第101話 festival:62≠父よ子よ子らに祝福を29
第100話 festival:61≠父よ子よ子らに祝福を29
「無茶をして、全く、助けに入る機会を見失う所でしたよ」
「千華さん!ありがと!」
「ありがとうございます!」
「いいえ、ですが、舵。いいですか、魔人同士の諍いに魔王は介入してはいけません。ましてや貴方は序列第7位、その位の意味を忘れずに」
千華の魔王が舵と燈火をグローリー達の側に下ろし優雅に微笑みながら舵を窘め舵は首を傾げつつも頷き、千歳と大河はほっとした。
「序列第2位千華の魔王ですか、弱体化を免れた魔王ですが」
「どうするー?こっちは危機だねーニーベルゲインとソーラカースはああだし、上位数の魔王が来ちゃったしー」
「序列第2位の魔王はこれ以上介入出来ません、同じ魔王と救世主を救出しただけです」
ジキニはあーあと苦笑いを浮かべラビは圧倒的不利な状況でも冷静に周囲を見る、手札はまだ在るがファズラファールがいる事で遣り辛い。
コーデルリングは先程のラビの声に返答をしなかった、ならば此方を切り捨てるのだろう、そういう計画だ、どちらが駄目になったとしても片方の計画は進める、そう決めていた。
「そうですね、同じ魔王と救世主を救っただけです。ですが見届ける位はしましょうか、何せ我が子の為に祝福の呪いの呪縛から無理に覚醒し本来ならば立っている事も出来ない筈の最上位魔人ファズラファール・ネバイデンに敬意を表します。貴方は偉大です」
「お父さん……」
「何も問題ない、魔王殿にそう言って貰えるような器ではない、我が子達に酷な道を敷いた。我が子達の苦しみに比べれば」
「お父さん」
千歳が万能薬を使いグローリーの傷を治す、地面に座り込み千華から敬意の言葉を受け取ったファズラファールは唇を震わせ目を伏せグローリーは口を開く。
「会いたかった…お父さん…会いたかった………」
「父か」
「うえん」
「っ、ああ、私もお前達に会いたかった。他の子ども達にも会いたい、だが……」
「お父さん……」
「やはり、祝福の呪いの影響…本来なら聖樹や神樹の元で進行を止めておかなければならないのですが…神々にすぐに手配して貰いましょう」
ファズラファールはグローリー、メシュレラ、ナビヤの声に息を呑む、会いたかったと言葉を紡ぎ片膝を地面に着け顔を歪ませた。
千華が僅かに表情を曇らせ空を見上げる、ラビとジキニは機会と隙を伺っていた。
「ジキニ、行きます。貴方はリーダーと合流してください」
「……わかった」
ラビが決意を固めジキニに伝える、ジキニは口を引き結び短く返しラビが転移を行った。
「道連れです、魔人。自爆魔法発動」
「きさまあっ!」
「弟!?」
グローリーと背後に姿を現したラビがグローリーの身体を後ろから抱き締める形になり再度上空へ転移し、自爆魔法を発動しファズラファールとメシュレラの絶叫が迸った。
『マジンオウスキルジコボウエイハツドウシマス…………最上位魔人ラビリンド・メトビアータ……貴方の悲しみと苦しみ苦痛……を私は受け入れましょう』
「あ…」
確かに自爆魔法は発動した魔人の自爆魔法が発動してしまえば大陸1つ簡単に消し飛んでしまう程の威力だが、ラビが捉えた腕の中のグローリーの姿が変わっていくと同時に自爆魔法が消失してしまった。
ラビはその声に戦意が消えあどけない子供の表情を浮かべた、グローリーの何度も黒を塗り重ねたような髪が足元を越え毛先が宙に幾何学的に舞い、身に纏う衣装が黒に黄金の華を刺繍した物へと変化し金の眼が消え深淵色の双眸の瞳孔へと切り替わる。
「そうか我が子よ不完全なまま、魔神皇へと昇華したか。だが、危険すぎる」
「不味いですね、今のグローリー殿の状態で真の魔神皇へ転じれば負荷が重すぎます」
「お父様…そして千華の魔王様……私はラビリンド・メトビアータの覚悟を受け止めそして阻止する為に無理に転じました…本の僅かな時間しか保てません…。今私のやるべき事を……」
ファズラファールと千華の顔は険しく、魔神皇は地面にラビと共に降り立ちラビは震えながら距離を取る。
魔神皇は手を伸ばす、手の平に渦が生れそれが長尺の白と黒の螺旋に砂金を散らしたような杖を出現させ空間に渦を生み出し……そして…目の前に《療養街》のオフィスビルが広がった。
「ごめんなさい…私には今はこれ位しかできません………ですがこれで……彼らを…お父様……」
「いいんだ、後はこちらに…」
「ずっと会いたかったの…」
「すまなかった」
「お母様にも…でも…でも…」
「ああ、そうだな」
杖が消え魔神皇はゆっくりと息を吐き地面い片膝を付き苦しみを堪えるファズラファールと視線を合わせ悲しげな表情をし会いたかったと思いを伝える、ファズラファールはなんとか立ち上がり魔神皇の頬に触れそっとその手に自分の手を重ねた。
「4位の魔王様…お父様には貴方の収納空間に在る樹を…ごめんなさい…時間がない……」
「分かった」
父の掌の確かな大きさと温かさにほっとし、千歳にファズラファールの事を頼み魔神皇はグローリーへと戻りその場に崩れ落ちるのをファズラファールが抱えた。
「眠ってくれ、辛い思いをさせた。起きたらたくさん話しをしよう」
「どうやら向こうは向こうで危機的状況のようですよ」
「次から次へと…あれはフゥ?」
ファズラファールは眠るグローリーの表情に笑みを零し、魔神皇が空けた空間の先の状況をタナトスとメンルェトが把握し芳しくないなと苦い顔をした……。
「グローリー頑張ったじゃん」
「カイム何か言った?」
「いや」
「ヴィッセ達大丈夫かな」
「さあな、帰って来たらみんなでパーティすんだろ?」
「そう!ほら、カイムも手伝って!つまみ食いばかりしてないで!」
「へーへー」
《ロメンスギル国》王城の庭で子ども達とヤハネがいつヴィッセ達が戻って来てもいいようにと労う為のパーティの準備をする、カイムは揚げたての唐揚げを摘まみながら遠くを視るのを止めて向き直った…。




