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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第六章「深まる絆、消えない絆、見えない絆」
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6.「鷲」明星

 授業も終わった放課後。空を見上げると灰色に染まりかけていた。太陽は私の心みたいだった。

 あの日からもう二週間も経ったのか。いつの日かの心を取り戻していた私は、カレンダーをめくるスピードも早くなっていた。

 そろそろ心も限界だった。懐かしい感情が襲う。たった数か月前のことなのに、ずっと昔のことのように思える。

 テストの結果はそろそろ張り出されるだろうか? 國定君との勝負はどうなっただろうか? 國定君は私のことどう思っているのか。もう、私という存在を頭の隅に追いやってしまったのだろうか。寂しいなぁ……。

 今日のお昼、國定君は小春先輩と話していた。楽しそうに。そして、何より二人は手をつないでた。私が通り過ぎた後もまた。嬉しそうな笑顔を掲げた國定君の顔を忘れられない。

 悔しかったんだ。小春先輩に嫉妬していたんだ。あのときの私の心はギりリと音を立てながら、ただ、ただ二人を見てるだけだった。

 二週間、何もせずただじっと我慢していたわかった。私は國定君がいないと生きていけない。好きだ嫌いだの、そんな問題じゃなくて、生きるか死ぬの境界線に國定君は立っていた。

 たった数ヶ月。その数か月の出来事を反芻する。内容は今まで生きた中で一番濃いものだった。

 四月の衝撃的な出会い。まさしく白馬の王子様だった。多少反抗的で、素直な男の子だった。そしてテストでもいい好敵手となった。私の生きる原動力をどんどんと生み出してくれた。

 料理教室では、どんどん成長する國定君を見てると、非常にほほえましかった。一つ年上の國定君。こんな私の言うこと一つ一つに耳を傾けてしっかりと学習していった。時々見せる笑顔にいつの間にか惹かれていた。 

 唯一無二の泣き顔を見せたあの日。私は彼にとって特別な存在なんじゃないかってうぬぼれていた。所詮、私とは偶然変な出会いをして、私が勝手に彼に入れ込んで。國定君にとってしてみればいい迷惑だったのかもしれない。

 國定君は女子が苦手だったとは言っていたが、そういう素振りは見せたことがなかったな、なんて今思う。もちろん目を合わせようとしたらそそくさと目を背けたりしていたが、必死に私に合わせていたのかもしれない。

「申し訳ないはずなのに、なんで私は前へ一歩踏み出せないんだろう」

 根は誰よりもやさしい國定君は、その心遣いが自身の体への負担だったんではないか? 小春先輩は昔からの付き合いで本音を交わせる唯一の人だから彼の心の拠り所になっているんじゃないか? 彼にすがって私は何も成長してなかったんじゃないか?

 様々な疑問が、私の心へダイレクトに攻める。

「國定君……ごめんね……」

 様々な意味を含んだ一枚の言の葉は、彼に届いてくれるだろうか――いや、届かないだろう。

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