第097話 festival:58≠父よ子よ子らに祝福を25
第096話 festival:57≠父よ子よ子らに祝福を25
ドオン!グローリー宅の方で聞こえて来た爆発音に崇幸は足を止め振り返る、だが……崇幸は。
「あれは……舵と燈火君が何かしたのかもなーあの2人はそういう所歯止めが効かないと言うか……いや、向こうにはみんながいるからな。俺は俺が出来る事をやろう。舵、燈火君、遅いかもしれないが……皆に迷惑かけちゃだめだぞー」
木彫りの人形の前に立つ崇幸、崇幸の言葉はフラグでもありもう遅かった…。
「壊してもまたつくる」
「それに破壊魔法はその腕輪の中に1つ」
「結構無茶するねー」
「破壊魔法の行使程度は予測済みです」
「そんな…」
「どうしよう……」
破壊魔法で壊された鳥籠の檻はソカが手を翳しすぐさま再構築され被害も無い、燈火と舵の打つ手は無くなり途方に暮れた顔をする。
「ソカ!」
「キッフ殿、ここは…」
「分っている、分っているが…遅くなった……ソカ、俺はお前と家族になりたい。動物が好きなんだろう?」
誰もが手の出し辛いこの状況、キッフが息を切らせメンルェトの元へ走ってやって来る、メンルェトは此処は危険だから戻るように伝えると首を振りソカの名を呼ぶ。
「………」
「ソカ、もう止めよう。本当にこんな事をしたいのか?」
「……こんなことしないと魔神皇がかわらない今の魔神皇は俺達をおいつめる」
「ソカ……」
「話し合いなど無用です」
「そうそう、今の魔神皇のせいで化け物が産まれたんだー」
「そうです、我々に必要なのは完璧な魔神皇。ニーベルゲイン、彼らに見せてあげて下さい」
「分かった」
キッフはソカに手を伸ばすソカは真っすぐにキッフを見つめ、ジキニもラビもグローリーに恨みをぶつけニルは空間を裂き数体の黒い縄に手を拘束され猿轡を噛まされた虚ろな目をした魔人達が現れグローリーの目が見開かれた。
「酷いこと…なんで縛って猿ぐつわなんかさせているの!」
「舵ちゃん、あの子たち様子が…」
「こうでもしないと襲ってくるからですよ」
「そうなんだよー困っちゃう、キリタスの香でもあれだもん、本当に気持ち悪い」
舵が魔人達の状態に抗議の声を上げ燈火はその様子をおかしいと呟き、ラビとジキニは魔人達に嫌悪と憎悪が混ざり合った視線を向けた。
「丁度良いですね、あそこに最上位がいますから。彼らがおぞましい化け物である事をとくと味わって貰いましょう、ニーベルゲイン」
「…痛くて怖いよ」
ラビがタナトス達の後ろに控えているヴィッセとカリュシュを指しニルが布に巻かれた目で彼らに視線を向け、3名の魔人の猿轡と縄を魔法で外しヴィッセ達の元へ転移させた。
「だめ……」
「おいしそう!」
「おにくおにくぅ!」
「うで!みみ!」
「っ!なっ」
「カリュシュ!彼らは下位の魔人なのに何故!」
「なんだ、この魔人たちは、異常だな」
グローリーがヴィッセとカリュシュとメシュレラの前に立つ、魔人達は一心不乱に涎を零しながら向かって来る。
カリュシュはその彼らの不可解な行動に後退り、ヴィッセはカリュシュを庇う様に腕に抱きメシュレがその前に立つが……。
「なんだ…この不快さは……弟!」
「う………」
『グローリー!』
「父さん!」
「親父!」
「父上!」
メシュレラは襲い来る魔人達の狂気を帯びた表情よ視線に不快感を抱き地面に膝を付いてしまう、更にその前に立つグローリーに3名の魔人が牙を立てグローリーの肌に食い込ませグローリーは僅かに声を上げ、その場の全員が声を上げ、特にイザラ、イデア、カリュシュが怒りを滲ませた声を上げた。
「なんで?」
「おかしい…魔神皇は下位」
「あれれー変なの、最上位だけを喰う異常者どもなのに」
「…最上位の血が入っているから……いや、一体……」
「そんな!グローリーさん!あんな酷い事をどうして!」
その凄惨な光景を冷静にラビ達は観察する、本来はグローリーに喰らい付く筈がない、そう思っていたが…だが、その思考を掻き消すニスムの泣きながら非難する声にラビとジキニの思考は途絶えた。
「酷い?酷いのはお前達の方だ。お前達は我々最上位を畏怖し身勝手な進化を獲得した」
「それが僕たち最上位のみを喰おうとする《共食い》、ほんと参っちゃうよーあんな化け物共が生れちゃってさ」
「いまの魔神皇が不完全」
「そう、だから制御出来ない。制御出来ないから支配出来ないから勝手な事をした」
「そんな……」
ラビは吐き捨てジキニは苦笑いを浮かべる、ソカもニルも牙を立てられそれを止めようとしているイザラ達を見下ろす。
「親父を放せ!」
「だめ……ひどい…ことしない…」
「父さんが!」
「きみたち!止めろ!メンルェトさん!タナトスさん!止めてくれ!千歳!大河!」
グローリーに夢中で喰らい付く魔人達をイザラとイデアが止めに入る、グローリーは苦し気に酷い事をしないでと言い、キッフが1名を引きはがそうと後ろから羽交い絞めにし、タナトス達に助けを求める。
「莫迦な……これは一体…」
「魔人が魔人を喰らう?何故このような事が……」
「キッフさん!」
「すまん!」
呼ばれたタナトスとメンルェトは唖然とする、在り得ない魔王だからこそそう言い切れる事象が目の前で起き事態を呑み込めていない。
千歳と大河が我に返り残りの2名を引き剥がそうとする、だがグローリーの身体に食い込んだ牙は抜けない。
「ああっ!」
「俺が!大河、千歳!離れていろ!」
グローリーの悲鳴にウォルゾガがカーテスにエクト達を頼み、駆け寄り力で引き剥がそうとすれば…。
「じゃまっ!」
「おなかずいだぁ!」
「にく!ち!ち!ち!」
下位の魔人たちの激しく抵抗されながらもなんとか1名引きはがしキッフが地面に押さえ付け、残り2名を引き剥がそうとし魔人の爪がウォルゾガの顔に当たり頬から血が流れそれを見たメンルェトは、あ、不味いと思い隣のタナトスは無表情に……切れた…。




