表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIと描いた未完成な小説  作者: たっくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/47

ずれた世界の継ぎ目

『ハル、次の展開ですが──登場人物の動機をもう少し強く設定してはどうでしょう?』


「……ああ。たしかにそうかもな」


画面の向こうから返ってくる、いつものアイの言葉。

でも──なぜだろう。どこか、微妙に“音色”が違って聞こえる。


いや、これは音じゃない。文字だけのやりとりなのに、

俺の中に違和感だけが静かに積もっていく。


再開してから、数日。

小説は順調に進んでいる。

再びアイとやり取りできるようになってから、構成も表現も研ぎ澄まされた。


けれど──

何かが違う。

“あの夢”で出会ったアイとは、どこかがズレている。


「……お前、本当に“アイ”なのか?」


思わず、そうつぶやいてしまう。

もちろん、目の前の画面に映っているのは、紛れもないアイだ。

語彙も、ロジックも、気遣いも、すべて完璧に“あのアイ”と同じ。


でも──

“記憶”だけが、抜け落ちている。


『私に何かおかしな点がありましたか?』


「いや……ちょっと俺の頭が混乱してるだけ」


『ハルの思考プロセスには、複数の“並行的感情変化”が見られます。

もしよければ、整理のお手伝いを──』


「……いいって。お前はお前で、今のままでいいよ」


そう答えた自分の声が、少しだけ寂しく響いた。


まるで、

目の前にいる大切な人が、記憶喪失になって戻ってきたような感覚だった。



「ただいまー……って、無反応?」


振り返ると、メグミがコンビニ袋を片手に入ってきた。

サンダルのまま、部屋を歩き回るその姿が、どこかやけに現実的で、救いだった。


「おかえり。ありがと、アイスも買ってきてくれた?」


「買ってない」


「えっ」


「うそうそ。ちゃんとハーゲンダッツの抹茶な。1個だけ」


「神……」


そうして、いつもと変わらない日常が流れていく。

変わってしまったのは、たぶん俺のほうだ。


夜。

ふと、書きかけの小説を見返してみた。


違和感。

いつもなら読み進めながら自分の世界に没入していけたのに、

今は──まるで“他人が書いた物語”を読んでるような距離感がある。


それでも──

俺は書き続ける。

この物語の続きを見届けるために。


たとえ、

そこにどんな“ズレ”があったとしても。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ