こういう時は奇襲するに限る」


 海上自衛隊にいたときにそれは学んだ。重要なことがある。こっちはお願いする側で相手が圧倒的に強い。だが奇襲すればどうなるか。主導権はこっちに渡る。


「なんで告白が上手くいかないか知ってるか?」


「え?相手のことよく知らないからですかね?」


「違う。欲しいものを予期せぬ形でくれないからだ。だから逆をやる。欲しいものを予期せぬ形でくれてやるんだよ。おっと来たぞっと」


 今俺たちは府中第五ダンジョンの入り口センターに張っている。俺は出来るだけ高いビジネススーツを。愛暖にはフォーマルなドレスを着てもらっている。ダンジョンの入り口なんて戦闘服だらけのやつしかいないから目立って仕方がない。それがいいのだ。


「本当に大丈夫ですかね」


「まあ信じろ」


 アリルがダンジョンの受付を済ませてこちらの方へと歩いてくる。悠然と堂々となのにどこか虚ろで。だけどそんな彼女がふっと俺たちを見た。彼女は首を傾げた。いける。そして彼女と俺の目があった。こっちらに少し興味を持ったようだ。だって俺たち目立つし。だから俺は目が合ってしばらくは見つめ合い。ふっと微笑みかける。アリルは戸惑っていた。そして俺と愛暖が近づく。


「やあ。アリスさんだね。君の動画見たよ」


「え?わたしの?動画?見た人?わたしを見た?」


 食いついてきた。売れてないやつはかまってちゃんだ。だがファンですとは言わない。そうしたら上下関係が出来る。


「是非君とダンジョンに潜ってみたいんだ。どうかな?いいよね?ね?」


 俺は押し気味に話しかける。アリルは少しきょどった。


「わたしを傍で見たい?」


「うん。見たいね」


「わかった。いい」


 俺は心の中でガッツポーズする。愛暖がこっそりと声をかけてくる。


「すごいですけど、もしかしてこうやっていつもナンパとかしてるんですか?」


「そんなことしない。でも待ってちゃチャンスはやってこないんだよ」


 そして俺たちはアリルとパーティーを組んだ。パーティー組みようのスマホアプリが各団体から出されている。アリルは持っていなかったけど、その場で落してもらってアプリでパーティーを組んだ。


「俺は枝彌。こっちは愛暖(めのん)だ。よろしくね」


「よろしく」


 そっけなさそうだけど、顔は少し赤い。俺たちへ悪印象は持ってないのは確定だ。そして俺たちはダンジョンに入った。


















 ダンジョン内では重火器の使用が認められている。このためだけにわざわざ免許を取って、昔使っていたMP5kpdwとグロック19を装備した。愛暖は特に何も持ってない。


「エダミは銃なの?スキルは使わないの?」


「使うよ。まあ期待しててよ。足は引っ張らないからさ」


 俺たちはダンジョンの通路を歩いていく。そして速攻スライムにであった。


「えい」


 アリルが手を振ると光の刃が高速で飛んでいってスライムを細切れにしてしまった。なんかアイテムを残した。なぜか瓶に入っている謎の液体。俺は拾ってアリルに渡す。


「いい。あなたたちにあげる」


「そう?じゃあ記念に貰うね」


 俺はポーチに仕舞う。また歩いていくと今度はゴブリンたちが出てくる。またアリルが手を光らせてスキルを発動させようとしたが、俺は彼女の前に立った。


「なんで?」


「俺も戦ってみたいんだ。かわいい子の前でかっこつけさせてよ。ね?」


「うん。わかった」


 アリルは頷いてくれた。そして俺はゴブリンたちの前に立ちはだかる。そしてわざとらしくスマホを取りだしてアプリを起動させる。出来るだけ外連味の聞いたポーズでアプリを操作してスキルを発動させる。


「ゴールデン・バウ起動!黄金の枝よ!我に力を!!基礎ステータスオール強化!!」


 スマホの画面が光って、俺にスキルのバフの光がかかってくる。体が強化されて五感が研ぎ澄まされるのを感じた。そしてナイフを取り出して、強化された足で忍者の如くゴブリンたちの後ろに回り込む。


「ぎゃぁ!!」


「遅い!」


 俺はナイフを振り下ろしてゴブリンの頭をえぐって倒した。そのまま強化された跳躍力で側転しながら次のゴブリンの首を刎ねる。さらに着地する瞬間にスマホアプリを取り出してまたもカッコつけてボタンを押す。


「雷撃一閃!はぁああ!!」


 俺が手をかざすとゴブリンたちの頭に雷が降り注ぐ。そしてゴブリンたちを薙ぎ払ったのだった。


「ふっ……やったぜ」


「流石です!エダミさんすごい!!」


 愛暖が笑顔で拍手してくれた。美しい女からの賞賛。き、気持ちいい!だけど自己満足のためじゃない。俺はアリルの方を見る。大変に驚いた顔をしていた。


「今の戦い方、多彩で何よりも……美しい……」


 アリルは俺に詰め寄ってきた。


「どうやった?!」


「それはね。このアプリの御陰さ!」


 俺はスマホのアプリを見せる。アリルはじーっと見ている。


「スキルは多くの場合先天的に得たものか何かのきっかけで後天的得るものに限られる。だけどこのアプリがあれば今の様に多彩なアプリを才能がなくても使いこなせるんだ!!」


「今アカウントを作ると初心者パッケージが30%オフです!」


 愛暖も俺のセールストークに乗ってくる。


「す、すごい。わたしは顧問の身体強化と光子操作しかできない……だから映えないって言われてる……」


「でもこのアプリがあればきみも映えるスキルが使えるよ!」


「わたしでも?わたしでも人の目に留まるような戦いができる?」


 俺と愛暖は頷く。アリルは俺のスマホをじーっと見ている。


「欲しい。それ」


「ダウンロードならストアから自由にできるよ。だけどね、スキルは金を払わないと手に入らないんだ」


「お金がかかるの……配信……収益ない……買えない……」


 アリルは凹んでいるようだ。だからここで囁く。


「ただで使わせてもいいよ。全スキルを自由に無制限に使っても構わない」


「え?本当?」


「うん。君が配信でこのアプリを使ってダンジョン攻略するならね」


「やる!やらせて!そのアプリ使いたい!」


「いいだろう!使わせてあげよう!!君は期待している。君には華がある。今はまだ雲のベールに隠されているがその奥には太陽よりもなお輝くダイヤモンドが俺には見えるんだ」


「わたしが見える?エダミには見えてるの?わたしが?」


「ああ。君の輝かしい未来が俺には見えている。さあアプリを使って頑張ろう。撮影の協力もする。カメラも俺たちが持つよ。さあ君の輝きを世界にぶちまけてやろうじゃないか!!」


「やる!わたしがんばる!よろしくお願いします」


 アリルが俺にぺこりと頭を下げる。勝った!この商談!圧倒的に俺の勝ちだ!愛暖はどこか生暖かい目で見ているが、これで華のあるインフルエンサー候補をタダで使えることが決まった。俺は勝利に酔いしれていたのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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