7.炎上
2時を半分ほど過ぎたあたりか、不意に家のチャイムが鳴る。お母さんが出る音を聞いたあたりで僕は階段を下りていた。
「悠馬ー。お友達が何人か来てるわよ」
予想通りの部分が半分。予想外が半分といったところか。予想していたのは小春、もしくは掛川が単独で僕の家へ来ることだった。現実はいろいろとプラスがついていた。
「予想していたよりいっぱい来たなおい」
思わずつぶやくほどだった。とりあえずまずは掛川がいた。予想通りだ。まず掛川の後ろにはいつか一緒に飯を食べた少女A、少女B、そんで『新聞屋』に。
「なんかやけに元気そうだな」
掛川がいきなり図星をつく。
「単純に今日はサボりだ」
「は、それは聞き捨てならないっ!」
根っからの新聞屋なのか、望月は手にしているメモに何かを書いている。
「んなゴシップにするものでもないぞ……」
「ゴシップとは単なるうわさ話です! これはもうスクープです!」
「あの、とりあえず澪ちゃん落ち着こう……?」
少女Aがなだめる。すぐに我に返ったような新聞屋は次に僕にある紙を差し出してきた。
「これがあなたのテストの結果」
「テスト……ってあぁ昨日のか。本当に次の日に帰ってくるのか」
「答え合わせが尋常じゃないね、スピード」
「ってかなんでお前らが僕の結果持ってるんだよ」
「俺がおまえんち行こうぜって話してたら先生がついでにこれを頼むと言ってきた」
屋上といい、この学校は様々な部分で抜け落ちてる部分が多々あると思う。
「まぁいいや、見てないだろうな?」
「見たって明日結果張り出されるんだし別にいいと思うけど」
「まぁ、誓ってみてないと言おう。ちなみに俺は学年で101位と、なんと201人中ど真ん中を取ったぜ」
「お前より頭悪い奴が100人もいると思うと心配になってきた、この学校の未来が」
そういった瞬間に新聞部の方から心が折れる音が聞こえてきた。
「……新聞部は何位だったんだ?」
「お、追い打ちを仕掛けてきた……。國定殿には武士の情けはないのでござるか?」
「僕の点数と順位を晒そう」
「179位です」
「早いうえにだいぶ絶望的な順位だなおい」
見た目は頭がよさそうなのだが、やはりというべきか馬鹿だったのかもしれない。
「さぁ、交換条件ですぞ」
指をうねうねさせて、「カモーン」と誘ってくるばかりの動きである。僕は彼女らに近づく。そして紙を開く。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
お互いが目を配り、目をこすったりしてもう一度見る。確かに、順位の下に書いてある数は「1」である。
「有言実行だからな、僕は掛川の100個ちょうど上に乗った」
「これは……スクープですわ」
「797って逆に3点どれだよ……」
「國定君って、いや留年生って言っても一年間事故とかで入院してたんだよね?」
「ってことは私たちとほぼ同じような勉強量ってこと?」
口ぐちと僕について彼ら彼女らは話す。
「いや、僕もびっくりだわ」
「もう、泣きそうだわ」
掛川はだんだんと萎縮していく。180ぐらいあるだろう彼の身長は見る影もなくなっていた。
だんだんと静かになり、誰も何も話さなくなった。気まずさ回避のため、僕は一声彼らにかけた。
「これだけか? なんならお茶ぐらい家で用意するけど?」
「結構です」
潔いぐらいの4人の同じような意味の返答が返ってきた。




