3 ビジネスエリア
「ん、おいしい!」
「このミルクアイス、こくがあってミルクの風味がしっかりありますね」
「果物のアイスもさっぱりして甘さ控えめで美味しい」
「ベルンからミルクを売ってもらって作ったから、伝えておくね!移動販売車が出来たら孤児院のみんなと売るよ!」
「お、いいね!で、おかわり!ミルク」
「…両方」
「はーい」
テントに戻りテーブルと椅子を出し、丸い鉱物で作られた大容量のアイスの容器に上から晴海が雪魔法で雪を降らせ溶けないようにしている、降り注ぐ雪はアイスに触れる前に消えていく。
「素敵な魔法だね、綺麗だ」
「うん!」
ジラとチグリスは早速お代わりを貰い、千歳は降る雪を見つめている。
「カップとスプーン沢山作らないとね」
「僕もお手伝いしますね!」
わいわいと賑やかに話しは進む、その中で懐記と大河とラジカがカジノと建物の話しをする。
「すごいな、これがそのまま大きくなるんだね。カジノに住居にプールに庭園か日本の複合施設のようだ」
「千歳っち他に案ない?」
「そうだね、僕のスキルや魔法が空間関係だから、ビジネスエリアと商業エリアとかどうかな?魔法とスキルで空間を繋げれば交易の幅が広がるし」
「へえ、面白そう。いいじゃん。千歳っちルールとか作ってよ」
「いいですね、是非」
「ああ、構わないよ。仕事しないとね」
「千歳さんこれを、皆に渡しているので」
「悪いね」
大河から1,000,000ログ分のコインを渡される、ダンジョンのドロップ品等で得た金を千歳は有難く頂戴する、年上だから社会経験が在るからと受け取るのを断るのも選択の1つだが千歳はありがとく受け取る、どの世界でもやはり必要なツールの1つが通貨だ。
「そうだ、これをみんなに」
ビジネスバッグから出したのは、ノートPCとタブレットにモバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン、スマホと手帳を広げ、詠斗達もおおと声が上がった。
「千眼さん使えるようにしてくれてありがとう。これで他の千眼さんのスマホとも繋がるようだから、売り上げとかの管理もしやすくなるよ」
「これは、すごいですね」
「って感動してたら神様達も欲しいって、アイスも」
「構わないよ」
次々機器を増やし神々に備える、それをハル達やきゅうがキラキラした目で千歳を見上げていた。
「やあ、可愛らしいモグラくん達だね。ああ、使い方が知りたいのかい?いいよ、おいで」
ハル、ナツ、アキ、ウィンは千歳の膝の上に、きゅうとふーはテーブルの上、何故か数頭いたモギ達も背後から覗き込んで興味深く見ている。
「なんかメルヘンですね」
「やっているのはPC講座だが…」
「千歳さんも話せるんだー」
「大河さん達とはまた違う有能な方ですね、魔王らしくもないですし」
ラジカが感心している、チグリスやジラやラウラス、ナイル、ニアも後ろから覗いてやり方等を聞いている。
「んー、眠くなってきたな。寝よう、千歳さんも布団で俺たちと寝ますか?」
「ここで寝るのかい?」
「俺んちで寝る?」
「せっかくだから皆で寝るよ」
「敷いときますー」
「ありがとう」
「お先にーおやすみなさいー」
『おやすみー』
「千眼さん、千華の魔王と他の魔王の事が気になっているね」
「ああ…」
「千華の魔王ならばある意味最も安全な場所にいるようだからね、問題は…」
「《テンランド》の魔王…」
現在起きているのは、千歳と懐記と千眼ときゅう、ふーのみ千歳がこの世界で得た知識の中に他の魔王の所在は千華の魔王のみだった。
「敵の可能性もある…」
「僕達は基本的には独立した存在のようだし、肝心要の1位のニア君の弱体化で主導権は無効だろうから」
「1回に行ってみればいいじゃない」
「…そうだな」
懐記が茶を追加する、茶菓子にはサブレや羊羮が並び夜更けの話しは進む。
「近々行くことにしようか、間違って破壊魔法使ったらゴメンね」
「いいじゃん魔王ぽい」
「……」
『きゅう!』『ぱしゃ』
「ああ、きゅう君達は美術館を作りたいんだね。いいね、やろうか」
話が済んだ(物騒)所にきゅうとふーが千歳に話しを持ち込む、きゅう達は芸術が好きなようで作品を集めて皆に披露したいらしい。
「それなら、うちのカジノの建物に作ってよー」
『きゅ!』
「それなら、若い芸術家達も支援…パトロンとかはどうかな?」
『きゅ!』『ぱしゃ』
「サウっちとアシュっちに触発されたんだ」
「なら…この大陸の《カルシュル》という街は芸術街ともよばれているが…どうだ」
「それはうってつけの街だね、今度きゅう君達を連れて行こうか、きゅう君達もイメージとかあれば僕にメールしてね」
『きゅっ』『ぱしゃ』
「階層も広さも自由だし金は幾らでも使っていいから面白いのやろう」
「では、僕も寝ようかな。話しはまた後で」
「俺もー」
『きゅ』『ぱしゃ』
『おやすみ』
「ああ…おやすみ」
千眼ときゅう達は読書やPCを弄って夜を越える、千眼は最近他の魔王達もここでこんな風に過ごせたらきっと楽しいだろうと思う、だから早くみんなに逢えれは《テンランド》の魔王もきっと解ってくれるとそう思うようになったのは彼らのお陰だった…。




