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139-7 聖ヒナダム大会開会式

 そして、ついにヒナダムGが開幕した。

 壮大な会場になったので、それなりに開会式の方を演出した。

 何故か、広場中央には聖火台を置いて聖火を灯すようにしてある。


 特別に開会式用の聖火ランナー用にと思い、トーヤと俺の合作で作成した自立型ゴーレムである『千寿観音ヒナダムG』に聖火を持たせたのだが、それを持ってまた駆け出していってしまった。


 いやまあ俺のゴーレムのやる事なんだから、行きたいのなら別に止めはしないけど、行くのならちゃんと聖火を灯してから行けや。

 何のために聖火ランナーとしてお前を作ったのかわからなくなるじゃないか。


「ああ、また走っていっちゃった。

 いってらっしゃい」


 あれには水の上などを走れる機能も持たせてあるので、この星を一周してきた頃合いには帰ってくるだろう。

 この図体のゴーレムが魔物などにやられてしまうはずもないし、御土産に期待しよう。

 一応は聖火ランナーとしての活動に耐えうるよう、特別に強化版として製作してあるのだ。

 それを満足そうに見送るトーヤ・エディ・ポールの三兄弟(違う)。

 

 聖火ランナーがいなくなってしまったので、聖火に点火したのはうちの御義母様だ。

 あのドヤ顔、誰かなんとかしてくれ。


 よく見たら、抱き上げられて一緒に点火しているのが同じくドヤ顔をしたうちの娘だ。

 うちの子だってケモミミ付きの完全な彼女の義理の孫なのだが。

 まあ俺だって彼女からみたら、只の義理の息子なのだ。


 一旦、自分の家族だと認識したら死ぬまで裏切らない。

 あの人は、その性根までドワーフと同じ流儀に染まっているのに違いあるまい。


 とにかく聖火も無事に灯されて、ヒナダムジャイアント大会は無事に開始された。

 広い空間に建ち並ぶスーパーロボット達の祭典が、聖火と共に開幕した。

 まるで観客のいないオリンピックか何かのようだ。


 昔の特撮番組で、巨大ロボットによる世界ロボット博覧会の会場から物語が始まるという設定があったが、あの頃のロボットは確か最大五十メートルくらいあって、かなりでかかった。

 重量が何万トンあったものかすら不明な代物だ。

 あんな重いもんをどこに置くんだよ。

 置いただけで地面にめり込むわ。


 あれって国家の威信を賭けて作られており、何故か知らんのだが、どいつもこいつも自慢の兵装で完全武装だったしなあ。

 御蔭で建造費が高くついて仕方がなかっただろうに。

 税金の無駄遣いも甚だしい。


 うちはロボット如きに金なんぞ一切かけてはいない。

 何しろ俺が趣味で適当に作っているだけなんだから。

 只の幼稚園の御遊びなんだしなあ。


 アニメなんかに登場する一般的なスーパーロボットは、せいぜい二十メートル弱が相場だろう。

 コスト的にはそのあたりが限界なのではないか。

 それに、あれ以上大きくすると重量過多で足が完全に地面にめりこんでしまって動けなくなるわ。

 二十メートルでも本当は駄目なのだが。

 日本の道路は五十トン越えの通行は厳しい。


 日本の道路は真面な重戦車を走らせると道を壊してしまうので、スリム化されて重量制限された奴でないと走行できないレベルの脆弱さだ。

 スーパーロボットはあれよりも確実に重かろう。


 そもそも日本の道路には約四メートルくらいの全高規制があるので、ロボットなんぞ一般道路の通行を許可されない。

 電線に歩道橋・陸橋やHシステムなどが隈なく張り巡らされているので、巨大なロボットが普通に通っただけでインフラが全部破壊されてしまうわ。


 歩道橋なんてクレーン付きトラックがうっかりとアームを上げた状態で突っ込んでしまったら、トラックの方が引っ掛かって豪い事になる。

 重量の小さい比較的小型のロボでないと行く手を阻まれてしまうだろう。


 うちのヒナダムGもリアリティを求めて、その二十メートル程度の規格に合わせてあるのだ。

 御遊びロボなんだから、逆にあまり小さくても迫力がないし。


「よし、じゃあ第一試合開始だ」


 子供達の間に歓声が上がる。

 そして子供じゃない方々からも。



 最初は、このプラザステージから始める。

 今回はキャニオンステージと二回開催されるのだ。


 主にチューニングの具合は、キャニオンステージに合わされている。

 最初に行うプラザステージは、小手調べや調整の舞台といったところだろう。

 本番はキャニオンステージと決まっているのだ。


 プラザステージは広場に設けられた、シールド防護付きのバトルフィールドだ。

 別に魔法が飛び交うわけではないので安心だ。

 うちの機体は基本的に武装はない。

 エリーンのケンタウロスは仕方がないので例外的に弓矢を装備している。

 ここは冒険者試験のAランク試験会場ではないのだから。


 先頭バッターはトーヤのエルシドで、対するはアニキのムーサだ。

 今回、王子ロボのネーミングはもう止めたらしい。


 軽量タイプのトーヤのエルシドは足にジェットをつけていて、滑るように周囲を回り込んでいる。

 対してアニキのムーサは、中央で向きだけをエルシドに合わせて待っている。


 ジェットの持続期間に制限はないが、おもむろにトーヤがゆっくりと仕掛ける。

 ジグザグに向きを切り替えながら、悠然と構えて待つムーサへ突撃した。

 その場で格闘に入るが、ムーサは高機動型ヒナダムであるエルシドのパワーにさえ耐え切れず、あえなく手足を外されてバラバラになってしまった。


 回収されたムーサは、マジック・クレーンでプラットフォームに運ばれて、搭乗者はそこで降りてくる。

 あれだけ激しく転がっても、魔法のシステムが搭乗者をすべての衝撃などから守ってくれる。


 もっともアニキなら、並みの人間が即死するほどの衝撃を食らっても、生きているどころか首をコキコキさせながら悠々と這い出てくるのだろうが。

 それでも、コクピットが潰れて中で挟まっていたら救出されないと駄目だろう。


 超魔法金属ベスマギル製のコアボールが、そこまで潰れてしまう事は絶対ないので安心だが。

 一応、ドワーフにもベスマギルの存在がバレないよう、特別な隠蔽を施してある。

 これは生命維持機能さえ無事ならば、五十七メガトンの水爆による直撃を受けても屁でもない。


 このコクピットは対NBC兵器仕様に製作してある。

 本来ならそのような仕様は不要なのだが、そうしてあるのは単なる俺の安全に対する拘りからだ。

 だって、うちのケモミミ学園の子供達を乗せるんだぜ。


 シールドの機能や衝撃吸収の機能もあるのだ。

 コクピット自体が脱出用となる物なので、魔法による移動の他に重力場飛行が可能だ。


 だが、負けたムーサを操るアニキは得心したように呟いた。


「ふむ。

 構造上、これは仕方があるまい」


 今回のルールとして、どちらのステージに出す場合にも基本構造は変えられない。

 どちらかのステージに有利な設定にしておいてもいいし、オールマイティにしておいてもいい。

 その辺のセッティングは全てが操縦者の好みによるものなのだ。



 そして二戦目は、因縁の対決?

 ドワーフ三賢人マリア導師対レミだ。

 対決前のやりとりが、空に現れた大型の魔法スクリーンに映し出される。


「ほっほっほ。

 御嬢ちゃんや、今回は前回のようにはいきませんぞ」


 対するレミが、にっこりと笑って可愛くファックサインを出していた。

 ぶふっ。


「ふふ、アルよ。

 子は親を見て育つものよのう」


「親方、その言葉そっくりあんたに返すぜ」


 うーん、レミも物心がついてからは俺を見て育っちゃったものね。

 そして御狐コンビ達も、すっかりドワーフの流儀に染まっている。


 ここは当然その場にて待つ、機動力を持たない重量級のレミ2号。

 それに対して軽やかなステップで、回らずに真っ直ぐに攻め込んでくるマリア導師の大賢者アリス(ドワーフに伝わる伝説の女賢者の名前らしい)。


「きえええーーっ」


 レミが伸ばした神速のアームを、大賢者アリスに乗るマリア導師はひらりと躱し、くるりっと宙を舞う。

 そして反対側に舞い降りると、レミ2号の足を一本外した。


 だがレミ2号は八本足なのだ。

 しかもパワーやスピードなどを残りの足に自在に配分できる構造の、超重量低移動高機動型という極めて特殊なヒナダムであるレミ2号は足一本取られたくらいではビクともしない。


 落ち着いてアリスのアタックを弾き、仕切り直しだ。


 そして、すっと目を細めた大賢者アリスは、今度は連続加速で翻弄しながら反対側のケツ方向から狙ったのだが、ハイ残念でした。


「足に捕まった」


 そう、大賢者アリスは機動性に物を言わせて翻弄し後ろ脚を狙っていたのだが、それはフェイクパーツになっているのだ。

 足で手の代わりをするのは難しいのだが、手で足の代用をするのはまだ簡単なのさ。


 手が二本で足が八本の仕様だからな。

 一番後ろの一対の足が実は手だった。

 足が二対残っていれば、さして性能は落ちない特殊な機種なのだ。


 さっき、あっさりと足一本を取らせたのは仕込みなのだ。

 油断させて罠を張ったという。


 娘ちゃんったら、もう。

 ヤベエ、この歳で既に真っ黒なパパの影響が出始めているのか⁉


 そして、またしてもグラウンドに叩きつけられて両足を奪われた、マリア導師の大賢者アリス。

 更にレミ2号がバックステップでゴキのように移動して、大賢者アリスに上からのしかかると『後の手』で両腕をバラしてから訊いた。


「ガーサット?」


 その、レミが発した問いにマリア導師が苦笑して返す。


「ガーサット。

 お前様はたいした御子じゃ」


 なんだ、あれ。

 俺は隣にいた親方に訊いた。


「ガーサットって何?

 多分ドワーフの言葉だよな」


「あれは、『この杯を貴様に差し出す』という意味の言葉でな。

 始めに『杯を差し出すのか?』と訊くわけよ。

 疑問形はドワーフが相手に降伏を求める時の言葉だ。


 そして認めたら同じ言葉を返す。

『ああ、参った。儂の杯はくれてやる。一緒に飲もうぞ』

 という意味合いで、それにて遺恨は無しというわけだ。

 わっはっは、レミもやりおる」


 もうレミちゃんったら。

 よっぽどマリア導師が御気に入りだったとみえる。

 もう一回負かす気満々だったのね。

 わざわざ、そんな言葉まで習ってきて。

 家庭教師はトーヤあたりか?


 でも、さすがに『一杯』にはまだ早いぜ。


またちょっとご紹介の方が追いついておりませんが、おっさんリメイク・コミック最新話、第11話。

明日までです~。

第1火曜日更新のようです。

紹介遅くてすいません。

https://comic-boost.com/series/95


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