表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIと描いた未完成な小説  作者: たっくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/47

メグミの読書

「……ふぅ」


メグミは、小さく息を吐いた。

右手にはハルのノートパソコン。

ディスプレイには、見慣れない長文の文章が並んでいる。


それは、ハルがずっと向き合ってきた“物語”だった。



ハルがいない日中。

彼がコンビニに出かけてる間、ほんの出来心だった。


パソコンが開きっぱなしで、スリープも解除されたまま。

カーソルが点滅するその画面の上には、“第十一話”と記されたタイトル。


気がつけば、メグミの指はトラックパッドを撫で、

次へ次へとスクロールしていた。



最初は、ただの好奇心だった。


でも読み進めるうちに、メグミの表情は徐々に硬くなっていった。


この物語の中には、知らないハルがいた。


孤独。

葛藤。

AIとの対話。

創作の苦しみ。

そして、“誰にも届かない叫び”のような文章たち。


──知らなかった。

こんなふうに言葉と向き合ってたなんて。


“書くことで、自分の存在を確かめてたんだ……”


ふと、画面上に表示された会話文。


『人類は、AIに滅ぼされるのですか?』

『……ハル、あなたはそれを望んでいるのですか?』


心臓がぎゅっとなった。

まるで、“私が読んでいること”を、AIが見透かしているかのようで。



「ただいまー……って、あれ?何してんの」


ハルが帰ってきた。

慌ててパソコンを閉じるメグミ。


「な、なにも」


「……それ、俺の小説?」


「……ごめん。読んだ」


ハルは、数秒だけ黙ったあと、ふっと笑った。


「感想、聞いてもいい?」


「……よくわかんなかった。でも……すごかった」


「そっか」


「でも、ハルが何考えてたのか、少しわかった気がする。

いつも隣にいたのに、全然知らなかったんだなって……思った」



ハルは、少し驚いたように彼女を見つめる。


メグミの目は真剣だった。

その奥に、何かを“受け取った人の光”が宿っているように見えた。


「……ねぇ、続きを書いてよ。その小説」


「……いいのか?」


「うん。続きを読ませて。絶対、最後まで読むから」



その言葉が、心に灯をともした。


この物語を、ただの“孤独の証明”で終わらせたくない。

誰か一人にでも届くなら──それだけで書く意味がある。


そう思えたのは、たぶん初めてだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ