1.屋上
僕は何もしゃべらなくなった鷲とともに、テスト最終日の自作お弁当の味を確かめていた。から揚げの味がまるでしない。
あの時、そう僕と鷲が鷲の親について話したテスト前日の時、それから僕たち二人はこう毎日屋上で一緒になるが一言も介さない。なぜ二人とも屋上に来ているかすらも謎である。僕たち二人がどんな状態であろうが、僕たち二人にはこの屋上が唯一といっていいほどの心の拠り所なのであろう。
心地よい風は、僕たちの間をすり抜けていく。そろそろ暑くなりだすぞ、と早起きのセミたちが教えてくれる。
テスト中、時が止まることは無かった。彼女に厄が襲い掛かることもなかったということだ。しかし、なぜか僕は四六時中気を引き締めている。好きという気持ちなんてないとは思う。が、一日中彼女を思うのはどこか義務感が生じているからかもしれない。
空を見上げると、飛行機雲がスーッと伸びている。明日は雨にでもなるのかな?
どこか僕は彼女との運命を感じている。僕は彼女を助け、彼女の秘密を知り、彼女を救う唯一の存在。僕は選ばれていると実感している。しかし、所詮僕の自惚れに過ぎない。彼女はどう思っているのか。僕は問いかけをしたくなった。
彼女のただ一点を見つめ何か思いふけるように、それでいて何も考えてないようにも見える横顔は、後ろから吹き付ける風に舞う髪に隠れてしまった。 少し風が強くなってきたのが実感できる。
僕の中の心境は、正直言って複雑だ。多分彼女の中でもかなり深い闇へと足を突っ込んだはずだ。しかし、深い闇に足を取られて歩けない。前にも後ろにも右にも左にも。僕は前へと進みたい気持ちがある。あともう少しで彼女を理解できる。そんなところまでたどり着いてしまったはずだ。しかし、その一歩が怖い。目の前に何があるのかがわからないから。
僕はお弁当の残りをかきこむ。お茶を一口飲むと、少し眠たくなった。僕はそのまま横になる。こういう時、彼女はいつも「寝ちゃだめだよ」といつも笑いながら話しかけてくる。しかし今日は一向に口を瞑んだまま、そのままであった。僕は目を瞑る、その身に魔法をかける。
僕は彼女との行動を振り返っていた。出会い、そしてここまで来たプロセス。順路が決まっているように、きれいにここまで流れてきた気がする。気がするどまりなら所詮そこまでなのだが、やはり何か神様が糸を引いている、そんなような感じだ。次に何が起こるかわからないが、次起こることはもうすでに決まっているような気分だ。
太陽の光を隠すように、僕は目を腕で遮る。もう一方の腕を枕にしていつでも寝れる準備はできていた。なんかさびしい。
僕は彼女との約束も、性懲りもなく思い出す。またバスケをさせる。彼女にとってバスケってなんなんだろう? 素朴だが、また重要な質問の一つだ。バスケだけは"病気"と天秤で比べても優先したものだ。そこまでこだわる何かがあるんだろう。
風の音……それ以外は何も聞こえない。彼女はそこにいるのだろうか? きっと問いかけても返る答えはないだろう。




