表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

641/1334

102-5 プリティドッグ・イン・桜祭

「ほお。

 ここが異世界、地球かあ」


 野次馬根性旺盛な感じでそう呟いて、キョロキョロしているのはジョニーだ。

 いつもの如く銃を持っていない荒野のガンマンみたいな格好をしているので、これはこれで花見会場ではそれなりに目立つ。


 それになんというか、雰囲気というのかそういうものが、何か少し人間らしくない感じがするのだ。

 顔立ちとかは、あまり目立つような物ではないのだが。

 人間に見つからないように、わざとそうしているのだ。


 なんといったらいいのだろうな。

 こういうのを俗に言う『人間擬き』とでも言うんだろうか。

 宇宙からやってきた寄生体とか、昔流行ったSFのジャンルだよなあ。


 あれって今のWEB小説でいえば、公爵令嬢物並みに流行っていた気がする。

 昔は冷戦の影響が大きくて、あの当時は破滅SFも多かったからな。


 人間なのだけど何故か人間ではないような気がする者。

 大概は只の思い過ごしなのであるが、こいつらの場合は絶対に違う。

 人間の中に宇宙人が化けて混じっていたら、こんな感じなのかもしれない。


 むしろ子犬どもの方が生き生きとした感じで、気配も人間の子供っぽい気がする。

 好奇心旺盛だからね。


 うちの非生物であるはずのゴーレム達の方が、よほど人間らしい雰囲気を醸し出しているのだ。

 まあ、あいつらは魂のようなものを持った存在なので、それが当たり前なのかもしれない。

 造形は俺のスキルによるものなので半端ではない。

 知らない人が見たら絶対に人間にしか見えないのだ。


 プリティドッグも、その気になればそういう芸当は出来るくせに、うちにいる間はそういうのをサボっているのだ。


 今も、通りがかった人がジョニーの顔を見て何か不思議そうな顔で振り返る。

 そして特に不審な点があるわけではないので気のせいだろうと思い直して、頭を振り振り立ち去っていく。

 いや、あんた中々鋭いよ。

 絶対に気のせいなんかじゃないからね。


「ジョニー、そのガンマンの格好はなんとかならんのか?」

「いや、これが俺のいつものスタイルなんだけど」


「まあ、それを言ったらそうなんだけどな」


 まあ、今日は御花見なんだから別にいいか。

 子犬達もママと一緒に人化した姿であちこち走り回っている。


 この街は人口の多い愛知県内でも有数の規模を誇り、人口流入も少なくない。

 今時の少子化時代には珍しく、結構子供を多めに見かける感じがする。

 最近の日本では「新生児ゼロ」なんていう恐ろしい自治体もあるらしいが、それと比べれば、うちの街はまだまだだな。


 魔物の子が何人か混じっていても、人化していればまったく目立たない。

 ちょっと悪戯される以外は人畜無害なのだし。

 まあ、その辺は人間の子供も一緒なのだしな。

 あの長命で落ち着いた雰囲気を持ったエルフ族の子供だってそうなのだから。



 一通り、あれこれと回ってきた国王陛下御一行が帰ってきた。

 本当なら、彼らは俺が案内しないといけないのだが、まだ慣れない新入りの地球人の子供達がいたので山本さんに頼んでしまった。

 あいつらの場合は慣れないというか、うちでは他にいない生粋の地球生まれの地球人である子達なのだが。


 両親が日本人である瑠衣さえ、厳密にはもう地球人とはいえない。

 あの子の場合は、生まれも育ちもチャッキチャキの異世界である、完全な惑星アスベータ日系二世なのだ。


 まあ同じ日本の桜祭なので、そう勝手が違うわけでもないので彼に頼んでしまったのだ。

 山本さんには、この街の祭りに関して多少のレクチャーはしてある。


 ここでは特にそう危険があるわけではない。

 せいぜい、ごくたまにテキヤがつまらない騒ぎを起こしているくらいだ。

 それだって客に絡むような馬鹿はいない。

 仲間内の喧嘩なのだ。


 この祭りで一般市民が問題を起こした話などは聞いた事が無いし。

 皆、花見の季節に浮かれているだけだ。


 この日頃は住人の気が荒い街でも、こういう時は皆楽しみたいのでそうそう暴れているような奴はいない。

 マンガの中で見かけるようなチンピラや泥酔して暴れる客など、この街には基本的に存在していない。


 テキヤどもも、喧嘩や制裁のリンチなんかは夜方に客があまりいない隅っこでやるくらいは弁えている。

 以前に騒ぎを起こしていた大阪から来ていた奴らが、目立つ背中のロゴを消して無地にしているのが笑える。

 俺が警察に通報して報告書を作らせてやったからな~。


 でも曰くありげな黒地の、如何にもチンピラでございといった感じのユニフォームだけは止めないんだな。

 あいつらの場合は完全に、屋台の『しのぎ』なのだ。

 現場でとりまとめている人相の良くない責任者と話すと、実はヤクザなのがすぐわかる。

 見た目の雰囲気でもわかるがな。

 大体、目付きでわかる。

 リンチ現場でもリーダーシップを発揮していやがったし。


 普通の屋台の人は普段着で仕事をしている。

 彼らもテキヤみたいな連中と関わってはいるのだろうが、それは俺達一般市民には関係ない世界の話だ。



 騎士団長ケインズは陛下と一緒にいる。

 エルシュタイン家の護衛の人もいたが、男性でも美しいその面差しは、やはり目立ちすぎるほど目立つ。


 彼を見て、足を止め見惚れない女性はいない。

 幼稚園の幼女様さえそうなのだ。

 むしろ、その年齢の奴の方が絵本の中の王子様に重ねてしまうだろう。

 生憎な事に、彼ら自身は王子などではなく『王様や王子様の護衛役』なのだが。


 最近はこんな田舎町でも外国人が増え過ぎて、本来ならこんな人がいても誰もそう気にしないのだが、国王陛下の髭もじゃぶりと漏れ出る威厳やケインズの逞しさは規格外の物なので、やはり通りすがりの人が振り返ってガン見している。


 母親に手を繋がれた子供がじーっと見ていると、国王陛下が笑いかけたので子供が手を振ってくれた。 

 母親も、最初は「目を合わせちゃいけません」的な感じに子供の手を引っ張っていたが、国王陛下に上品な会釈をされて慌てて会釈を返していた。

 だが彼女も、エルシュタイン家次期当主の美貌にはチラチラと目を走らせていた。


 まあうちのゴーレムもいるし、あの王妃様が一緒なんだから、よっぽどの事はない。

 それに呼んでくれれば俺が自ら締めるよ。


 何、怪我をさせたりなんかしないさ。

 傍を流れている大きな川の真ん中に放り込んで、〇〇ちゃんと可愛い愛称で呼ばれている錦鯉と一緒に延々と泳がせてやるだけだ。


 風魔法と水魔法の併用で、簡単には岸に辿り着けないくらいの嫌がらせはしてやるがな。


 明日くらいから、書籍3巻が書店様に並び出す頃合でしょうか。


アル「ついに3巻が出たね。コミカライズも始まったし」

シル「そうね。でもあたしのキャラ・デザインは無いのね……」

アル「うっ。こ、今回出してもらいたかったんだけど」

シル「何故、あの精霊の子達のキャラ・デザがあって、妻たる私のキャラがないの……出番も少ないし」

アル「お、おおう! そ、その辺は大人の事情で~。

 あ、愛しているよ、シル!」


 そういう事で、今回も美少女シルベスター王女の肖像は拝めませんでした!!


 レインボーファルスも登場です。

 レインボーファルス形態のファルの幼態がとっても可愛いのです。

 載せられていませんが、作者が描いた原画に近いデザインもしてもらったのです~。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ