第102話 festival:63≠父よ子よ子らに祝福を30
第101話 festival:62≠父よ子よ子らに祝福を30
「あー支配者さまーお久しぶりですぅーフゥですよー」
《龍皇国》と空間が繋がりメンルェトが真っ先に《療養街》へと足を踏み入れ空魔法でフゥ達の元へ向かうと、フゥは友好的な表情を浮かべてメンルェト手を振った。
「貴方……何が目的なんです?こんな回りくどい真似ばかりをして」
「目的?んー内緒ー」
「ラビリンド達は失敗したな」
「なんです、この光景……止めないのですか?」
「満足するまで食わせてあげればという話しにまとまったので」
フゥを睨むメンルェト、嘗てと変わらぬ笑顔でフゥは返す。
コーデルリングは繋がった空間の先でファズラファールに抱えられ眠るグローリーと戦意を喪失しているラビを冷ややかに見つめ、ブロッカに圧し掛かられ貪られているアドゥリスと隙がない蒐集家にどう手を出すかを思考する。
メンルェトはブロッカを止めないのかと蒐集家とエリュエル達を批難する、だがエリュエル達も蒐集家の意見に同意している。
「香は効きませんし、妊婦ですからね。それに大分かなり我慢していたようですよ、美味しいですか?最上位の肉体は?」
「貴方……」
「にぐぅ……」
「っく、いいんだブロッカ…気が済むまで……」
「いや……おいし……いや……いや…」
蒐集家は嗤いながらブロッカに訊ねる、ブロッカは涙を零しながらそれでもアドゥリスの身体を貪るブロッカに優しくアドゥリスは頭を撫でた。
「いやーなんとも美しい夫婦愛ですよねー蒐集家さまー」
「ならば貴方はどうなのだ?最上位魔人フラウカント・ニトラ殿、《テレンシオ統一帝国》でミロスラー陛下が待っている」
「あの子が?私を?ふふ…そんなことないですよーその身体でよく立ってますねー」
「ドラウガル・アグラヴェイン殿もいる、故郷に帰ったらどうだ?」
ファズラファールもまたグローリーをイザラ達に託し空魔法でフゥ達と対峙する、フゥはへらへらと笑っていたがもう1つの名に笑顔が消えた。
「そいう顔の方が私は好みですよ、旦那様の元へ帰られたらどうです?お土産も渡しましょうか?」
「黙れ帝」
蒐集家がフゥを挑発し揶揄う、今までの陽気な声色は消え失せ怒気と冷気を孕んだ声をフゥが出す。
「あーあ、冷めちゃったー。じゃ、さようならー」
「貴方も恐れているのか?自分の伴侶を?」
「ええ、私は夫を恐れていますよ」
『貴様は本当に役に立たないな、何故こんな事も出来ない?何故だ?最上位でありながら何故こうも出来が悪い?だから我が子は魔神皇になれなかったのか?』
フゥは空間を開く、その背にファズラファールは問いを投げ掛けフゥはいつものような声音では無く感情の無い声で返す、いつもまでも4千年経っても決して心から消えない夫からの言葉、ああ、これこそ呪いのようだ、それがフゥを狂わせる…。
「厄介な魔人が1人片付いたって事か、後はお前か」
「暫く再生出来ない程度に切り刻みますわ」
「そうですね、それを《トランサーケージ》に封印すれば解決ですね」
「そうか?」
フゥが空間の向こうに消え残ったコーデルリングを見上げるグースト達、カーデュナルとエリュエルは物騒な事を言い《墓守》はいや違うだろうと思いながら余計な事は言わない。
「我が子の封印も魔神の子も渡さない、それに君の身体はそのままだと腐ってしまう。だが我々魔人は死ねない、もっと更なる苦痛が君を蝕むだろう。止めてくれ、もう、我が子を苦しめないでくれ」
「ファズラファール・ネバイデン、貴様がまともであれば子のメシュレラ・ネバイデン・ジュピトナーが最強の座に就かなかった。他の最上位共はそれも認めないだろう、貴様の子が魔神皇にならねば下位の魔人が《共食い》になど進化しなかっただろう」
「どんな責も私が負おう、我が子は確かに魔神皇として未熟だ。だがその分可能性がある」
「貴様の伴侶である《悪夢の華》が齎した自身の子らを使った狂気、それが更にこれからの魔人を追い詰めていく」
「私の伴侶がした事は私の罪でもある、私は全ての魔人達に許しを請い我が子が魔神皇である事を認めて貰いたい」
「何がそう貴様を駆り立てる?伴侶を切り捨て呪いを破棄し最上位として立て、ならば現魔神皇を受け入れても良い」
「それは私が魔神皇を制御しろという話しか、断る。私は伴侶を愛し子供達を愛し、子供達を守る為に祝福の呪いを受け続ける、私の意思と覚悟こそ受け入れて貰おうかコーデルリング・ノールデルメール」
「話しは決裂…………」
「やっと香が回りましたか、本当に魔人は効きが悪いですね」
「こっちも効きました」
ファズラファールとコーデルリングの話し、結局は決裂し互いの意見を押し付け合うだけになったが、コーデルリングは自身の身体に違和感を覚える、身体に力が入らない意識が途切れそうになる、そしてアドゥリスを喰らっていたブロッカが先にアドゥリスの身体の上で意識を手放したのを見て、ああ、魔人を眠らせる事が出来る物がこの《アタラクシア》に誕生したのかとコーデルリングは何処か他人事のように思い意識を手放した。
「君たちも不安なのだろう、私も不安だ…すまない。私は私の家族が全てなのだ……すまない」
ファズラファールはコーデルリングの身体を抱き留め謝る、メンルェトはフゥが消えた空間を睨み続け、他の面々はこれで一旦決着が着いたのかと胸を撫で降ろした……。




