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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第五章「絆創膏で直せない傷の理由」
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5.戦場

「うーっす、テスト勉強してるか?」

「それはお互い様じゃない?」

 テストも間近に迫り少しばかりか教室のムードも締まっていた。その空気に飲まれない一匹狼の二匹は僕の机の周りに集まっていた。

「望月も掛川も暇そうだな。周りを見てみろ」

「俺はやらなくてもど真ん中の順位取れるし上にも上がれるからいいの」

 掛川は自信満々に言う。

「私はやっても這い上がれないしこれでいいの」

 新聞屋もなぜか自信満々にいう。

「で、何で僕の周りに引っ付いてるんだよ」

「だって他の人たちは勉強に忙しそうだし、お前だけだろ、こんな暇そうにしてるの」

「僕だって勉強したいよ」

 さすがに僕は天才じゃないし、なんか学年一位をとった上に鷲にライバル視されてしまったので手を抜く気はない。これから勉強しようと思った矢先のこれである。

「お前らは申し訳なくないのか? 僕の右で社畜の如くシャーペンを動かすいたいけな少女がいることを」

「絶対に勝つから」

 鷲はそれだけ呟いてまた口を閉じる。

「いやぁ鷲ちゃんはすごいなぁ。でもそれに勝っちゃう國定君もすごいなぁ。鷲ちゃんは私からしてみれば天才そのものだったからね」

「じゃあ僕も天才そのものか」

「……まぁ天才と変態はよく一緒についてきますしね」

「僕を変態というか……」

「ここにいても空気があれだから、どっかいかね?」

「いや、僕は勉強する気なんだけど……」

「あれ? 國定君、いいのかな?」

 新聞屋の黒い笑顔が見える。僕は本能的に逆らってはいけないと感じた。

 ところは変わって学食の例のイートインスペースだ。

「テスト前だってのにあんまり人いないね」

「ここって何で人いないんだ? 色々と使いやすそうなのに」

「だよな。自販機もあれば購買もあるし。飲食可能である程度なら騒いでも問題なしって、駅から徒歩5分、コンビニまで徒歩3分、防音の1LDKで5万後半ぐらいの好立地だって言うのに」

「なぁ掛川。もし僕のせいだったら申し訳ないが、たとえが非常に分かりづらい」

 がらんとした雰囲気の中僕達は席へと座る。テスト前の一週間は先生達が面倒くさいという本音で午前中のほとんどの講義が休講になる。暇な人は図書館か、開いてる教室かで勉強をしているのがほとんどだ。

「この学校はやけにフリーだよな。まぁ、校訓が『自由』なんだからしょうがないか」

 掛川はいすに深く腰掛けため息の如く言った。新聞屋は自動販売機でお茶を買い、こちらへと戻ってくる。僕は何とか持ち出した国語と日本史の教科書を意識の半分程度を使い読んでいた。

「ま、先生達も規定数講義をやれば良いからとかいって結構アバウトにやってるしね」

 こいつらもテスト前だというのにだいぶ適当である。こんなんに負ける人たちもかわいそうである。

「そういや数日ばかりだけど、お前と鷲と絡みが非常にぎこちなかったな。なんだ、ケンカでもしたか」

「ケンカしたら絡みすらしないだろ……」

「でも、二人最近というか結構前からですけど仲いいですね。なんか兄妹みたいな感じもしますけどね。はっ!? 國定氏と鷲氏は生き別れた兄妹……」

「発想が飛躍しすぎるだろ……」

 そういえばと思い出したが、彼女はおにいちゃんみたいな人がいたと言っていた。彼女が珍しく過去について語った貴重な話だったな、と振り返る。

「でも秘密めいたあいつにはそんな話のひとつやふたつあっても可笑しくないかもな」

 僕は掛川を見る。彼が鷲にこだわる理由。もしかしたら掛川がその「おにいちゃんみたいな人」かもな。

「そりゃねぇか」

 僕は一人笑う。

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