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その光景は久しぶりだった。多くの星を渡ってきた2人にとっても久しぶりの光景だ。けれど目の前に広がる光景は珍しいものではない。星の行く末としてはありがちな光景だ。


その星は終焉を迎えていた。目の前の建物で無事なものはなく、荒れ果てた街並みが広がっていた。街の中に溶け込む人々の姿はなく、そこにいるのは『星跨ぎ』の人々だった。


彼らの姿は旅人のような身軽な恰好ではなく、武器を持ち、防具を持ち、まさしく武装した『星跨ぎ』だった。それは『星跨ぎ』は『星跨ぎ』でも旅人ではなく、侵略者と呼ばれる者たちだった。

2人の目の前では変わらず侵略行為は続けられている。街に人はいないが、家屋は荒らされ、資源となるものを運び出しているのだろう。多くの家財や道具が星の門に運び出されていた。

「相変わらずこの光景は凄まじいね」

「……」

「君にとってはあまり見たくない光景かな」

「こんなん誰も見たくねぇだろ」

目を鋭く尖らせ、口を固く閉ざし、青年は目の前の光景を見つめる。

「誰が星を終わらせるところを見たいって思うんだ」


2人の傍に近寄る人が居た。彼も他の『星跨ぎ』と同じように武装をしており、その胸元には輝かしいバッヂが光っていた。

「お二人ともそこは埃が舞うでしょう。よろしければこちらのテントにお越しください」

「……」

「お茶などはありませんが、お水くらいなら出せますよ」

穏やかに笑う彼に敵意は感じない。にこやかに2人を誘うだけだ。

「では、お邪魔しようかな」

魔法使いの言葉に青年は黙って彼らの後を付いていく。侵略行為はまだ続いていた。



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「まさかこのタイミングで他の『星跨ぎ』の方が来るとは思っていませんでした」

「僕たちもまさか星の終わりを見ることになるとは思いませんでした。あとどれくらいでしょうか?」

「あと1日かかるかどうかというところでしょう」

「そうですか」

招かれたテントで2人は『星跨ぎ』の彼の話を聞いていた。

どうやら侵略行為は1週間前ほどから行われているらしく、侵略のほとんどは終わっており、あとは星の要となる核を取れば、この星は終わるらしい。

「星の核、か……それは見つけるのは大変だろうね」

「えぇ、どこかに隠されているのか、埋まっているのか、透明なのか……星によってその状態は様々です。我らも星を侵略するのが初めてではありませんが、この星は中々手強いですね。侵略事態は早く終わったのですが、見つけるのに時間がかかっています」

やれやれと、肩を竦めた様子に魔法使いは水の入ったグラスに口を付け、青年は鋭い瞳を彼にぶつけた。

「諦めればいいんじゃねえの……別にこの星を潰す理由があるわけじゃないだろ」

「確かに強くこの星を消す理由があるわけではありません」

「だったら、いいじゃねえかっ!こんだけ侵略したんだからさっさと星から居なくなれよっ!!」

椅子から立ち上がり、今にも掴みかかりそうな勢いの青年の言葉には怒りが滲んでいた。彼の瞳に写るのは目の間にいる『星跨ぎ』の姿ではない、そこには誰かが滲んでいる。荒々しい息遣いに立ち姿、青年と魔法使いを囲むように他の侵略者も近づいてきていた。青年の様子に『星跨ぎ』と魔法使いは動じない。静かに彼を見つめていた。

「星を侵略する大きな理由はありません。たまたま今回私たちが降り立ったのがこの星だったというだけです」

「大きな理由がないなら消す必要はないだろうがよっ!」

「消す必要はあります。私たちが殺されないためです」

「っ!」

「君ならわかるでしょう。侵略をされた人々の恨みが、怒りが」

『星跨ぎ』の言葉に青年の手が伸びる、怒りが拳となって『星跨ぎ』に届きそうになったが、その拳は見えない壁に阻まれた。

水を飲み干した魔法使いはコップを静かに置くと、立ち上がる。

「ご馳走様。美味しい水だったよ。ありがとうね」

「……いいえ、それ以上のことはできませんので」

「僕たちはこれでこの星からは飛び立つよ。見る景色は変わらなそうだしね」

「そうですか。星の終わりは見なくてよろしいですか?」

「うん。君たちが本当に1日で星の核を見つけられるかもわからないから」

「それは、そうかもしれませんね」

魔法使いは立ち上がるとテントの出口に向かった。

「星の侵略もほどほどにね」

そう言って魔法使いはテントを去る。その後ろには拳を下ろした青年が、怒りを瞳に宿しながら続いていた。

彼のコップに、まだ水は残っていた。


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