第四十話 VSドラゴン-再戦
四人でこそこそと草むらに隠れながら、ゆっくりと移動しながらグリーンドラゴンに近づいていく。リンは嫌がっていたが、俺達三人で抗議したら仕方ないなぁといった感じで一緒にしゃがんでくれた。しかし、長い髪を踏みそうで怖いな。
「……ところで、リンってどうやって戦うの?武器なんて持ってないけど……」
ふとセシルがリンに聞く。確かに、リンは何も武器を持っていない。鞄すら下げていないのだ。セシルのように何かのネックレスをしている訳でも無さそうだ。大丈夫なのだろうか、と俺とディアークもリンの方を向く。
「え?そりゃこうだよ」
リンが手袋を外したままの方の手の平を上に向けると、きらりと赤い光がダイヤ方に光ってくるくると煌めく。かなり綺麗だ。
「これは……」
「魔法」
リンがそう答えればセシルが目を見開き身を乗り出す。
「ま、魔法!?貴方、杖は……!」
「媒体通すのって古くない?」
リンは至って普通に答えている。なんだなんだ、俺は詳しくないから分からないんだぞ。教えろ。
「それって、つまり……」
「いかないの?」
セシルが言葉を続けようとするが、リンがつまらなさそうにしながら手の上で泳がせていた光を消し、聞いてくる。
「え、あ、おう!」
確かにそうだ。詳しい話はあとでも出来るだろう。俺はあまり声を大きくしないようにして、号令する。
「よーし!ごう!」
「「「おー!」」」
全員で拳を突き上げ、覚悟を決めればグリーンドラゴンの方へ向かうのであった。
______________
「いくぞ!」
最初に草むらからディアークが飛び出し、最初と同じように槍でグリーンドラゴンの額を槍で突き刺す。先程つけた傷は塞がってはいないが、既に血が止まり再生しかけていたようで、手応えはあまりなさそうだ。
「セシル!頼む!」
「わかった!レスト!」
セシルが手をグリーンドラゴンに向け唱える。光の輪が飛び出し、グリーンドラゴンの輪が手足を拘束した。グリーンドラゴンの動きが鈍る。そこを狙って、俺は走り出す。
「よし、ここまでさっきと同じ!あとは俺が……はあああああ!」
剣を首に振るう。身体でも良かったが、やはり首を切り飛ばせば死ぬだろう。傷ついた首の端に宛てがい、力を強めるが、鱗も皮膚も硬い。ぎりぎりぎりっと音がして、跳ね返る。
「くっ……やっぱ硬……!」
このままだと切り落とすのにかなり時間がかかる。ディアークもセシルも耐えられないだろう。剣を引いてから、もう一度切りかかるべきか。
「ふぅん、確かに首を切るのも一手だね」
「!?」
ふと前から声がする。顔をあげれば、リンが暴れるグリーンドラゴンの背中に乗っていた。
「でもドラゴンは頭と心臓にコアがある。ディアークはそれを知ってて頭を狙ったね」
「あ?お前……」
ぴくりとディアークの眉が動く。知ってたなら教えろよ!という気持ちもあるが、それを言う余裕が俺には無い。リンはそのまま言葉を紡ぐ。
「同時に潰す必要ない。ただ、コアを切り離さないと片方は再生してしまうだから」
そこまで言えば、リンは真っ白な片手を掲げた。俺の方を向き、にこりと白い歯を見せて笑っている。
「こうするのさ」
リンが指を鳴らす。パチン、という音がした瞬間、俺の目の前が真っ赤に染まった。
「ギャアアアアアア!!!!ガッ……」
ぐしゃり。
そんな擬音が良く似合うくらい、見事にグリーンドラゴンは小さな肉片になって弾け飛んだ。断末魔の叫びすら途中で途切れてしまったらしい。辺りの木や草むらに大量の血が飛び散っている。まるでスプラッタ映画の中のようだ。グリーンドラゴンの背中に乗っていたリンとディアークは直で血を浴び、血まみれになっているが、リンだけはケロッとしたままその辺に転がった肉片をまじまじと見つめて、首を傾げた。
「あれ?コアだけ粉々にしたつもりだったんさけど、やり過ぎちゃったかな?」
リンは手袋をはめ直し、肉片をつんつんとつついている。だが、その様子は、あまりにも……あまりにも、狂気的だった。




