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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第七章「甘さ控えめコーヒーと恋」
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8.日常

 明るい空気の食卓は、多分初めて四人で囲むこととなった。

 ニヤニヤしている顔のお母さん。

 緊張気味の琴音。

 いつも通り少し無愛想なお父さん。

 そして事の展開が早く、そしてうまくいきすぎてることに多少の戸惑いがありながらも、運命だと信じている僕。

「ニュースで見なかったか? 確かニカラグアだったかで内戦が起きたとか」

「……あぁ!」

 確か琴音と望月との、あまり思い出したくないあの場面の後に耳に入っていた気はする。

「ちょうど巻き込まれちゃったってわけ。大変だったわね……」

「ま、その分ちょっと飛行機を手配してもらったりとか、うれしいこともあったな。旅行の最後の方のアジアあたりには行けなかったが」

「……話を聞いているようだと世界一周でもしてきたのかな?」

「ま、だいたいそんな感じの想像でいいわ」

「す、すごい……」

 小声で琴音は驚く。

「いやぁ、でも内戦がすぐ治まってくれてうれしかったよ。基本的にずっと続いてるもんだと思ってたから。一週間? 一回ドカンとでかく爆発したが、それきりで収束したんだろうな……」

「治まったら命の無事ぐらい電話してくれよな……」

「悠馬だって私たちに電話とかかけてこなかったよね!」

 何も言い返せない。

「親も親なら、子も子だね」

「うるせぇ」

 琴音は微笑を浮かべながら僕に耳打ちする。少しばかりであるがこの場にも溶け込めているようだ。

「でも琴音ちゃん? っていったっけ。本当よくこんなやつ選んだね? だいぶ物好きだわ」

「お父さんにも言われたよそれ……」

「こういってるが、こいつだって俺を選んでるんだから十分物好きだがな」

 ハハハとお父さんは笑う。自分で言ったらそれはもうおしまいだろ。

「物好きであるのは自覚してますが」

「自覚してるのかよ!」

 遠まわしに僕を貶しにかかるのはやめていただきたい。

「心に決めた人なので」

 ……よくもそんな歯の浮くようなセリフを。

 お父さんの方を見ると、さっきまでの楽しげな顔は少しもなく、真面目そうな顔をしていた。

「……大変だと思うが頑張ってくれ」

「は、はい!」

 畏まる琴音。食卓に不思議な空気が漂う。

「固くならないでよ! ごはんも固まっちゃうわ」

「お母さん、上手いこと言おうと思って失敗するのだけはやめて」

「ごはんだって固くなるさ」

 お父さんはまた楽しげに笑いだす。

 お母さんは頬をぷくっとふくらます。

 琴音はもう完全に打ち解けたかのように、緊張した面は見えない。

 かくいう僕は、不思議な違和感にいまだ包まれていた。

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