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二

 いきなり、感じたことのない身的ダメージを受けたような気がする。とてつもない衝撃に襲われた。それは、今までに経験したことのない、命の危険を感じるほどのものだった(まあ今は命なんてないけど)。なぜかって、ここ最近の記憶が一気にやってきたものでね。

 そうか、俺は「転生」と「ここ」を行き来しているのか。もう何度も「転生」先ですぐ死んでる。死に方もろくなもんじゃないしな。いい加減新たなる人生を歩ませてはくれないだろうか……

 もう「ここ」にも慣れてしまった。こうも虚しいところに長くはいたくない。こんな生産性のないところもあるんだな。何のためにあるのかさっぱり分からない。とにかくここにいい思い出はないな。とことん嫌な思いをしただけみたいな。

 そういえば俺の他に、こういう「転生」を経験している人は果たしているのだろうか?まあ、そりゃいるんだろうけど、会えたりしないのかな。この寂しさを共有できる友人が欲しいものだ。ひょっとしたら、「ここ」自分の意識の……座標っていうのかな(ここが空間か平面なんて保証すらないけどな)、これを移動させたら他の人がいるところに行けるとか、そんなのがあればいいのにな……こう何度も何度も死んで、「ここ」に戻ってくるのが当たり前になると、さすがにそう思わざるを得ない。

 一体誰がこんなルールを作ったんだ? 最初は「神様」かとも思ったけど、それにしちゃ随分と杜撰すぎるし、合理的すぎる。生まれて、死んで、ここに来て、また生まれる。そのサイクルが妙に整ってるんだよ。あまりにシステマチックだ。

 まさか、どっかのAI?それとも、俺の妄想が限界突破して現実を食っちまったのか?ありえねえとは言えないけど、だったらせめて、もうちょっと優しく設計してほしかったよな。

 それとも……これが罰なのか?俺が知らないうちに、誰かにひどいことをして、その報いを受けてるっていう可能性。もしそうなら、納得はいく。納得はするけど、救われんな。

 ……そう思った時、自分がどこか冷めた目でその推論をしていることに気づいた。死についても、生についても、ここ最近じゃほとんど何も感じなくなってきてる。どんな形で命を終えようが、「またか」としか思えない。痛みも、恐怖も、最初の頃のようには胸を打たない。

 「死」に慣れるって恐ろしいことだな。つまりは「生」に飽きていくことなのかもしれないしな。

 そうなってしまった時、俺は果たして、まだ「俺」なんだろうか? いや、そう問いかけられる時点で、まだギリギリで「人間」をやれてるのかもしれないけど。……分からない。どこまでが自分で、どこからが壊れかけてるのか、もう分からないよ。

 「日本に戻りてえ」

 もちろん身体なんて無いんだけど、それでも「口」があったなら(いや、あっても声にはならなかったか)そんなことを呟きたくなった。まあそんなことはないだろうけどね……

 そういえば、日本での人生の最期について、全く思い出すことができない。確か雪を見ていたような気はするんだがな。なぜだろうか、ここまでの死因は全部覚えているのに、どうして最初の人生のは……

 ん??「最初」?確かに日本で人生を送った以前の記憶は確かに無い。こういう思考ができるのも日本で過ごした経験が全てのもとになっているからではないか。カミサマに貰った最初の身体は本当に日本にあったのか?まあ今はそれ以外考えようが無いな。ただ、さっきみたいに、また突然記憶が一気に押し寄せてくるかもしれんしな。その時は、はてどうしよう。


 うわっ、まただよこの感覚。何度目なんだろうね。俺の五感が段階的に戻ってくる。ああ、この生を受けたという感じ、結構気に入っちまった。

 妙に懐かしいなあ、このモーターの音。スピーカーから流れてくる声。大勢の人。皆同じ箱から出てきて、そして吸われていく。そうか、ここは駅なんだ。待て、日本語が聞こえてくるではないか!今回は結構ついてるな。楽しみだ。今度こそ……今度こそはやってやる……!

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