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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第五章「絆創膏で直せない傷の理由」
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2.屋上

 僕は初めて雨の降る屋上で傘をささずにいられた。にゃんこと一緒に、多分制御室のような一応屋根のあるところにいるからだ。

「ひまだにゃ」

「そうだな」

 もう慣れ親しんだ関係というか、三度目の会話とは思えないほど自然で、それで友人のような感覚の会話が続く。

「にゃんこは暇なときとか何やってたんだ今まで?」

「うーんとネ。雨宿りしてる猫と戯れてることが多かったかニャ?」

「やっぱりというか猫は好きなのか」

「そりゃそうニャ! だてにこの口調やってニャいからニャ」

 ……うざったいからやめて欲しいんだが。

「キャラ付けならもういいからそのふざけた口調をやめてくれ……」

「ふざけたとはニャんニャのニャ!」

 はぁ、と僕は一息ため息を吐く。

「僕と絡むのと猫と戯れるのどっちがいいんだ?」

「そりゃもちろん悠馬と絡んでるほうが楽しいに決まってるニャ」

 やっぱりこいつは鷲の姿かたちをしてるのが一番の問題だよな。聞いた自分が恥ずかしい。

「うれしいこったわ」

「それよりさぁ」

 いきなりにゃんこは話を変えてきた。

「『症状』の意味は分かったかニャ?」

「あぁ、やっと。なんとなくだけどな」

「なら、貴方の存在も必要だって、わかったでしょ?」

「時を止めて、彼女を救うってことか……?」

「正解……ニャ」

 自ら忘れるキャラ付けならもはや付ける意味ってなんですかね。

「なぁ、にゃんこはあいつのことに関してどんなこと知ってるんだ?」

「唐突に何ニャ? 全部知ってると言いたいけどニャ、残念ながら同じ体なのにあんまり知ってることは無いニャ。実は」

 分身だかなんだかとか言ってた気もしたが、特に接点は無いのか、こいつと鷲には。

「でも彼女の親が嫌いだって言う思いは私に伝わるぐらい強い。自由になりたい、普通の暮らしがしたい、って言う思いは私に伝わる……ニャ」

「そうか」

 予想通りだった、という点で僕の中では納得のいく回答だったが「普通の暮らしがしたい」という点が僕の中では引っかかった。じゃあ今は普通の暮らしじゃないというのか。学校生活では、まぁ確かにこの屋上に来ること自体は普通ではないが、そんな程度の問題じゃないだろう。学校生活以外では普通じゃないということか?

「なんか険しい表情してるネ。初めて深く知ろうと思った人だもんネ。しょうがニャいニャー」

 にゃんこは僕が黙ったのがいやなのか煽りだしてくる。とりあえず無視して考えを張り巡らす。

 僕の結論のひとつの、彼女は一人でご飯を食べているという点から、多分彼女は親と接する期間は短いということなのだろう。彼女の想像の普通の生活はなんなのか知らないが、普通に親と接して、親が作ったご飯を美味しく食べる生活ということなのだろうか。情報が少ない中での結論だが、正解は近いのだろう。もしくは、これよりもっと深い。

「ねぇ悠馬ぁ、からんでよぉ」

「僕達はバカップルか」

 ツッコミの如く、頭をぺチンと叩く。

「やっぱり悠馬はじっくり考える姿よりも、こうやって誰かと絡んでるほうがより自然な姿だニャ」

 彼女は何を言っているのか。到底僕には理解できなかった。


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