1 穂高 千歳
「死に際に見る白昼夢かな」
宇宙空間を滑りながら千歳は笑みを溢し、穴から白い空間にそっと着地した。
「ようそこそ…《神の》…」
「おい、待て」
「ふむ、これどいう事だ」
「異常事態なのです!」
「何故…なぜ…ナゼ」
目の前の白い衣装に身を包んだ人々が千歳を見て狼狽える、千歳はいつの間にか見知らぬ宗教団体に拉致でもされたのかとこの場から脱出が可能かどうか計る。
「………僕を拉致してもすぐに死にますよ?利用価値もないと思います」
「まずは一度此方の話を聞いて頂けますか?ようこそ《神の庭》へ」
「そしておかえりなさい《アタラクシア》へ、序列第4位禍喰の魔王」
「魔王?僕が?」
「あー、まあなんだ。立ち話もあれだ、茶でも呑みながら話しをしようぜ」
「お茶菓子もありますなのです」
「……そうですね、いただきます」
悪人では無さそう顔は見えない上に全員同じ声のように聞こえる挙げ句に自分を魔王呼ばわり、だがその響きに何処かしっくりくる自分がいた。
「なるほど、《アタラクシア》の治療の為の召喚で後1人でそれが終わる。その上で不老不死…ですか」
緑茶を木のコップで呑みながら、クッキーやドーナツにおせんべい、千歳が退職の際餞別に貰った有名和菓子店の親子サブレ、ニワトリと卵の殻から出てくるヒヨコを型どったサブレは千歳の好物で同僚達が取り寄せてくれた銀色缶の100枚入りも出した。
「これ美味しいです」
「地球は美味い物で溢れていますよね」
「ええ、食事が楽しみでしたね」
「不死の魔王が地球では余命僅かですか」
「余命幾ばくかでしたね、お陰様で今は身体が軽いですよ」
残りの時間を静かに暮らそうと上司に伝え会社を退職、それが、魔王で不老不死で異世界転移何が起こるか分からない物である。
「ふむ、話しもした事だ。魔法とステータスやスキルの話しをする」
「そうだな、ではステータスオープンと頭の中か口に出してみてくれ」
「分かりました」
頭の中でステータスオープンと唱える、目の前には画面が表示される。
穂高 千歳:序列第4位 禍喰の魔王 不老不死 34歳
もたらす者
所持魔法
火水風土砂魔法 空間転移魔法 破壊魔法 浄化魔法
スキル
状態異常無効 無限次元収納(時間停止+生物) ステータス隠蔽 攻撃無効※ 対話 アイテム回収 自動マッピング
自動清掃
固有スキル
空間歪曲 魔王眼
善行ポイント
10,000pt
「流石魔王といった所だな」
「面白そうな魔法ばかりですね」
「ふむ、固有スキルに関しては我々も、分からない。自らし識っていくと良い、魔法の使い方だが頭の中て水をイメージし、頭の中でイメージするか口で水と言ってみて欲しい」
「はい、やってみますね」
水を思い浮かべ魔法を使えば目の前には黒い水の球体が浮いている、透明な水を思い浮かべたが何故か水は黒い。
「魔王特性ですね、水自体に問題はないです」
「そうですか」
神が指を鳴らし水が消える、千歳の内に色々とこの世界の仕組みが流れてくる、ああ帰って来たのかとそんな実感が湧いた。
「では、次は善行ポイントと依頼なのです。ポイントはスキルや魔法と交換出来るなのです。こちらから依頼を出して受諾し達成すればポイントは付与されたり、善い行いをすれざポイントが増えます」
「なるほど」
「依頼は受けなくても構いません、来てくれた事に感謝しています。今あるポイントでも充分です」
「わかりました、内容等にもよりますがなるべく受けますよ」
「魔王である貴方に尋ねるのも何ですが、この後の話しとして今地球から来たか異界人は全員《不毛の地》という場所で生活しています。そこに序列1位と3位の魔王もいます。そこに行くもよし旅をするもよし、ここで14番目の神になることもそれ以外の選択肢も…自由です」
「魔王から神ですか?」
「我々は歓迎しますよ」
「…止めておきます、魔王というのはしっくり来ましたが神はしっくり来ませんし。《不毛の地》へ同胞にも会いたいので」
「わかりました、地球での心残りはありますか?我々にも限られてはいますが出来る事はありますよ?」
両親は早くに亡くなり、親の遺産で購入した都心のタワーマンションにも思い入れはない、実家も手放し会社も辞め、未練も執着も元々薄い方だゆっくり首を横に振った。
「では此方へ《アタラクシア》の知識はいりますか?」
「いえ、もう僕の中に在ります」
「そうですね、では手を伸ばして下さい」
神々が見守中自転する薄い霧が所々覆う球体に、手を伸ばす前に後ろを振り返り一礼する。
「皆さんのお陰で帰ってくる事が出来ました、《アタラクシア》でのあたらし生を楽しみたいと思います」
「はい、後地球から持ち込んだ物は消費や譲渡、破損させても増えます。サブレも増えますよ、ご馳走様です美味しかったです」
「良かったです、ああもう2度とこれが食べられないかと思ったら落ち込んでたかもしれないですね。では、また。行って来ます」
『いってらっしゃい』
《不毛の地》に手を伸ばせば、足元にここに来た時と同じ宇宙のような空間が広がり滑っていった。




