2 序列第4位 禍喰の魔王
「え…?」
「これは…」
「どういう事ですかね?」
「こんな、事もあるんですかね?」
「新しい人が来るんだ」
「天丼追加しとく?」
「な…」
プールから戻り各々、夕食の支度やカジノの建物作り、アイス作りや移動販売車の追加などで動いているとラインに神々からのメッセージ『今召喚した異界人は、序列第4位の魔王だ。そちらに行く』とある、一番驚いていたのは千眼だった。
「こんにちはかな?ここが《不毛の地》なのかい?名前の印象とは違う場所だね」
宇宙のような空間を抜けて《不毛の地》に降り立つ千歳、花束やカバンや餞別の品を持つ姿は結婚式帰りのようにも見える。
「こんにちは!《不毛の地》へようこそ!俺は時永 詠斗です!」
「俺は峯尾 大河。よろしくお願いします」
「僕は成澤 率です!よろしくお願いします」
「はじめまして、僕は更科 綴です。よろしくお願いします」
「俺は、有守 晴海!よろしくお願いします!」
「俺は東川 懐記ーよろしくー。今日の晩飯は天丼、食う?」
「初めまして穂高 千歳です。みなさんよろしくね、天丼が食べられるなんて嬉しいな。そうだ、これをどうぞ。椿庵の親子サブレ」
「ありがとうこざいます!千歳さんは魔王なんですよね?」
「そうだね、魔王らしいよ。驚いたね」
身長は大河程の千歳を詠斗が見つめる、スマートな高級感あるスーツに色素の薄い髪と瞳は浮世離れしていた。
千歳は詠斗の大きな瞳を見てにこりと笑うアイドルのような容姿、大河はモデルか俳優のような端整な顔立ち、率は少女のような華奢で儚げな印象、綴は黒子が何処か色気を感じる文学青年、晴海は少年らしい笑顔がとても可愛らしい、懐記は人目を惹く派手な美形と他にこの場にいる面々も異世界らしい美形だらけで神々は大層な面食いなのかと千歳は感心してしまう。
「どうぞ、座って下さい。千眼さんニアさんも」
「ああ…序列第3位千眼魔王だ…」
「僕は1位らしいです?ニアといいます」
「僕は穂高 千歳です…」
ニアと千眼を見て千歳は思う、ずっとずっとこの日を待っていたのかもしれないと、両親が亡くなって家族がいなくなっても何処か漠然と独りではないと思っていた、その答えが今ここにある。
「僕はずっと貴方達に逢いたかった…」
ニアと千眼は互いに顔を見合せ頷き、千歳の色素の薄い瞳を見つめ薄く微笑んだ。
『おかえりなさい』
「ただいま」
千歳は笑う小さな子供だったら2人に抱きついていたかもしれない、帰って来たのだ故郷にそして会うべき人
達にも逢えた。
「まだまだ揚げますよ!」
懐記とナイルとラウラスで天ぷらを揚げていく、タレを染み込ませた米を丼に入れ揚げたてを乗せて食べていく。
「おいしい!」
「揚げたてはうまいな」
「このお肉の天ぷらおいしいです」
「キノコも肉厚だ!魚も」
「懐記くんは料理上手だね」
「まあね、ほら野菜」
次から次へと揚げたての天ぷらが並び、すごい早さで消えていく。
肉、野菜、魚片端から揚げていく、千眼とハル、ジラが畑から追加で野菜を獲って下準備を行い、詠斗達も追加で米を炊きながらおかわりもする。
「飯おかわり…」
「僕も頂こうかな」
中でも良く食べているのが、チグリスと千歳でもう3杯目だった。
「おいしかったー」
「懐記代わるよ、天丼食べてよ」
「ナイルさんとラウラスさんも」
詠斗、綴、率が交代して懐記達も天丼を食べる、状態異常無効の為熱さも感じない。
「手伝えたらいいのだけれど、昔から料理はからきしでね」
「気にしないで下さい」
食後のお茶を飲みながら千歳が申し訳無さそうにする、天丼を食べながら懐記は明日の朝食
「明日の朝は天むすと味噌汁に卵焼きと焼き魚で良い」
『良い!』
「千歳さん、お風呂というか銭湯があるんですけど行きます?」
「銭湯があるのかい?すごいね」
「ドラゴンのみんなが作ってくれたんだよ、プールもある!」
「へえ」
「あ、千歳っち俺んちの風呂使う?」
「シャワーも俺の魔法できますよ!」
「シャンプーコンディショナーに石鹸とボディーソープも僕のスキルでありますから」
「なら、お言葉に甘えて銭湯に行こうか」
「そしたら、俺の作ったアイスデザートに出すね!」
「本当かい?それは楽しみだね」
晴海が千歳の手を引き皆で銭湯へと向かう、まるで家族のような姿だった。
「千歳さんの服、良いですね」
「そう?ありがとう、これは日本のサラリーマンのオーソドックスなスタイルだね」
「いや、それ上から下までセミオーダースーツですよねー」
「その腕時計も車並の値段するやーつ」
「ネクタイピンとネクタイもブランド品ですよ」
「さっき見たけど靴もイタリア製のだよ」
「持ってた鞄も中々の値段の代物だな」
「仕事の出来るサラリーマンだね!」
「ふふ、そんな事はないけど。人に会う仕事だからそれなりに…ね。日本から持ち込んだ物は増えるようだし、PCやタブレットあげようか?」
ラジカが千歳のスーツに興味を持ち、次々詠斗達が持ち物1つ1つの価値に千歳の日本での有能さを推し量る。
『え?』
「いいの!?その時計も?」
「勿論、そんなに高い物じゃないけれど」
『いや、高いです』
「私にも売ってくれませんか?」
「どうぞ、プレゼント」
千歳がラジカに腕時計を渡せば腕に同じ物が現れる、晴海も貰い、チグリスやジラにナイル、ラウラス、ニアや千眼も貰う。
「詠斗君たちは?」
『ください!』
価値が分かるこらこそ気が引けるが、千歳が身に付けているのも全てが彼に良く馴染んでいた。
「これ、本物のダイヤですよ」
「はあ、カッコいい」
「雰囲気あるな」
「ほら、みんなお風呂に行こう。晴海君のデザートも楽しみだし」
『はーい』




