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異世界雑草食堂 〜誰も食べないものを、俺は喰う〜  作者: レモンティー


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5/11

第五幕:広がりすぎた雑草

◆ 模倣 vs 本物

「見ろよ、隣の村でも“草チップス”売ってるぞ」

嫌な予感はしていた。

そして現実になるのは早かった。

「これ、うちのより安い」

ミアが不安そうに言う。

屋台の男が叫ぶ。

「安いぞー!草チップス!」

買ってみる。

ひと口。

「……まずいな」

「ええ」

リナも即答。

「油が古い。草の選別も雑」

だが問題は味じゃない。

「“同じ名前”で売ってることだ」

客は区別できない。

「評判が落ちるわよ」

その通り。

「なら――区別させる」

「どうやって?」

「ブランドだ」

木の板を取り出す。

【本物の雑草食堂】

「……ダサい」

「うるさい」

さらに。

「試食、無料」

「は!?」

「違いを分からせる」

結果――

「全然違う!」

「こっちの方がうまい!」

「栄養も効く気がする!」

“本物”の認識が生まれる。


◆ ギルドの圧力

「売れてるな」

来た。

商業ギルドの男。

今度は一人じゃない。

「正式に通達する」

紙を突きつけられる。

「新規課税」

「販売制限」

「流通管理」

「……急だな」

「人気商品には“責任”が伴う」

綺麗な言い方だ。

「要は?」

「取り分をよこせ」

さらに――

「もう一つ」

「なんだ」

「買収だ」

来たな。

「レシピ、供給網、ブランド」

「全部まとめて金貨で買う」

破格。

普通なら飛びつく。

「断る」

即答。

空気が冷える。

「理由は?」

「つまらなくなるから」

「……は?」

「俺がやる意味がなくなる」

男はしばらく俺を見る。

「後悔するぞ」

「させてみろ」


◆ 冒険者の殺到

「おい!あれ本当か!?」

次に来たのは――

冒険者。

「この“乾燥栄養草”でスタミナ回復するって!?」

「するぞ」

「どれくらいだ!?」

「飯一食分くらい」

ざわっ。

「革命じゃねえか……」

瞬間。

「全部くれ!!」

「俺も!!」

「パーティ分だ!!」

店が崩壊しかける。

「ちょ、ちょっと並んで!!」

ミアが叫ぶ。

「在庫足りないわよ!」

リナが怒鳴る。

完全に需要爆発。

「……これはまずいな」

「嬉しい悲鳴ってやつね」

「違う」

「“供給不足”は敵だ」


◆ 王都からの視察

「静まれ」

その一言で、空気が変わる。

現れたのは――

明らかに格が違う男。

「王都より来た」

周囲がざわつく。

「食料管理局の者だ」

国家。

来た。

「これが例の“雑草食品”か」

俺を見る。

「……お前が作ったのか?」

「そうだ」

「試させろ」

パン、チップス、乾燥草。

無言で食べる。

数秒。

「……なるほど」

そして言う。

「これは“食料問題”を変える可能性がある」

村人たちが息を呑む。

「王都での再現は可能か?」

「できる」

「量産は?」

「やろうと思えば」

「……そうか」

男は一歩近づく。

「提案だ」

「聞こう」

「国家管理に入れ」

来た。

「技術を提供しろ」

「代わりに――」

「保護、資金、流通、すべてを与える」

つまり。

「国のものになれってことか」

「違う」

「国と組め」

リナが小さく言う。

「……規模が違いすぎる」

ミアが俺を見る。

「どうするの?」

ギルドは圧力。

商人は模倣。

冒険者は殺到。

国家は取り込み。

選択だ。

俺は――

「条件付きならいい」

「ほう?」

「独占はしない」

「民間でも作れるようにする」

「……正気か?」

「飢えを減らすんだろ?」

沈黙。

そして――

男は笑った。

「面白い」

「いいだろう」


◆ 変化の始まり

その日から。

雑草は――

“ただの草”じゃなくなった。

食料になり。

商品になり。

戦略資源になり始めた。

そして。

主人公はただの料理人じゃなくなる。

“世界を変える側”に立つ。

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