7.秘情
なんだかんだで鷲と小春は仲がいい。僕の家に来た二回とも、彼女達は二人で色々楽しんでる。まぁもちろん僕の料理教室も忘れないが。
「あの二人楽しそうだね。前来たことあるって言ってたけど、前も同じ感じだったの?」
「前もそうっすね。二人でガールズトークされて一人除け者にされてましたよ」
僕は笑いながら御坂先輩と話す。
「でも、貴方もいい人に恵まれたわね。あの子達、たぶん前回何かトラブルがあったんでしょ? それでメールするのためらってたわ」
「あぁ……」
あんまり思い出したくない。
「で、メールを送信して。しばらく返ってこないからちょっとざわざわして。で、返ってきたメールの文章を見た後のほっとした表情といったら」
「あいつらがそんなことをねぇ」
あまり信じられるようなことではないけど。
「小春は違うとして、鷲ちゃんは貴方に気があるんじゃないかな? 小春は絶対的に智也だろうけど」
「あ、やっぱり先輩もそう思いますか」
あのときの勘は外れていたわけでもないか。
「ってことは君も思ってたのね。彼女が智也のことが好きなんじゃないかって。あんな可愛い子が智也に向かってったら勝ち目なんてあるはずないわね」
……非常に引っかかる言い方を彼女はする。彼女もまた、その桐谷先輩を好いているのか。
「本当に青春みたいねぇ。私とか、まぁ小春もそうなんだけどゲークリとか小説部とか変なところいくと灰色の青春しか送れないし」
「帰宅部でエース狙うよりはまだましだと思います。
御坂先輩は笑いながら「難しそうだね、エース狙うの」と乗ってきてくれた。
「でも一人暮らしでしょ?」
「いや、お父さんが三ヶ月ってとんでもない長さの休暇をもらってその三分の一を夫婦の旅行に費やしてます」
「さ、三ヶ月……お父さん休まず働きすぎじゃない?」
「まぁ……うちの親父なら納得かな? って」
「あんまりああだこうだといえないけど、本当にいい人に恵まれてるわね。智也も君も、そういうところ周りの人に感謝しないと。なんてちょっとえらぶったかな?」
「いつも感謝しっぱなしですよ」
僕は楽しそうに喋る二人を見つめる。鹿波に入ってからの今の僕を形成した二人といっても過言じゃない二人。
「こんなこと貴方に話すことじゃないとは分かってるけど愚痴程度に聞いてて。あの子達さ、結構ファンというか、好きな人とか、そういう男子が多いんだよね。鷲ちゃんはよくは知らないけどたぶんだし、小春はまさしくよ。なぁんか、同じ女としては悲しいなぁって」
「まぁ、確かに人気の出そうな正確ですね、特に小春は……」
優しさとユーモアを兼ね備えた性格は、かえって勘違いする人もいそうだが。
「そうなんだよね、顔もよくて、性格もいい。鷲ちゃんは頭もいい。ま、それにあんたは勝ってるみたいだけどね」
「だから、変にライバル視されてるんですけどね」
「あんたも負けないようにがんばらなきゃ」
「いわれなくても」
徐々に人が増える料理教室。共に食卓を囲った女子三人はまた僕を除け者にするが如くガールズトークをしていた。
気が付いたら、こんな生活に慣れていた僕がいた。




