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新たなる世界を君と共に  作者: 園崎茶々
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第四十一話 別れ

「え、あ……?」


呆気に取られていれば、リンは肉片から興味を無くしたのか立ち上がる。


「じゃ、僕はこれで」


リンが指を立て、くるりと一回転回せば血がついていた洋服も髪も綺麗な状態へと戻る。そして、リンがその場を離れようとしたところでハッと我にかった。


「ままま待って!!!!」


急いでリンの袖を掴むと、リンが不思議そうな顔をしながら振り向く。


「えっ、なに?」

「すげーーーー!なんだあれ!なんだあれ!?」

「魔法?こんなの見た事が……」


血まみれのセシルとディアークも此方に近寄ってくる。各々賞賛の声を上げながら、同じくしてリンの服の一部を引っ張っている。リンはちょっと鬱陶しそうだ。しかし、こんな強い魔法使い、逃してはならない。俺は袖から手を離し、リンの手を両手で掴めばぎゅうっと握って離さないようにする。


「リン、リン!お前!俺達のパーティに入らないか?」

「なんで?」


パーティへ勧誘すればきょとんとした顔をしている。突然だからそうだろう。しかし、どうしてもなって欲しい。


「魔法使い!探してたんだよ!」

「リン、お前すっげー強いんだな!」

「わ、私も!貴方のこと気になるんだけど!」


俺達が口々でリンをもてはやせば、リンは首を捻って目を閉じる。


「うーん」


「頼むよ!リンみたいな強い奴と一緒に、旅がしたい!」

「それに、色々知ってそうだしな」

「知識不足は否めないし……ね?」


お願い!と言うように更に手に力を込める。ディアークとセシルも、袖から手を離して両手を擦り合わせ、お願いのポーズを取っている。リンは目を開き、その様子を見ていた。


「リン!」

「嫌」


はっきり断られた。


「えええええ!!!?!なんで!!!?!?!」

「いや、僕も旅してるし」


「誰と!?」

「一人で」


一人で。俺たちは二人で旅を始めたけど、確かにこの強さなら一人で旅をしていても問題ないのか。

見たところケガも何もしてないし、服も綺麗なままだ。すごい人だぞ……


「なら俺達と旅しよう!絶対楽しい!」

「ならアピールして」


アピール。突然言われても困るな……

とりあえず困ったので俺はディアークに視線を向ける。


「いけディアーク!」

「俺ぇ!?え、えっと……」


ディアークがリンの方を向けば、リンは黙ってディアークを見ている。

ディアークもその無言に耐えられないのか、おずおずと口を開いた。


「あの……一発ギャグ出来ます!」

「やってみて」


一発ギャグ。かなり苦し紛れだがナイスだディアーク。

というかこの異世界にも一発ギャグっていう概念あるんだな


「あ、えーっと……ホワイトウルフ、の子供の真似……」

「うん」

「ぐ、ぐるるぁ……あおーん」

「じゃ、またね」


リンはため息すら零さずに目を細め、歩を進めようとする。

正直気持ちはわかる。俺もこれを見せられたらどっかいくだろう。

しかし今は逃がしてはならない、セシルと一緒にリンの足にしがみついた


「待って゛ぇ゛くれぇ!!!!」

「待って待って!いかないで!」

「だって、一発ギャグって言うから期待したのにただの媚びたモノマネだったじゃん」


正論だ。一方でディアークはといえば。


「ぐ、ぐぬううううう!!!!」


と、顔を赤くして唸っている。本人的には頑張ったっぽい。

だが次だ、俺はセシルの背中を押した。


「くっ、ディアークの使えないやつめ!セシル!次だ!」

「私!?えーーーっと、あーーーっと」


リンは黙ってセシルを見ている。

セシルは視線をあちこちに泳がせて言葉を詰まらせている。


「あ、っとー……その、えーっと……」

「うん」

「この焼肉、焼きにくい!」


ギャグだ。この異世界にもギャグってあるんだなぁ。

言ってる場合ではないが。


「……」

「……」


リンもセシルも黙ってしまっている。

これはだめかもしれない。


「じゃ、また」

「あーーーーっ!!!!やだ!!!!」


だめだった。

しかしリンは去ろうとするのではなく、俺の方を見てきている。


「じゃ、人間。君は何ができるの」


俺に振られた。いいことを言えばなんとかなるかもしれない。

考えろ。考えろ。考えろ。


「俺!?俺ぇ……えーっと、あーっと……マッサージ、上手いよ。勇者的マッサージ……的な☆」

「じゃ」

「嫌だーーーーーー!!!!」


だめだった。


「うーん、じゃあ、そうだなぁ……ねえ、人間達は何処に向かってるの?」

「うう、サリオ……」


「サリオ?それ今から直で行くわけじゃないでしょ。そこは最終地点として、今はどこに向かっていってるか聞いてるの」

「ああ。第五都市のドラシェンだけど……」


「なら、ドラシェンにいる青髪の女の子が二人いるから、その子たちを連れていくといいよ。僕の名前を出せばついてきてくれると思うから」


「えっと、その子達の名前って……」

「本人に聞いた方が仲良くなれるよ」


「えぇ……」

「じゃ、また会おう人間!」


それだけ言えば、たったったと走って去って行ってしまった。

追いかけようと思えば追いかけられるかもしれないが、相手は格上だ。そのうち撒かれてしまうのは目に見えていた。


「あ!待って!あ、あーっ……」

「行っちゃったな」

「行っちゃったね」


ディアークもセシルも残念そうに顔を見合わせている。

俺はがっくりと肩を落としながら仲間に向かい合った。


「強いひと仲間に出来そうだったのに……」


「まあ仕方ないよ。でも、あては出来たし、ドラゴンも倒せたし良かったんじゃない?」

「そうだよ。俺達じゃ難しかっただろうし」


「そうだけども」


「取り敢えず、一旦村に戻ろうぜ。報告しよう」

「そうね、それがいいわ」


「うわーん」


色々思うところはあるが、ひとまず俺たちは報告の為に村へ戻る事にした。

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