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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第三章「動き出した歯車、止まる歯車、壊れた歯車」
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1.形状

 一週間か、あの不思議な雨の屋上での出来事から。入学式からあの時までを比べれば、今は平和そのものだ。逆に言えば、大きな出来事もないまま過ぎ去っていった。鷲とはそれきり一進一退の攻防というか、どちらかというと進んでも退いてもいない平行線をたどっていた。

「友生会ってなんか変な宗教の名前みたいだよな。高い壺売ってそう」

 僕は小春にそう投げかけた。

「私も最初意見をもらった時はそう思ったけど、それ以外でなかったし、みんなやる気なかったからねぇ……」

 今は生徒会……友生会の役員会を行っている。ある程度グループに分かれて討論をしているのが今の状態だが、まるっきり討論のテーマってのがパッとしていないので雑談ムードである。

「小春はそういうところ適当ね」

「会長っぽいっちゃぽいですけどね」

「私は別に悪くないと思いますが、先輩方がそういうなら……」

「いやいや鷲ちゃんがいいと思うならいいと思いなよ! 私だってなんかいいかもしれないと思ってるし」

 ガールズトークというか。まぁひとり副会長である男が混じっているのだが。名前は水木 純太とかいたっけか。どう見ても小春のことが好きだっていうのがバレバレだが、気づいてないふりをしているのか、気づいてないのか、当の小春は特に何も感じてない様子だ。彼だけではなく、そういう人はわりかし多い。小春はいわゆる「罪作りな女」なわけである。

「今思うとこの怪しい宗教団体は特に何をするわけでもなく雑談してるのだが、これの存在は必要なのかな……?」

 桐谷先輩といったか、その人に先見の明があるのかないのか、今の僕にはこの会は必要じゃない気もするが。

「まぁ、確かに役員はこんなにいらないかもね。ぶっちゃけここのグループ5人でもいいぐらいだろうし」

「泉の意見が割と的を得てるな」

 笑いながら僕は言う。泉は名前が出たせいか僕の方を睨みつける。

「会長副会長に総務、事務に企画……確かに重要そうなのはこれぐらいかもしれませんね」

「まぁ、あとは企画の準備実行とか、あと……」

「監査ぐらいは欲しいかもね。まぁ、それは上でやってくれるかしら」

「いや、何か急にまじめな話になりましたね……」

 小春は膝の上に手をやり、背筋をぴんと伸ばす。

「この役員はだれが決めたの?」

「私と水木君だよ」

 泉は微かに副会長の方を睨む。びくっと震える副会長。何ともかわいそうだ。

「会長は選挙で選ばれたから仕方ないとして、副会長は辞任して選挙で選んでもらった方がいいかもしれないわね」

「か、勘弁してくださいよ」

 思わずといった敬語口調であった。同情はする。応援はしない。

「その、これを作った会長が役員を決めたわけじゃないんだな」

「うん。私たちが上の学生会を真似して作ってみたんだけど……多いかな」

「風紀とかまずいらないでしょ」

 僕の突っ込みの後

「でも、綺秋祭実行委員会とかは抜いてありますし、先輩方も考えたんですよね?」

と、鷲が少し上げて

「でも無駄を省けば役員の半分が消えるわ」

泉が一気に落とす。会長も副会長も見る影もなくなったように小さくなった。

「半期でいっぺん是正とか言って変えるのもありなんじゃないか?」

「そうだね……」

 非常に暗い小春であった。かわいそうと思ってしまうぐらいである。

「ま、作ったばっかだしいろいろミスはあるんだし、落ち込む暇があったら仕事でもやったらどうかしら? あといろいろ私たちに相談するのも大事だからね」

 泉が意外にも――というと数回しかあってないのに失礼だが――良い言葉を投げかけてる。ここだけ見ると、面倒見のいい姉ちゃんだ。

「そうだね。どうせ半分づつ分かれて討論してるし、ここの5人は残るだろうから今早めに是正点を挙げていこう」

「まず風紀、それと会計監査は絶対に必要ないわね……」

 少し声を絞りながら、着実に無駄を省く道を進めている。僕はもう口出しできるほどのスペースが見当たらなかった。

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