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エピローグ
ドラゴンの住む城からの帰り道。
彼女と並んで歩く帰り道。
「嬉しかったよ」
唐突に彼女が言った。
「ん? 何が?」
「だぁってさー、キスなんてなかなか出来ないじゃない」
「……あ、あああれのこと、か」
「あー、また赤くなってるー。もう二度と出来ないかもなー」
「──なんて──でも……」
「何だって? 小さくて良く聞こえないよ?」
「き、キスなんて、い、何時、でも……!」
彼女も顔が赤くなる。
でも今日の彼女は何時もより強気だ。
「も、もう一度ちゃーんと、言って、みて」
僕も頑張って言う。
「き、キスなんて何時でもしてやるよ!」
「ほんとー?」
「ほ、ほんとのほんとう!」
「なら……またやって……」
そう言い彼女は立ち止まる。
僕も止まる。キスを待つ彼女は本当に可愛らしかった。
「もちろん、だよ」
恥ずかしいけど、嬉しいから。言葉よりも好きだという気持ちが伝わりそうな気がするから。大好きな彼女が笑ってくれるから。
だから僕は精一杯の勇気を振り絞って、彼女を抱き締めリクエストにお応えすることとする。
この小さな旅に出て本当に、本当に良かったと、心から思うよ。
だから、またね。
おしゃべりで意地悪でやたら人間臭い。
お節介なドラゴンさん。




