落ち着いて、ヒゲ公爵。
「公爵! 落ち着いてくださいっ!」
ちょっ、魔法弾3発目!
通行人は蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。俺もそっちがいいな。
「断罪は4年後ですよ! まだ何も始まっていませんって!」
うはっ、魔法弾4発目!
ダメだ、目がイッちゃってるっぽい。付き合ってらんない。
『姿消しの術』で、とりあえず退散だ! スゥ~っとな。
「お父さまぁ、買い物はしないの?」
しゃべっちゃダメでしょ……マイ・エンジェル……
「そこかーっ!!!」
しつこいっ、魔法弾5発目!
もういいや……こいつ黙らせよう。
「落ち着けって言ってんだよっ! ヒゲおやじっ」
公爵の背後に回り込み(娘を抱えたままでだぜ…すごいだろ?)気絶しない程度の手刀をお見舞いする。
これ、俺の得意技。
手刀の強さと角度で、めまい状態から即死効果まで自由自在。影仲間からは大変重宝されている。
ちなみに、俺たち影には不敬罪は適用されない。そんなもの気にしてたら仕事にならないからな。
だから『ヒゲおやじ』と叫んでも何の問題もない。男爵としてはアレだが、うやむやにはできる。うん。
「ぬ…ぬぅ……」
ぬぅって呻く人、初めて見た。いるもんなんだな。影仲間に自慢しよう。
「公爵……話を聞いてください。俺にもゲームの情報がきました。俺も娘が可愛いし、公爵のお嬢さんの不幸を望んだりもしていません。双方が良いように協力し合いませんか?」
ざまぁ回避の提案をしてみる。反応はどうだ?
公爵の焦点のあっていない目が、ちょっと怖い。こもってるよ。憎しみと悲しみが。
そりゃそうだよな。娘のギロチン公開処刑はきついよな……気付けに、もう一発入れとくか?
「お父さまったらぁ、お買い物~」
空気読もうね、マイ・エンジェル……





